12月14日午後2時、晴れ渡った気分で7階にあった面接会場を後にして、真昼の渋谷に降り立った。
空も青くて良い気分。
早速、前日に購入したオリジナル・ラヴの新譜をCDウォークマンにセットして街を彷徨うことにする。
元来、自分は、街を歩き回るのが好きだが、渋谷の街は、その名に違わず、谷から登る坂が放射状に広がり立体的で、探検気分が楽しめる。
歳末感溢れる雑踏は、こんな時間でも人通りが激しく、周りを見渡すと、辺り構わず設置されたクリスマスの飾りが目に付く。
街灯に目をやると、そこに輝いていたのは電飾であった。神戸ルミナリエのような盛大なものではない。かといって家庭用クリスマスツリーに用いる電飾ほど安っぽいものでもない。目を動かしていくと、点々とならぶ街灯すべてに施されている。ハッと気づいて、いままで西進してきた御蔭通りを振り返ると、そこにならぶ街灯にも電飾がほどこされていることに気づいた。少し気をゆるしたすきに宿敵に懐に飛び込まれたも同然であり、私は慄然とせざるを得なかった。
街を怪物が闊歩している・・・・・クリスマスという怪物が・・・・・。思わず私は呟いた。田中神社の祭神、大国主命も、ここまでクリスマスの侵入を許してしまわれたことを、どれほど無念に思われていることであろうか。
(森見登美彦『太陽の塔』P14)
そうは言っても、本当に目的も無く、ただうろうろしていたわけでなく、大型書店で物色したあとで、何か美味しいものでも食べに行こうかと決めていた。
が、本屋が見つからない。
在京時にも渋谷には苦手意識があったのだが、唯一知っていた、「本のデパート」大盛堂書店が無いので途方に暮れてしまった。
そうこうしているうちに、『東京 飛行』一周目終了。
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一週間前と比べてみると、やはり精神状態が影響しているのだろうか、格段によく聴こえる。
特に「髑髏」〜「カフカの城」〜「13号室からの眺め」の流れが最高だ。
不安に思っていた「明日の神話」〜「ZIGZAG」もアルバムに馴染んで全く違和感が無い。*1
〜〜〜
そろそろお腹も空いたし、どこかで食べようかと思っていたところに、ある看板に不意に目が止まった。それは心の隙間に入り込み、自分自身を、数秒前には予想もしなかった行動に走らせた。
(以下、何か恥ずかしいような気がするので隠します)
受付で飲み物を問われ、「パイン酢ヨーグルト」を頼む。ひどい名前だ。実際ひどい味だった。
向かった先は36号室。残念ながら13号室ではない。
ドアを閉じてから、おもむろに選曲作業に移る。店員が飲み物を運んできたときに一人で大口を開けていると気まずいので、時間をかけて選ぶ。隣は女子高生数人で歌っているようだ。
そう、ここはカラオケ屋。
俺は平日昼にスーツ姿で一人で歌うサラリーマンだ。文句あっか。
「鍵、イリュージョン」発見!!衝撃が走る。*2ハイパーDAM。グッジョブ!
結局、歌ったのは以下の通り。
- オリジナル・ラヴ「鍵、イリュージョン」
- 木村カエラ「YOU」(PVが流れてお得)
- YUKI「ハロー・グッバイ」
- サンボマスター「愛しさと心の壁」
- スガシカオ「優等生」
- CHAGE&ASKA「LOVE SONG」
- Mr.Children「youthful days」
- 中村一義「1,2,3」
- kokua「progress」
- 小沢健二「流れ星ビバップ」
- Mr.Children「HERO」
「鍵、イリュージョン」と「HERO」で涙ぐむ。この名曲2曲は、いつ歌う機会があってもいいように*3影練しよう。
「優等生」があるのには驚いたが、他の曲はといえば、100s、キリンジ、サニーデイ・サービスは非常に少なく、密かに期待していた朝日美穂、吾妻光良は皆無。
かろうじて抑えたが、岡村ちゃんを本格的に歌いだすと危険な気がしたので、未練たらたらで、1時間きっかりでマイクを置いた。
店を出ると、何と向かいにブックファースト!
大型書店を探し歩いて半ば諦めかけていた自分にとっては、嬉しい誤算だ。
〜〜〜
ブックファーストでは、買いたくて我慢していた「STUDIO VOICE」の先月号(渋谷系など90年代特集)とイオン特集の「東洋経済」、さらに各所で好評価の森見登美彦『太陽の塔』を購入。大満足。
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 12月号 [雑誌]
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ハチ公横に、何故か古い電車の車両が置かれている*4のでふらっと寄り道。座席には当たり前のように「乗客」が座って読書をしたりおしゃべりしたり。動かない電車に揺られる乗客はとてもシュールだ。
渋谷から東京駅に出て、そのまま新幹線へ。
「STUDIO VOICE」で紹介のあった西島大介のイラストのイメージが頭から離れないまま『太陽の塔』を読み始める。
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その語り口には、自分がこれからどんなに小説の勉強しても、こんな風には書けない、という天才を感じた。
内容は、大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン』を思い出させる青春妄想小説。グミチョコ同様、女性は共感しにくいかもしれないが、全ての男性に「こういう部分」があると思う。「我々がジョニーを支配するのだ」は名言。
モリミー最高。ファンになりました。
読みながらも、『東京 飛行』があまりに濃すぎるので、同時に購入した土岐麻子『WEEKEND SHUFFLE』を挟む。
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そしてやっと仙台の我が家に到着。午後7時。
それにしても、あれだ。試験も終わって、気持ち的には、もう完全に年末。現在の歳末指数は80%くらい行った感じ。まだ12月も半ばなのであまり煽らないでほしい。
もっとゆっくり生きたいなあ。
(唐突に終わる)
*1:あとで改めて感想を書きます!
*2:他に「YEN」「銀ジャケットの街男」があった。
*3:そんな機会はない
*4:渋谷公園通商店街振興組合が企画した「渋谷駅前電車モニュメント」とのこと。12/25まで。http://www.koen-dori.com/web/pickup/0612tamaden.html