Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

補足 私的オリジナル・ラヴ論〜(以下略)

「ユーモア」という言葉で良かったのか悪かったのか

前回エントリでは、オリジナル・ラヴの現時点での最新アルバム『東京 飛行』に不足しているものとして「ユーモア」を挙げた上で、それを別の言葉で説明しようとして、「メッセージ性の最小化」「(メッセージと)ブレないタイトル」を挙げている。何故、「ユーモア」を別の言葉で説明し直すという回りくどい方法をとったかといえば、文章中にも書いたように、「ユーモア」という言葉の意味が広すぎるので、より限定的な意味にしたかったからというのが、理由の一つだ。しかし、より根本的な理由は、「ユーモア」という言葉を、通常用いられるような「笑い」と直接的に結びつけて考えていないことを示したかった、というところにあった。
「ディランとブレンダ」の爆笑は、あくまで象徴的な事例として挙げただけで、オリジナル・ラヴのライヴと、爆笑を生ずるような「ユーモア」は、自分の中では結びつかなかったのだ。


だから、originalovebeerさんが「爆笑」の部分に共感してくれるという展開は、全く予想外だった。しかし、例として挙げていただいたライヴ映像(ニコニコ動画)が素晴らしく面白い。この頃の田島貴男オリジナル・ラヴ?)が、真面目に「笑い」を意識していたことが一目で理解できるもので、さらに、異常にかっこいい。(こんなライヴを初めに見に行ったら一種のトラウマもんですね。)
当初の自分の意図とは、ずれてしまったが、「ユーモア」という言葉の選択が、『東京 飛行』というアルバムを語る上で、それほど間違っていなかったことが分かって良かった。

もうひとつのキーワード

さて、オリジナル・ラヴがお笑いタレントに楽曲を提供したことがある。
それが、藤井隆への提供曲で、タイトルは「リラックス」。
実は未聴なのだが、この「リラックス」と言う言葉は、『キングスロード』〜『東京 飛行』に不足しているものとして自分がイメージする、もうひとつのキーワードだ。前回エントリで、「弛緩」の言い換えといってもいい。
originalovebeerさんが『街男 街女』の聴き方について、以下のようなアドバイスをしている。

『街男 街女』を「鍵、イリュージョン」まで聴いた後で、また頭の「築地オーライ」に戻って聴くと、この「弛緩効果」が現れる。「北風に涙とばして」のあたりでは、ちょっとホロリともさせられる。

まさにその通りで、『街男 街女』はラスト2曲(「夜の宙返り」「鍵、イリュージョン」)が濃く、その前の「或る逃避行」も決して軽いわけではないので、アルバムをラストまで聞くとリラックスできないのがマイナス部分なのだが、最後に「築地オーライ」を聴くと、清々しく聴き終えることができる。
「弛緩」理論や「リラックス」という言葉で繰り返し説明していることは、ここで引用されている歌詞の言葉を使えば「北風と太陽」の話と似ている。メッセージ性の高い真面目な歌(北風)ばかりでは、聴いている側は、警戒する。リラックスできる曲(太陽)があってこそ、聴き手は心を開くのだと思う。


(新作への期待については、改めて書く予定です)