Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

NHKスペシャル『あなたは人を裁けますか』

今まで自分が誤解していたところについての気づきもあり、なかなかいい番組だった。
ちなみに土曜日は、「第一夜」として、三浦友和主演で裁判員制度を説明するドラマをやっていた。最初30分を見ていないので、何とも言えないが、日曜のこの番組の導入部としてはよく出来ていたが、単体ではイマイチ。あまり勉強にならない番組だった。
今回わかったことは大きく3つある。いずれも4年後から始まる制度ということなので、多少の変更はあるのだろう。

1.拘束期間は数日〜長期間(曖昧だった)
拘束時間については、一番気になるところだが、ケースによって違うということで、曖昧にされていた。出演していた検事さんが、想定されるケースとして、週二日×3回とか、一週間連続とかいう言い方をしていたので、一週間程度は覚悟しなくてはならないようだ。
また、横浜の法学部大学生の親が。大学主催の模擬裁判*1に参加した様子が取り上げられていた。ここでは、法廷でまず3時間、閉廷後、9人で協議し、判決言い渡しまで8時間かかっていたが、これだけ聞くと、一日ですらきつい。ちなみに始めの法廷では膨大な資料が配られ、専門用語が飛び交う中、じっと耐える必要がある。
なお、イタリアの例や番組での説明から考えると、抽選で選ばれた人の中から、どうしても参加できない人を除いたかたちで最終選抜されるらしい。免除自由が不十分であれば、欠席は罰金となる。

2.裁判は「裁判官3人+裁判員6人」で行い、有罪・無罪については多数決で決定する
ちょっと誤解していたのだが、裁判員の方が随分多い。過半数ということならば、裁判員5人の意見が通ることになってしまい、市民の責任は随分と重い。
それから、『12人の怒れる男』の陪審員制度では、全員一致を原則としていて、過程はどうあれ、結果はわかりやすい。「多数決」というのがいい方法なのか微妙だ。
また、裁判員制度をつくった側は、一人の判断ではなく、9人で議論して出る判断であることに裁判員制度の意義を見いだしているようだ。意味は分かる。いわく、より適した判断が可能になる、また、「9人の判断」だから裁判員一人一人が「人を裁く」重みに耐える必要はない。しかし、それを言っちゃあというやつだが、「そもそも日本人が議論をできるのか」という点は、どうなのだろうか。諸外国の例を参考にするのはいいが、「議論」は、間違いなく日本人の大きなウィークポイントの一つだろう。個人的に振り返ってみても、議論らしい議論をした覚えはほとんど無いし、国会中継を見ても、噛み合う議論は行われていない。勿論、これを機会に議論をできる国民に、というのもわかるのだが・・・。

3.有罪・無罪だけでなく、量刑の判断も裁判員制度で扱う
これが一番驚いた。これも『12人の〜』を見た感じだと、有罪・無罪までだと思っていた。模擬裁判参加者も発言していた通り、有罪・無罪の判断までは理詰めで可能である気がする。しかし、情状酌量の余地があるかどうか、懲役何年がふさわしいか、執行猶予をつけるか、の判断は、被告の人間性(更正の可能性)まで考えて判断する必要があり、裁判官にだって難しい判断が要求されるわけで、「早く帰りたいなあ」と思っている素人が判断するのにはふさわしくないと考える。どういう判断で、量刑の部分も含まれるようになったのだろうか?よくわからない。
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と簡単に(?)まとめてみたが、今回テレビを見た感想にこだわり、あまりネットで調べたりしていない。いろいろ間違っている部分もあると思うので、自分なりに勉強していきたい。当然、よくご存じの方は教えてください。
とはいえ、全体として、裁判員制度の導入に反対するつもりはないし、拘束時間に対するフォローが十分であれば、選ばれれば是非裁判員を務めてみたいと思っている。
しかし一方で、閉じた社会を開かれたものへ、とという意味であれば、以前書いたように今回の寝屋川の事件を受けて、ますます部外者を排除していかざるを得ない、「学校」の方にこそ、参「学」制が必要になってくるのではないか、と個人的には感じている。

*1:この時期にNHKで「模擬裁判」を取り上げているのはちょっと面白いが。