Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

湯浅顕人『ウィニー』★★★★

ウイニー―情報流出との闘い (宝島社新書)
ウィニーの騒動について外観するのに適した本。コンピュータやネット関連の知識に疎い自分にもわかり易かった。情報が新しくて、わかりやすいという新書のお手本みたいな本だと感じた。
騒動の流れと政府の対応などの基礎知識以外に、以下のような内容が目を引いた。

中でも、最後の法律問題については、具体的に、著作権の種類とあわせてやや詳しく説明があった。
つまり、著作権の中の複製権、公衆送信権に照らし合わせれば、ダウンロードは合法、アップロードは違法というのが作者の見解である。

  • 複製権:作品の複製を作る権利(ただし私的利用の場合は例外的に複製はOK)
  • 公衆送信権:作品を公に送信する(放送など)権利

ダウンロードは複製権の例外にあたるが、アップロードは公衆送信権の侵害にあたるというのだ。
ところで、著作権については、少し前の話題になるが、教科書関連がだいぶ揉めているようだ。*2

 国語の長文読解問題なのに、肝心の「長文」がない。ドリルなど副教材を作っている教材出版社が小学生向けに作る教科書準拠型のテストや、大学入試の過去問題集の一部で、そんな「異常事態」が続いている。理由は著作権。長文の作者である作家らの利用許可が得られていないためだ。来月にも新たな提訴が予定されるなど、教材分野でも、著作権紛争が熱を帯びている。

実際には、全部ではなく、株式会社・日本ビジュアル著作権協会(JVCA、曽我陽三理事長)に著作権の管理を委託している作者らの作品が対象とのことだが、以下のような問題が生じているとのこと。

  • (小学校の)教科書内容に準拠したテストに「長文」が掲載できない
  • 塾でも、教材や模擬試験に使えない、赤本からは長文が削除

ここら辺の話は、今までどうなっていたかについては、記事最後のキーワードの部分がわかりやすい。

◆キーワード
 〈教科書・試験問題と著作権著作権法は、教科書については、他人の著作物を無許諾で掲載することを認めているが、補償金の支払いと、著作者への通知を求めている(33条)。高校や大学の入学試験などでは無許諾・無補償で使うことを許し、営利目的の予備校の模擬試験は補償金の支払いを義務づけている(36条)。また、授業を担当する教師がテスト問題を作成する場合は、必要な範囲で使うことができる(35条)。
 教材出版社が作るテストについては、無許諾での使用は著作権侵害だとする判断が03年に東京地裁で出た。入試の過去問題集でも同様の判断を求め、JVCA会員が提訴している。

ブログでよく話題にされる引用か転載かの話も含め、今まであまり興味の無かった部分だが、具体的に著作権とは何か、のところまで戻ると、それなりにわかってきた気がする。
今後も、この手の話題はもう少し関心を持ってwatchしていきたい。

*1:名前の由来はWinMXの「M」「X」をアルファベット順に一文字ずつずらしたものだという。「IBM」⇒「HAL」みたいなものか。

*2:朝日新聞の記事がリンク切れの場合は、ベネッセのページを⇒http://benesse.jp/news/asahicom/TKY200509250049.html