被災地の本当の話をしよう ?陸前高田市長が綴るあの日とこれから? (ワニブックスPLUS新書)
- 作者: 戸羽太
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2011/08/08
- メディア: 新書
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本の内容は、3.11当日と復旧の日々、そして復興の未来予想図について、陸前高田市長という立場から綴られたもので8/25に出版されたもの。
本を出した目的が「はじめに」に書いてある。
驚かれる方もいるかもしれませんが、7月の段階になっても、まだライフラインは完全に復旧していません。
駅が消滅し、線路もバラバラになってしまったので鉄道は不通状態。道路もまだ応急対応のみで、災害の爪あとは依然として残ったままです。
ひとりでも多くの方に、このような被災地の現状を知っていただきたい。
そんな切なる思いから本書の出版を決意したのです。
報道される機会が激減していることによって、復興が進んでいると錯覚されてしまうのが怖いという思いが市長の根本にある。しかし、本の中で繰り返し触れられるように、被災地の復興はそれほど芳しくない。11月末に見た気仙沼や陸前高田は、未だに瓦礫が片付いていない状態で、あれから8ヶ月以上が経っているとは、とても思えなかった。
そういった現実と被災地以外の人達の認識のずれによって、3.11が忘れられていくと、これまで持ちこたえてきた陸前高田の、そして被災地住民の心が折れてしまう、そのことも心配だという。
これまで長くて辛い日々にどうにか耐えてこられたのは、日本全国、そして海外からの励ましの声があったからです。あぁ。私たちは忘れられていない。私たちはひとりじゃないんだ、という思いが生きている「実感」につながり、復興へのエネルギーになってきたのです。
市長自身、津波で家を失い、奥さんを失い、知人友人を失って、辛い日々を過ごしたのだろう。復興に向けた取り組みは、勿論、市や県そして国が中心になって進めることになるにしても、それらを成功させるための原動力は、周りの支えがあってこそなのだ。
多忙を極める被災地復興の仕事の合い間を縫って作った本なので、分量的には少ないし、復興に向けた提案事項の根拠も曖昧だったりして、夢だけを語っていると言われかねない部分もある。しかし、2011年2月に市長になったばかりとは思えないほどのリーダーシップと熱い思いが伝わってくる、良い本だと思う。
この本を読んで、被災地に思いを寄せることは重要だし、自分に何が出来るかを考えることはさらに重要なことだと思う。
話は脱線するが、そんな中、ひとりソウルツアーのついでにボランティア(山元町のスコップ団)に行った田島貴男のことを自分はとても尊敬するし、田島に背中を押してもらうかたちで、実際に現地に作業に行ったファンの方も凄いと思った。無理をして遠征したり、何かを我慢して寄付するのではなく、普段の生活の中で、もしくは何かのついでに自然に被災地のために出来ることをしている、この人たちを見本にして、息の長い支援を個人的に続けていきたいと思う。