Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

読書

僕がビブリオバトルを好きな理由~熊谷晋一郎『小児科の先生が車椅子だったら』

小児科の先生が車椅子だったら ─私とあなたの「障害」のはなし (ちいさい・おおきい・よわい・つよい)作者:熊谷 晋一郎発売日: 2019/04/25メディア: 雑誌熊谷晋一朗さんは、東京大学先端科学技術研究センター准教授で小児科医、新生児仮死の後遺症から脳性麻…

藤井太洋『ワンモア・ヌーク』と2020年おすすめ散策ルート

新型コロナウイルス騒動で、様々なイベントの延期や中止の話が騒がれる3月15日に、子ども二人を連れて新国立競技場に行ってきました! もともとは、2月末 にできたばかりの漫画『3月のライオン』デザインのマンホールが目当てでしたが、その近くには2020年を…

「かわいそう」でも「たくましい」でもない~上間陽子『裸足で逃げる』

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書)作者:上間陽子発売日: 2017/02/01メディア: 単行本 それは、「かわいそう」でも、「たくましい」でもない。この本に登場する女性たちは、それぞれの人生のなかの、わずかな、どうしようもない選択肢のなかから…

浮遊感のある物語とイメージ~三崎亜紀・白石ちえこ『海に沈んだ町』

海に沈んだ町 (朝日文庫)作者:三崎亜記発売日: 2014/02/07メディア: 文庫 昨年見に行って以来、楽しみにしていた第23回岡本太郎現代芸術賞を見に、川崎市の岡本太郎美術館に行ってきた。その中でも興味を引いた澤井昌平さんの作品として、夢の内容をイラスト…

「介護」と「自立」について考える~酒井穣『ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由』

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由作者:酒井 穣発売日: 2018/01/26メディア: 単行本(ソフトカバー) 10年以上ぶりくらい久しぶりにディスカバー21の本を読んだ。 ビジネス書は本当に読みやすい。 分量が少ない上に目次や構成が練ら…

いじめてくんと4人の女性~伊藤朱里『きみはだれかのどうでもいい人』

きみはだれかのどうでもいい人作者:朱里, 伊藤発売日: 2019/09/18メディア: 単行本 これは読み返したい本。帯では「新感覚同僚小説」と謳っているが、とある県の税事務所を舞台として、そこで働く4人の女性のそれぞれを主人公とした連作短編となっている。各…

「善意」で世界は明るくできる~中脇初枝『きみはいい子』

([な]9-1)きみはいい子 (ポプラ文庫)作者:中脇 初枝出版社/メーカー: ポプラ社発売日: 2014/04/04メディア: 文庫 (この文章はアニメ『バビロン』、映画『葛城事件』、小説『きみはいい子』をセットで語るシリーズ最終回です) 『葛城事件』の後味の悪さは、…

その「救い」は誰のため?~早見和真『イノセント・デイズ』

イノセント・デイズ (新潮文庫)作者:早見 和真出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/03/01メディア: 文庫 (文章中にネタバレを含むので未読の方は注意してください) 正義は一つじゃないかもしれないけど、真実は一つしかないはずです放火殺人で死刑を宣告…

裕太君は自らの不運を呪うしかないのか~福田ますみ『モンスターマザー』

モンスターマザー: ―長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い― (新潮文庫)作者:福田 ますみ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2019/01/27メディア: 文庫報道による「加害者」と「被害者」の逆転の怖さを描いた本ではあるが、いくつかの面で、これは少…

ワンクリックの向こう側~ジェームズ・ブラッドワース『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した作者:ジェームズ・ブラッドワース出版社/メーカー: 光文社発売日: 2019/03/13メディア: 単行本(ソフトカバー) 労働市場の規制緩和や移民政策で先を行くイギリス社会は、 日本の明日(みらい)を映し出して…

責任と無責任と~杉山春『ルポ虐待-大阪二児置き去り死事件』×是枝裕和監督『万引き家族』

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)作者:杉山 春出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2013/09/04メディア: 単行本 2010年夏、3歳の女児と1歳9カ月の男児の死体が、大阪市内のマンションで発見された。子どもたちは猛暑の中、服を脱ぎ、重なるよう…

2019年一番面白かった小説~砥上裕將『線は、僕を描く』

そろそろ2019年も終わりが近づいてきましたが、今年一番面白かった小説に出会えました。 直前に見た映画『家族を想うとき』から真逆に触れる内容のため、やや過大評価な気もしますが、自分は、結局こういう前向き青春小説が大好きなことを自覚しました。線は…

辛いけどそれが現実…なのか~山田詠美『つみびと』×ケン・ローチ『家族を想うとき』『わたしは、ダニエル・ブレイク』

『キングオブコメディ』を観て一度収束したはずの『ジョーカー』評の補足を、また改めて書いてしまいました。 今年観た映画では、『アス』も『ボーダー』も社会の分断を描いてはいるけれど、あくまで比喩としてなので、そこまで違和感はありませんでした。『…

この本でしか得られない視点がある~山崎ナオコーラ『ブスの自信の持ち方』

ブスの自信の持ち方作者: 山崎ナオコーラ出版社/メーカー: 誠文堂新光社発売日: 2019/07/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 山崎ナオコーラさんの小説は、これまで何冊か読んでいます。 心の奥底に深く刺さるような作品を書くわけではなく、社会…

読みやすいワンシチュエーションミステリー短編集~青崎有吾『早朝始発の殺風景』

早朝始発の殺風景作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/01/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 青春は気まずさでできた密室だ——。 今、最注目の若手ミステリー作家が贈る珠玉の短編集。 始発の電車で、放課後のファミレスで、観覧…

久しぶりに宮部みゆき読んだと思ったら2年前に同じ本を…~宮部みゆき『本所深川ふしぎ草紙』

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1995/08/30メディア: 文庫 クリック: 37回この商品を含むブログ (78件) を見る つい先日、クリストファー・ノーラン監督『メメント』という、主人公の記憶が10分間しか持たな…

大量廃棄、大量消費を支える「私たち」~仲村和代、藤田さつき『大量廃棄社会』

大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実 (光文社新書)作者: 仲村和代,藤田さつき出版社/メーカー: 光文社発売日: 2019/04/16メディア: 新書この商品を含むブログを見る この本では、主に日本の問題として、アパレル業界とコンビニ・食品業界における…

吉岡里帆主演映画のノベライズ~豊田美加『見えない目撃者』

見えない目撃者 (小学館文庫)作者: 豊田美加出版社/メーカー: 小学館発売日: 2019/09/06メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 視力を失った、そして事件を”目撃”した。 警察学校の卒業式の夜、事故で視力と最愛の弟を失った浜中なつめ。人生に絶望する…

重い内容の漢字二文字タイトル対決!〜伊岡瞬『代償』VS葉真中顕『絶叫』

期せずして漢字二字タイトルのミステリーを2冊続けて読んだ。どちらもAmazonでのレビュー数が80以上の人気作。 共通点はタイトルとレビュー数だけでなく、2冊とも、主人公の子供時代から物語が始まり、その半生を追うことで、特殊な人間関係や、事件が起きて…

バカミス欲が満たされました〜柾木政宗『 NO推理、NO探偵?』

ひとつ前の『パワー』は、苦手な翻訳小説で、やや社会的なエッセンスを含む内容。 こういうのを読むと、反動で、「もっと、ベタに日本の小説で、もっとバカなお手軽小説が読みたい!」という欲が湧き上がってくる。 先日、この思いから手に取ったメフィスト…

男女逆転小説で味わうべき恐怖〜ナオミ・オルダーマン『パワー』

パワー作者: ナオミ・オルダーマン,安原和見出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る ちょうど一週間前に、『したたかな韓国』を書いたあと、韓国がGSOMIAを破棄するなど、日韓関係がさらに悪化…

日韓関係への希望と失望と~浅羽祐樹『したたかな韓国』

したたかな韓国 朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る (NHK出版新書)作者: 浅羽祐樹出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2013/08/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 今年は、映画『主戦場』を観たこともあり、日韓関係に関しては、慰安婦問題…

今年、読書感想文を書くならこの本!~ナディ『ふるさとって呼んでもいいですか:6歳で「移民」になった私の物語』

ふるさとって呼んでもいいですか: 6歳で「移民」になった私の物語作者: ナディ,山口元一出版社/メーカー: 大月書店発売日: 2019/06/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 6歳で来日し、言葉や習慣、制度の壁など数々の逆境の下で…

最高のホラー小説、来た~澤村伊智『ぼぎわんが、来る』

ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫)作者: 澤村伊智出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2018/02/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る今回、順序的に、中島哲也監督の映画『来る』を今年の正月に観に行ったあと、原作小説として、この本を読んだ…

「百田尚樹現象」に刺激を受けて読んだ2冊~百田尚樹『モンスター』『幸福な生活』

週刊ニューズウィーク日本版 「特集:百田尚樹現象」〈2019年6月4日号〉 [雑誌]出版社/メーカー: CCCメディアハウス発売日: 2019/05/28メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るノンフィクションライター石戸諭によるニューズウィークの特集「百田尚樹…

ぽくないメフィスト賞受賞作~宮西真冬『誰かが見ている』

誰かが見ている作者: 宮西真冬出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/04/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 第52回メフィスト賞受賞! 4人の女には、それぞれ表の顔と裏の顔がある。ブログで賞賛されたいがために、虚偽の「幸せな育児生活…

いつの間にか自分自身について考えさせられる小説~角田光代『坂の途中の家』

坂の途中の家 (朝日文庫)作者: 角田光代出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2018/12/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る あらすじ この小説に興味を持ったのは、裁判員制度に絡めた物語だったからだ。 もともと、裁判員制度自体には、否…

映画「主戦場」に右派が「騙された」理由がわかった~『海を渡る「慰安婦」問題』

海を渡る「慰安婦」問題――右派の「歴史戦」を問う作者: 山口智美,能川元一,テッサ・モーリス‐スズキ,小山エミ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2016/06/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見る 「歴史戦」と「主戦場」 上半…

読者の共感を拒む踏み絵的小説~村田沙耶香『地球星人』

地球星人作者: 村田沙耶香出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 私はいつまで生き延びればいいのだろう。いつか、生き延びなくても生きていられるようになるのだろうか。地球では、若い女は恋愛をし…

どんな向かい風も一歩なら歩き出せる~山内マリコ『選んだ孤独はよい孤独』

選んだ孤独はよい孤独作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/05/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 深夜のファミレスで飽きずに話してたことは ぼくらが手に入れるはずだったちっぽけな未来 それは宝物 だってぼく…