Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

木村元彦『オシムの言葉』★★★★

気になるベストセラーは、少々お金を払ってでも流行っている時期に読むのがベストだと常々思っている。(実践できていないわけだが)
例えば、近くの図書館では、いまだにダ・ヴィンチ・コードが予約一年待ちだが、一年待っても読みたい!と思うほど現段階で持っているエネルギーが、一年後も持続できているはずがない。ダ・ヴィンチ・コードが面白いかどうかは別として、結局行き場無く、自然消滅してしまったエネルギーはとても勿体無いものだと思うのだ。はっきり言って、流行している時期に「読んだけど面白くなかった」というために買うという選択肢すらあると思う。
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閑話休題
最近のオシム・バブルは凄まじく、この本で紹介されているサッカーのエピソードの大半は、新聞記事などを通して、広く知られているものばかりだ。そういう意味では見所は、ボスニア内戦に関する部分である。
世界のどこでやるよりもホームでの試合が困難だった時期のユーゴスラビアを最強のチームに育て、家族を2年半の間、別々にしてしまったサラエボ包囲網の中でも、ギリシアで指揮を取り、チームをリーグ優勝に導いてしまうのは、それこそ名将と呼ぶにふさわしい。
しかし、だからこそ、もう少しボスニア内戦のところを掘り下げて書いて欲しかった感じがする。少なくとも、巻頭に地図を入れておくべき。それだけでも、この時期のこの地域への理解が全く違うと思う。
ただ、木村元彦自身が言っているように、『誇り』『悪者見参』を見れば、そこら辺の詳しい話がわかるはずなので、そちらにも手を伸ばしたい。

また、ボスニア内戦以外では、通訳の間瀬秀一の話(7章)が面白い。現役時代を全て海外のプロチーム(アメリカ、メキシコ、グアテマラエルサルバドルクロアチア)で過ごし、オシムの通訳となってから、自分がJリーグの監督になる、という新しい目標を持った彼の話は、こちらもまた別のサクセス・ストーリーとして読める。しかも、1973年生まれで、自分とひとつしか違わないということで、大いにやる気を起こさせる話。
なお、オシムが日本代表になってからは、通訳で苦労しているという声が聞こえてくるが、木村元彦が書くように「助産夫」としての彼の能力がいかに優れていたか、ということだろう。(間瀬秀一は現在も千葉に所属)

先日のクローズアップ現代木村元彦山本昌邦出演でのオシム特集があったそうだが、見逃してしまった。これは本当に残念。
というか、NHKの情報誌ステラが週刊なのが解せない。隔週刊であれば購読するのだが・・・。いや、定期購読で年間12500円なら買ってしまうか。現在迷い中。