春秋
社会学者の久保田裕之氏は、広がる「非家族型」同居生活が心の筋肉を鍛える道場になっていると分析する。年齢も職業も立場も異なる人々が、対等の立場で対話し、規則を決める中で譲歩や妥協の技術を身につけていく。
雑居型の集合住宅が増えていることについてのコメント。
昔は長屋などがあったが…という書き方で、こういった話を「若者の問題」にしている感じが気になるが、言っている意味は分かる。一方で「心の筋肉を鍛える道場」と「住まい」を同じ場所には求めないような気もする。高校3年間、大学4年間などの期間限定の「道場」であれば、その時期の人間的成長を大きく助けることになると思う。(自分はその時期に鍛えてこなかったから…)
再生エネ買い取り開始/負担と普及どう両立
再生エネ買い取りの元手は電気代と一緒に徴収する「賦課金」で、普及が進むほど負担が増える。
- 今年度は標準家庭で月87円。
- 試算では再生エネの発電量に占めるシェアが現在の2倍に膨らんだ場合、買い取り価格が半値まで低下しても、電気代の上乗せ価格は月298円と現在の3倍。
とある。シェアは、2010年で10%のところを20年後には25〜35%に上げる計画なので、2倍以上になる。それでも300円であれば、納得して払うのではないだろうか。消費者としては、それよりも東京電力の値上げの方が実質的な額も大きいし、さらに増える見込みで、こちらの方が不安だ。
東京電力の家庭向け電気の値上げを議論する経済産業省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」は、福島第1原子力発電所の事故関連費用を料金に転嫁することを認める検討に入った。対象に含まれるのは汚染水処理費や放射線量の管理費など。
勿論、こういった買い取り制度の舵取りの問題で、ドイツのQセル社が倒産してしまった件があり、慎重になっているのだろう。
転機の米中関係、今後の展開は?(9面:日曜に考える)
現状のまとめだけ引用。
米中関係を取り巻く空気が厳しさを増している。オバマ米政権の発足当時に流行した「米中G2論」は消滅。中国の軍備近代化を警戒する米国は「アジア回帰」を宣言した。
この問題については、日頃から気にしないとダメですね。日中間に今後生じうる事態のシミュレーションとしても、小説ですが、以下の本でも読もうかと思った。
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幸福度を測る難しさ(10面:中外時評)
豊かさは国や地域ごとに比べられるべきものなのか、そもそも比べるべきなのか。
記事では以下の例が挙げられている。
- 国連持続可能な開発会議(リオ+20)での文書について
- 日本の内閣府研究会による幸福度指標の試案作成について
- 仏サルコジ前大統領による「経済力と社会の進歩の測定に関する報告」(2009年)
- 東京都荒川区の指標づくり
このうち、リオ+20の話が面白い。
当初、先進国を中心とした国々の提案で入っていた「幸福度の尺度としてのGDPの限界を認識する」という文言は途上国の反対で改められたという。最終案では「GDPを補う、進歩のより幅広い尺度の必要性を認識する」。
「幸福度」だの「GDPの限界」だのとは、成長で先を行く国々の言い分で、途上国の政策の自由を奪う要因になるというのだ。
記事の最後は、欧州危機の状況を例に出し、先進国にとっても成長/GDPの錦の御旗はまだまだ降ろせないとまとめているが、確かに、幸福度を測る指標探しが、途上国を束縛するものになっては行けない。こういった非対称性は、原発を巡る発電所のお膝元と都市の意見の隔たりでも同じで、常に意識しておくべきことだと感じた。
ネットが変える社会運動(21面:今を読み解く:武田徹)
最初に昨年の9.11反原発デモに参加した柄谷行人の言葉が紹介される。
デモをすることによって社会を変えることは、確実にできる。なぜなら、デモをすることによって、日本の社会は、人がデモをする社会に変わるからです。
最近のデモのスタイルが変わってきたことを、以下の書籍を挙げながら説明し、この傾向に単純に希望的な観測を持てないと釘を刺す。
動員の革命 - ソーシャルメディアは何を変えたのか (中公新書ラクレ)
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最近、大飯原発再稼働に関連して大規模デモが行われているとのニュースは「ネットを通じて」知ってはいるが、これについては、単純に賛成とも反対とも言えない。報道が少ないのは異常だと思うが、それを根拠に何かを判断することはできない。逆に、今日かなりRTされていたようだが「機動隊相手に丸腰で戦うなんて、なんて勇気のある人たちなんだ。」なんていうツイートには違和感(それは勇気?)を覚える。とはいえ、例えば今日も含めて数回行われているデモそれぞれの主張についてもイマイチ全貌がよく分かっていないので、少し勉強したい。東京新聞とかには、ちゃんと載っているのだろうか。
アジアを向いたカナダ/ガス革命、脱米国促す(13面:地球回覧)
シェールガス革命によって米国の石油生産量が09年以降増加に転じた結果、カナダは供給先を多角化する必要性に目覚めた。というのが一つのきっかけ。TPP交渉への参加なども、脱米国路線を加速する。
カナダ産の石油とガスの日本の輸入実績は、まだほぼゼロであることを挙げ、輸送ルートの多様化をめざし、日加関係の強化を考える好機と結ぶ。
なお、カナダの石油は、2000年代以降、原油を含んだ砂岩から油分をお湯や蒸気で溶かして回収する「オイルサンド」が急増しているという。
火力発電の燃料費が下がれば、日本でのエネルギーの議論もまた大きく変わってくるだろう。しかし、温暖化議論(CO2の抑制)も、原子力開発も、石油の枯渇不安に端を発することを考えれば、やはり火力ばかりに頼るのは危険だろう。
読書欄
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