Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

ガチとプチ〜糖質制限ダイエットをめぐる雑感

今出ているターザンの糖質制限*1特集がガチであることに驚いた。
最近、中学時代の友人から勧められて興味を持っていたので、興味本位で買ってしまったが、今回一連の特集を読んでみて、今までいかにいい加減にダイエットについて考えていたのかがよくわかった。以下、糖質制限ダイエットを中心に、自分の乱暴なダイエット観を記す。

Tarzan (ターザン) 2012年 10/11号 [雑誌]

Tarzan (ターザン) 2012年 10/11号 [雑誌]

ダイエットと僕

最初に自分の立場を明確にしておく。
自分は、30歳前後の頃に、体重減を目指して努力していた時期があったが、それを除くと、食べ過ぎないようにするくらいで、取り立ててダイエットはしていない。
とはいえ、カロリー摂取量や日々の体重変化は時々気にしている。1年くらい前に体重計は体脂肪率BMIが表示されるとともに、自動記録ができるものを買った。しばらく、見返すことをしていなかったが、今回、ダウンロードしてグラフに書いてみると以下のようになっていた。

数値をどう捉えるのかは人によって違うのだろうが、個人的にはそれほど危機感を感じないレベルで安定して推移しており、最近少し走っている関係もあるのか、微減傾向にあるので、ここ数年は切迫感を持ってダイエットに取り組んだことはないのだった。(測り始めの昨年11月頃は、ここ数年ではかなり太っている時期にあたり、右下がりには見えるのは、そのせい)

ガチとは

ここで、ガチというのは「言い訳がない」ことを言う。*2
例えば、日経新聞9/30の健康面の記事「乳酸菌・ビフィズス菌 腸を整え体調維持」を読むと、ヨーグルトは体にいいよ!とさんざん薦めておきながら、最後に、バランスが大事だと言い訳をする。

辨野特別招聘研究員は「ヨーグルトだけを食べるのではなく、排便を促す繊維が豊富な野菜や豆類もとり、バランスのよい食事を心がけることが必要」としている。


ダイエット門外漢ながらも、ほとんどのダイエットは「言い訳」付きのダイエットとなると考えている。つまり「やり過ぎはかえって体によくない」とか、わざわざブレーキを踏む方向へのアドバイスが混ざっているのだ。
実は、この逃げ道を、ダイエットをする側も必要としているのではないかと思う。それは、ほとんどの人が体重を減らしたいというだけのためにダイエットをするわけではないからだ。
つまり、ほとんどの人にとってのダイエットというのは、「ガチ」ではなく、「痩せている方が善」という幻想を共有しながら流行を消費していく遊びなのではないだろうか。

プチとは

一時期「プチ」という言葉が流行した。
そのときに「プチ断食ダイエット」などという言葉を聞いて、正反対のイメージの言葉が結びついていることに奇妙な感じを受けたが、そうではなくて、「プチ」こそ、ダイエットの本質なのではないかと思う。
ここで「プチ」というのは「ガチ」の反対で「言い訳を用意して覚悟がない」ことを言う。


そして、言い訳をしつつも流行するには「笑い」の要素が必要だ。例えばトレーニングの説明に「普段使わない筋肉を鍛える」という言葉を見つける。すると、それを読みながら、頭の中では(その筋肉を鍛えていつ必要?)などとツッコミをいれつつも、それは「お約束」として言葉には出さず、笑いを貯めながら次第にそのダイエットに引き込まれていくのだ。
また、筋肉芸人が多数いることからも分かる通り「筋肉」というのは既に「笑い」の要素を含んでいるので、細マッチョだとかモムチャンだとか、筋肉系のダイエットは、実質的に鍛えようという以上に、マッチョになりたい自分を面白がっているのではないだろうか。


プチダイエットにおいては、「基礎代謝」や「カロリー」などの用語は実質的な意味よりも、どれだけその理論にのめり込めるかという話でしかない。言うなれば水商売の女性の接客トークのようなもので、その真偽については、いちいち突っ込まない「ほんわか理論」を楽しみながら、痩せた太ったの変化で盛り上がる。
本当は「効果」なんてどうでもいいのだ。


…と思っていた。

糖質制限の凄いところ

そんなときに出会った「糖質制限ダイエット」。
糖質制限の凄いところは、最初に書いたように「ガチ」であること。
「プチ」の、ほんわか理論ではなく、とにかく理論ずくでのダイエット。ターザンの特集では、様々な糖質制限バッシングに対して、その道のスペシャリスト江部教授らが、バッシングの根拠となる論文の信ぴょう性にまで言及して、5ページに渡って答えているなど、とにかく、ことごとく言い訳がない。*3


また、凄いのは、取り組んでいる人が実際に成果を上げていること。
友人知人の範囲でも、継続している人は着実に体重、体脂肪率が落ち、しかも、食べ物の味が分かるようになった、午後の今まで眠くなっていた時間帯に眠くならなくなった等、体質改善の効果もあるという。
本当に「効果」を求めるならこれ以上ないダイエットなのだと思う。


そして、必要なのは、炭水化物を極限まで控えるそのストイックさだけでなく、お金*4も手間もかかるし、もはや人体実験に近い。
だからマッドサイエンティスト気質な人には、絶対オススメのダイエットだ。
また、自己啓発的なダイエットを求める人にもオススメだ。人は変われるを体感できるまたとないチャンスだ。
大学生時代なら確実にトライしていたに違いない。

糖質制限ダイエットと僕

ただ、本格的な糖質制限の道を選択することは、お菓子の誘惑だけでなく、ご飯やパン、パスタなどの日常の食生活に別れを告げることを意味し、生半可な覚悟では取り組めない。深夜帰宅後に、冷凍庫に貯め込んだエッセルスーパーカップ超バニラを食べてしまう自分のような意志の弱い人間には到底無理だし、「ちょっとやってみたい」などの軽い気持ちでは、家族の理解を得られない。
それこそがガチの所以で、そもそもが糖尿病の治療法として生まれたということだから仕方がないのだが、逆転の発想で、覚悟を決めるために一度糖尿病になってしまえば固い決意で取り組めるなあ…などと考えてしまうほどに、魅力に満ちたダイエットだと僕は思う。→糖尿病で苦しまれている方やそれを支える家族の方々配慮の足りない文章でしたので訂正させていただきます。これを機会に少し病気のことも勉強したいと思います。


なお、食料自給率の低い日本で、米を食べなくなるような、このようなダイエットが受け入れられるはずがない。ようやく市民権を得てきた米粉パン*5をはじめ、とにかくコメの消費を増やそうと必死の農水省が、こんなダイエットを見逃すはずがないのだ。早晩、このようなダイエットは禁止され、糖質制限ダイエッターは隠れキリシタン化するはずなので、江部先生の本などは発売禁止になる前に、なるべく早く入手しておくことをオススメします。

主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!

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満腹ダイエット (プレジデントムック dancyu)

満腹ダイエット (プレジデントムック dancyu)


ということで、スーパー糖質制限ダイエットに憧れつつも、摂取している糖質の量くらいは少しだけ気にすることにします。

参考(過去日記)

 ※8/5の日経新聞に、糖質制限ダイエットでも代替品として押している人工甘味料についてやや否定的な記事がありました。

 ※過食⇔拒食を行ったり来たりする主人公を含め、共感できる登場人物の少ない漫画

 ※食材それぞれに個別効果があるという(思いっきりテレビ的)考えに満ちた本

 ※幕内秀夫理論を継承し、とにかく米を食べろという糖質制限と相容れない教え

 ※体重計が狂っていないことをどのように確かめることができるのか、というどうでもいい考察
 ※この頃は、かなり気にしてダイエットをしていました。

*1:糖質制限は、「糖質」をカットすれば、お腹いっぱい食べても痩せられる、という部分がポイント。しかし、それは「主食」を抜くことを意味するのでハードルは高い。

*2:とはいえ、ガチという言葉自体が既に、本来の意義から外れ、真剣味を失わせ、(笑)とつけたくなる雰囲気がある。

*3:ただし、糖質制限も、その入り口として「プチ糖質制限」(夕食だけ糖質カット)を薦めている。しかし、あくまで入口でしかなく、基本的には「スーパー糖質制限」(3食に渡って糖質カット)というハードな選択肢が本道のようで、そういう意味では、覚悟して取り組むべき「プチ」なのだ。

*4:ターザン内のしりあがり寿の連載漫画では、糖質制限ダイエットをやるぞと決めた男性が「お腹いっぱいまで肉食ったらいくらかかると思ってんの!!」と奥さんに怒られている。まさにその通りだと思う。

*5:農水省の食料自給率のページを見るとトップでアピールしているほど力を入れている!