Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観11/11(日)

円高、株安、米国離れ、そして相変わらずのサブプライム。状況がどんどん悪くなっているような雰囲気にうんざり。

EU穀物関税ゼロ・高騰受け食糧確保(1面)

関税ゼロによって輸入量を増やすほか、国内の生産調整(減反政策など)を見直す、とのこと。「欧州が輸入増に動くことで、穀物の争奪戦が消費国間で激化」とあり、間接的に日本へも影響するのだろう。
ただ、農業については、EUも日本と同様、手厚い保護があるはずだと思うが、関税以外の部分で行っているということか?日本の状況を考えると、農業事業者の猛反発がありそうな気がするのでググってみた。

輸出国が市場開放を迫る一方、輸入国が自国の農業を守ろうとすることは当然であるが、各国の交渉ポジションはそれぞれの農業政策を反映している。

アメリカは1960年代に関税や価格支持による保護から財政による保護(農家への補助金・直接支払い)に転換した。ウルグアイ・ラウンドでアメリカから攻められたEUも、関税引き下げや輸出補助金削減に対応できるよう、92年以降穀物などの価格を大幅に引き下げ、農家に対する直接支払いによって補うという改革を行った。

これに対し、日本は農産物価格を高く維持して、消費者負担で農業を保護するという関税依存型の農政を続けている。

ということで、米国が関税が極端に低く、日本がその逆、EUは中間(穀物などは関税が低い)というスタンスのようだ。それぞれの意味についてはもう少し勉強する必要があるが、FTAの交渉などを見ていると、関税を下げられる政策の方が有利のように単純に思ってしまう。
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なお、食糧確保に向けた動きには、日本にも(民間レベルでは)あり、戦々恐々としている印象。10年後の食生活は、今とはだいぶ変わっているのでは?

三井物産はブラジルで農業に参入する。広大な農園を持つ現地企業に25%出資し、持ち分法適用会社にした。大豆などを日本や中国、欧州へ輸出する。世界的な穀物需要の増加と争奪戦激化に対応、日本への安定供給と食料ビジネスの拡大につなげる。エネルギー・鉱物資源に加えて食料分野でも、総合商社が農園など「上流権益」を確保しようという動きが活発になりそうだ。

温暖化ガスの排出権移転 国際登録システム始動

国連が認めた温暖化ガスを排出できる権利(排出権)を各国に移転する国際的なシステムが、今月中旬に稼働する見通しとなった。まず日本と接続し、日本企業などが取得した排出権が日本の登録簿に明記される。排出権の売買が活発になることが予想され、経済産業省は価格算定など取引ルールの整備に乗り出す。

排出権取引については、日本は欧米に遅れを取っていると思っていたので、この動き自体の意味がよくわからない。日本は、排出権取引には積極的ではないが、システム構築は進んで行う、ということか?

ICAPを巡る動きは日本でもマスメディアに大きく取り上げられ、「世界的炭素市場に日本が乗り遅れるのでは」といった指摘も見かけます。

引用先では、このあと、排出権の調整には困難が多く、すぐにスタートできる状況に無いため、「遅れ」自体には、それほど神経質になる必要は無い、という意味のことが書いてある。
日本の関わり方がどうなのかはよくわからないが、やはり注目度は高いということだろう。

パキスタン安定険しく/非常事態宣言から一週間/軟禁解除のブット氏カギ(5面)

日曜日の紙面では、横に「抗議集会にブット氏参加」の記事があったわけだが、状況変化は早い。

パキスタン政府は13日未明、ムシャラフ政権への対決姿勢を強める有力野党・パキスタン人民党(PPP)総裁のブット元首相に対し、同国東部ラホールの同党所属議員宅で1週間の軟禁を命じた。非常事態宣言の即時解除などを要求して、ブット氏らが同日から予定していた大規模デモ行進の阻止が狙いとみられる。ブット氏の軟禁は9日に続いて2回目で、支持者や他の野党勢力、国際社会などの反発は確実。核保有パキスタンの政治情勢は再び緊迫しそうだ。

ということで、事態は悪化の方向。
「正常が混乱すれば、軍事クーデターや過激派の台頭などで「核がテロリストの手に渡る」最悪のシナリオも想定される」という記事の言葉どおりの展開にならないことを望む。

ブランド肉 なぜ増える?/コメ転作拡大が後押し/飼料米で味が向上(29面・エコノ探偵団)

ブランド肉が増えた理由は以下の通り。

  • 安い輸入肉との競争が激化し差別化戦略が進行
  • 消費者の安全・安心志向が、餌・飼育方法で差別化を図るミドルクラスのブランド肉を歓迎*1
  • 転作面積拡大をきっかけに、飼料米の作付面積が増加*2

記事でも触れられているよう、コストが問題だったが、輸入穀物の価格が高騰しているため、コスト差は縮まる方向。食料自給率改善、水田風景の保護など、いいことづくめ。「フードマイレージ」という観点でもかなりの改善効果があり、良い方向なのでは?

読書欄(24面)

気になったのは、以下の3冊

金子みすゞ ふたたび

金子みすゞ ふたたび


そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命

そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命

  • 「ボーアやシュレディンガー、パウリら私生活もユニークな多士済々の物語は三国志を読むがごときで面白い」→中身が想像しにくいところが心引かれる部分。


さよなら僕の夏

さよなら僕の夏

  • ブラッドベリは、家に10年寝かせた『火星年代記』がある(笑)。本書は続編とのことだが、単体でも楽しめる作品とのこと。80代の著者が描く「成長と死、無垢の喪失と性の目覚め」という観点でも興味津々。

*1:通常のブランド肉は、品種、餌、飼育方法の三点の差別化が必要。ミドルクラスのブランド肉は、品種が問われないため、交雑種やホルスタインもある

*2:水田から畑作への転換はハードルが高く、同じ水田ならば、やりやすい