Yondaful Days!

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オリジナル・ラヴ「好運なツアー」個人的まとめ(4)〜CELEBRATE YOUR LIFE

RSRは大成功だったようですね。参加された方、羨ましいです。
さて、なかなか終わらない「好運なツアー」レビューについて、特に印象に残った2曲についてのコメントです。

「心」

多分、この曲が印象に残った一番の理由は、おそらく演奏が素晴らしかったからなのだろうとは思います。渋谷AXに向かう電車内で聴いてみて、改めて曲そのものに惚れ直したという部分もあります。
しかし、こじつけで後から考えてみると、ツアーのメッセージとのシンクロ率の高い曲だったということが言えるのではないかとも思うのです。ここで、今回の演奏曲目を、アルバム別に並べ直してみます。

アルバム 演奏曲
『LOVE! LOVE! & LOVE!』 「JUMPIN' JACK JIVE」
『結晶』 「ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ」「フェアウェル フェアウェル」
『EYES』 「灼熱」
風の歌を聴け 「It's a Wonderful World」「The Rover」「心」「朝日のあたる道」
『RAINBOW RACE』 「Bird」
『Desire』 「プライマル」
『ELEVEN GRAFFITI』 「GOOD MORNING GOOD MORNING」
ムーンストーン 「Glass」「ムーンストーン
『踊る太陽』 「ふられた気持ち」
『街男街女』 「夜の宙返り」
『東京飛行』 「夜とアドリブ」「カフカの城」「遊びたがり」
そのほか 「好運なツアー」「ひまわり」「接吻」「ディア・ベイビー」「ボラーレ!」

一目瞭然ですが、最も曲数の多いアルバムは『風の歌を聴け*1ということになります。そして『風の歌を聴け』のメッセージはアルバムジャケに何度も使われ、ジャケ裏ではドアップになっている「CELEBRATE YOUR LIFE」つまり「生きる歓びを感じよう(超訳)」ということでしょうか。ライヴ定番曲である「The Rover」「朝日のあたる道」を除く2曲は、まさにストレートにそのことを歌った内容なのです。そこらへんは、何故か『RAINBOW RACE』まで異常に詳しいWikipediaから引いてきます。

It's a Wonderful World 6'14"

作詞・作曲: 田島貴男
この曲はカーティス・メイフィールド(CURTIS MAYFIELD)にインスパイアされて出来たという。田島によれば「ファルセットで歌うオリジナル・ラヴの曲っていうのも初めてで。最初は大丈夫かなって思ったんですけど、まあまあ歌えたかな」とし、ヴォーカル・レコーディングはワン・テイクだったという。この曲のテーマについては「自分に命があることを祝福したいったらいいのかな、そういう気持ちになれたんですね。生命があること自体が素晴らしいなと思えた、そのまんま歌ってみたかった」「でもね、やっぱりもし僕が何の疑いもなく愛なんだって歌ってるんだったら、例えば2番に出てくるような歌詞みたいなのは出てこなかったと思うんだよね、ドロドロとした救いようのない現実が、やっぱりあるんだからね。でもそれを“It’s a Wonderful World”と呼びたい! というところなんですね」だという。

ANGEL HEART (album mix) 5'40"

作詞・作曲 : 田島貴男
この曲はわりと早くにでき、シングルのカップリングということでレコーディングも早かったという。この曲のテーマについて田島は「これは“誕生”ってことを歌いたかった曲なんです。『The Rover』は、生きている最中ってことを歌いたくて、『フィエスタ』でのテーマはあえていうならば“死”なんですよね。“死”を生きている中でどう受けとめるかっていうことだから、結局は“生きること”というテーマにつながるんですけど。そう考えると、今回のアルバムって“生”と“死”のように対比になっているテーマがあちこちに散らばっている。それは出来上がってから気づいた」とし、制作時は全然意識していなかったという。

ここまで来ると、何故「フィエスタ」が演奏されなかったのか不思議なくらいで、アルバムコンセプトの比較的明確な『風の歌を聴け』の中でも、特に「生きること」に焦点を当てた楽曲が、(意識的にか無意識的にかは不明ですが)選曲されていることがわかります。
ただし、今回のツアーでは、『風の歌』の頃よりも「生きることの歓び」を「伝えよう」「拡げよう」という方向に少し広がりを見せている気がします。「ボラーレ」は勿論、新曲「好運なツアー」もその延長上にある楽曲だと思います。

持論のひとつとして、「生命」「大自然」「宇宙」などのテーマを歌わせたら、田島貴男ほど説得力のある歌い方の出来るミュージシャンは数少ない*2ので、こういった方向性は、個人的に大歓迎です。
で、『風の歌を聴け』のB面1曲目にあたる「心」という曲は、誰もが愛されて生まれてきたという、生命の始まりを歌った曲で、これから花開く蕾のように今回のテーマを内に含み、やはりツアーの中でも強烈な印象を残したのでした。勿論、「心」という作品は、それ自体に大きな意味を持っているのですが、それについては、もう1曲についてのコメントと併せて次回。
(つづく)

オリジナル・ラヴ「好運なツアー」個人的まとめ 目次

*1:ところで、Wikipediaによれば、『風の歌を聴け』は「アルバムは先に発売日が決まっていて、時間がない中で曲作りに1か月、レコーディングも1か月という短期間で制作された」ということですが、絶句します。

*2:以前、田島貴男の声の持つ説得力について触れた文章はコチラ→『Rainbow Race』に見る、オリジナル・ラヴの理想形