Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

田島貴男「ひとりソウルツアー2014」(11/30 渋谷 TSUTAYA O-EAST)

今年も行ってきました、ひとりソウルツアー。
渋谷TSUTAYA O-EASTは、クアトロのように「柱」問題の全くない、見晴らしの良いところで、客電が下りる3秒前くらいに会場についた自分にも非常に満足でした。
セットリストは以下の通り。(他会場で演奏された曲としては「バイク」「月に静かの海」「宝島」があるそうです。『L』ファンとしては、「宝島」聴きたかった…)

  1. ひとりソウルショウのテーマ
  2. 月の裏で会いましょう
  3. Let's Go!
  4. ブロンコ
  5. ファッション・アピール
  6. 誘惑について (ピチカート・ファイヴのカヴァー)
  7. Winter's Tale 〜冬物語高野寛田島貴男
  8. サンシャイン日本海Negiccoのカヴァー)
  9. ウィスキーが、お好きでしょ(石川さゆりのカヴァー)
  10. Million Secrets of Jazz
  11. 接吻
  12. 朝日のあたる道
  13. The Rover
  14. BODY FRESHER
  15. エブリデイ エブリデイ

<アンコール>

  1. フリーライド
  2. JUMPIN' JACK JIVE
  3. ムーンストーン

<アンコール2>

  1. 夜をぶっ飛ばせ

※曲順、一部自信なし。


「全部一人でやっているので間が空きます!」とのMC通り、1人せわしくチューニングをし続ける田島。見守る観客。といういつもの風景。
ひとりソウルも弾き語りも、ライブの演奏を楽しむだけでなく、まだまだ成長し続ける、成長のために努力し続ける人間・田島貴男を見て、「やったるでー!」と奮起するという素晴らしい効果があり、今回もそんな気持ちにさせてくれました。


今回の個人的な盛り上がりは、多くの人がそうなのかもしれませんが、やはり序盤〜中盤です。
LET’S GO!(アレンジが良かった) 、the Rover、ブロンコと、名盤の冒頭曲がずらりと並んだこともありますが、何といっても、「サンシャイン日本海」「ウイスキーがお好きでしょ」「誘惑について」そして「Winter's tale」が本当に良かった。
これら、「純性」のオリジナル・ラブではない曲こそが、オリジナル・ラブの良さを引き立てました。

(「田島貴男 ひとりソウルツアー2014」 10月25日(土) 札幌 Bessie Hall↑公式サイトから。これはカッコいい)


先日発売された『Light Mellow Original Love』は、ライナーノーツで現在の田島貴男の活動にも触れられており、ひとりソウルツアーについては、ソロ名義の活動とバンド活動が相補的な関係にあると触れられています。

現 に田島は、今もオリジナル・ラブ名義の活動と個人名で行なうソロ活動を明確に区別しており、“ひとりソウル・ツアー”と題されたワンマン・ライヴをマイ ペースで続けている。やはりその両者では、活動のスタンスやモチヴェーションの出所が異なる、ということだろう。プリミティブな指向性を露にした 『Desire』、ドラムン・ベースやサンプラーを導入した『ELEVEN GRAFFITTI』、とりわけテクの色濃厚な『L』などは、バンド体制では生まれ得なかった作品と言える。けれどもそれでも、こうしたアイディアの根源 には、”オリジナル・ラブのアルバム”という強い自意識が働いている。…

金澤寿和さんは、ポニーキャニオン時代を「パーソナルな表現が増えた」と評していますが、ひとりソウルは田島貴男全開という意味では、ポニーキャニオン時代の表現形式に近いのかもしれません。


さて、ここから自分が昔から聴いているもう一人のミュージシャン、岡村靖幸の話に移ります。
岡村靖幸は昨年10月に6年ぶりのシングルを出したあと、今年に入っても2枚もシングルを出していますが、3枚のうち2枚は共作で、「純」岡村靖幸ではありませんでした。3作とも大好きな作品で、しかも最新作は純度の高い岡村靖幸完全復活作なのですが、あえてこの中から一枚を挙げるのならば4月に発売された「愛はおしゃれじゃない」です。
このシングルは、AB面ともに共作というだけでなく、ボーカルも岡村靖幸小出祐介Base Ball Bear)によるものという異色作でしたが、結果的に、まさにその部分が自分のツボに入ったのでした。(楽曲製作過程については、小出祐介本人による制作ノートツイートが素敵です)

(↑岡村ちゃんのライブは1コーラス終わるまで幕が上がらない演出が多いけど、大好きです)


自分の好みを考えると、この曲の良さには大きく二つのポイントがあります。
ひとつは、歌詞が「みんなが考える岡村靖幸像」「歌ってもらいたい岡村靖幸歌詞」120%だから、という点です。この思考パターン、この言葉の並びは完全に岡村ちゃん、という素晴らしい歌詞だから、当然、岡村ちゃんの歌唱も映えるのです。
そして、もうひとつは、小出祐介とのデュエット曲という点です。
「愛はおしゃれじゃない」もカップリングの「ラブビデオ」も、一番カッコ良いのは、岡村靖幸にボーカルが戻ってきたときの歌い出し。最近の岡村靖幸ボーカルの中でも屈指のカッコ良さです。


これは「スイカに塩」理論なんだと思います。


つまり、声質の似てないボーカルが混ざるからこそ岡村靖幸の良さが引き立つわけです。ずっと岡村靖幸のボーカルだったら、同じ曲でもここまで自分は好きにならなかったかもしれないと思います。
また、小出祐介が歌っているときに、頭の中では岡村ちゃんの出番を今か今かと待ち構えていることから来る「焦らし」効果もあります。
つまり男性二人デュエットというのは、それほど多くはありませんが、実は魅力が大きいジャンル・楽曲なのかもしれないと思ったのでした。(その後、よく考えてみるとsmall boysも自分は好きでよく聴いていることに気が付きました笑)


さて、元に戻って田島貴男
そんな男性二人デュエットに、かつて田島貴男が取り組んだのが「Winter's tale」でした。高野寛作詞・田島貴男作曲で、これは疾走感もあり最高に盛り上がる一曲で、まさに名曲です。今回、高野寛が不在でも、既に知っている人には(作詞もですが)高野寛ありきの曲なので、田島度が若干抑え気味で、故に田島貴男の良さが再認識できる曲です。
実はNegiccoに提供した「サンシャイン日本海」にもそういう一面があります。自分は最初に聴いたときから、これは田島貴男が自分で歌いたい曲だろう(笑)と思っていましたが、それでも、一応Negiccoの魅力を引き出すような曲として作っているわけだし、楽しいMVもあるから、曲を聴くとNegiccoの3人が思い浮かぶわけです。でも、だからこそ、素の田島貴男の良さが味わえる逸品に仕上がっています。(グルメ番組みたい)
「誘惑について」も含めて、田島貴男度の低い曲を敢えて中盤に固めた構成は、自分の中では爆発的な大成功を収めていました。


…というあたりを考えると、田島貴男本人が、3月に発売するシングルのことを「オリジナル・ラブど真ん中」と言ったのは、ファンから見たオリジナル・ラブ、そして田島貴男の良さをかなり咀嚼した上での発言なのではないかと思います。そこには、おそらくNegiccoや共作・共演者の人からの刺激ということもかなりあったと勝手に推定しています。
もっと言うと、「オリジナル・ラブど真ん中」というのは、田島貴男度を抑え目の楽曲ということではないでしょうか。ポニーキャニオン時代の「パーソナルな表現」も自分は大好きですが、それこそ田島貴男の「カフカの城」の中に、むしろ迷い込みたいファンの意見だと思います。
なお、今回、田島本人がジャズを勉強してから演奏する「ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ」という目玉があり、しつこいスキャットも含めて、自分の好きなオリジナル・ラブに、またひとつ近づいたな(笑)と、ほくそ笑んでおりました。
もう12月なので、あと3ヶ月。自分も、「ど真ん中」にキャッチャーミットを構えて3月を待つことにします。

参考(過去日記)

当然もう買いましたよね(笑)

Light Mellow オリジナル・ラブ

Light Mellow オリジナル・ラブ

⇒昨年はマシロックが近かったから感想を書いていない?2012年の「色予想」など、ひとり馬鹿騒ぎが、なかなかいい笑(フレッドじゃない方のペリーとか)