Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞9/30(日)

クレムリンの手招き(2面)

領土をめぐり日本が揺さぶられている。竹島では韓国、尖閣諸島では中国から押しこまれ、台湾からも船団が領海にやってきた。
そこで不思議なのがロシアのプーチン大統領だ。中韓と組み、北方領土問題で攻勢を強めてもよさそうなものだが、そうはしない。日本との距離を縮めるそぶりすらみせている。

ロシアが意識しているのは米中で、特に中国を牽制するために日ロ*1の結びつきを強めたい意図があるとの記事。したたか過ぎる感じもしますが、日本の外交もこれくらいだと心強いのですが。

米、核燃再処理放棄迫る(3面)

政府・民主党がまとめた「2030年代に原発稼働ゼロをめざす」方針に対し、米政府が懸念事項を列挙していたことが明らかになった。近い将来に原発をなくす場合は使用済み燃料を再処理する核燃料サイクル政策を放棄するよう要求。…

原発ゼロの方針に対するアメリカ側の懸念は以下の通り

  1. 核燃料サイクル政策:原発ゼロで再処理を続けるとになると核不拡散上の問題が大きい。(核兵器への転用が可能なプルトニウムが貯まり続ける)
  2. 石油市場:中東を中心に資源競争が激化し、石油市場への影響が大きい。
  3. 日米合弁の原子力産業:競争力低下、技術系人材の喪失
  4. 温暖化ガスの増加

こういった懸念部分はごもっともだと思うし、この懸念に対して、日本政府が述べた以下のような見解(1面)もその通りだろうと感じる。

原発に代わる電源の確保や国際的なエネルギー市場への影響を検証しながら「政策を常に見直す」と強調した。

しかし、オスプレイの問題もそうだが、その結論に至る過程の説明をすっとばして、秘密裡に決定しているように見えることが、信頼感を著しく喪失させる。「安全・安心」のうち、「安全」は客観的なものだとしても、「安心」は、政府との信頼関係によってはじめて成立する。“国民の生活が第一”というスローガンを掲げている割には、その部分が疎かになっているのが、国民が幻滅している一番の理由だと思う。

SNSブーム、先行きは(創論/日曜に考える)

交流サイト(SNS)最大手、米フェイスブックの株価が低迷している。同社の歴史的意義を説く辻野晃一郎氏と、フェイスブックはバブルと言い切る米投資会社の創業者エリック・ジャクソン氏に、SNSの先行きを聞いた。…

フェイスブックの実名利用について聞かれた辻野氏の以下の発言には反発を覚える。

とくに日本は匿名でネットを使う文化が先行してきたが、不健全、異常だと思う。実名や顔写真をネットにさらすことのリスクはあるが、フェイスブックによってネットは健全な方向に進んでいる。

この人は、ソニー→グーグル日本→アレックスという道を辿ったスーパーエリートだから言える絶対強者的な発言だと思ってしまう。匿名だからこその要素が大きいと考える自分とはあまりに考え方が違うので、もう少し長い文章で意見を聞いてみたい。

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

米、エネルギー大国化へ自信(13面・地球回覧)

日本や中国への天然ガスシェールガス)輸出をすぐに許可しない理由は

  • 輸出による国内価格の上昇
  • 乱開発に伴う環境への影響

だが、ガス産出州は需要があるところに売りたいという立場。
ここまでは今までも読んだことがあったが、後半部が面白かった。

シェールガス革命により、石油危機以降揺さぶられてきた中等へのエネルギー資源依存からの脱却も夢ではなくなった。当然外交・安保政策にも大きく影響する。
「米国が中東原油を必要としなくなれば、なぜ日本や中国、韓国などの原油輸入の安全確保のために米国が軍事力を提供する必要があるのかという議論も当然起きるだろう」

ということで、エネルギー安保の問題は非常に大きいはずだが、今の日本では「原発推進か反原発か」という(あまり意味のない)二項対立から逃れられない。1・3面記事にあるような脱原発ゼロに対する米国の懸念という論点は、政治家が分かりやすく国民に伝える必要のある部分だと思う。(国民側の努力も必要だが、勉強を強いるのはおかしいと思う)

読書

奇貨

奇貨

たんに性のマイノリティの探求者というだけではない。人と人との関係の多様性をだれよりも真摯に思考しつづけている強靭なモラリストの輪郭が、本書からくっきりと立ち上がるのだ。

書評担当は、最近気になっている清水良則さんだが、この人は「文芸評論家」という肩書なのか…。


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

2025年の未来を描いた上で、悲観的な未来像と「主体的に切り開く未来像」の両方を提示する内容とのことで、分かりやすそう。

*1:日露、日ロの表記について、調べてみると、日経ではロシア革命以前のロシアについてのみ「露」を使うみたいですね。http://www.ytv.co.jp/blog/announcers/michiura/2010/11/post-559.html