Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オリジナル・ラブの楽曲で著作権について勉強していたら意外な事実が…!

最近以下の本を読みました。

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)

18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)


著作権に関わる近年の具体的事例(佐村河内守氏のゴーストライター騒動、刑事事件になってしまった「ハイスコアガール」の件、TPPにおける「非親告罪化」の問題等)を含んでいるなど、身近な話題から著作権について学ぶことができる非常にいい本でした。
この本の中で、JASRACのことを一章を割いて紹介している部分があり、なかなか興味深い内容でした。*1
ここではJASRACのような著作権の集中管理のメリットに焦点を当てており、具体的に許可を取る方法が描かれています。

さまざまな作品ジャンルの中で「今から30分以内にこの作品をネット配信する許可を取ってきて」と言われて、仮にも出来るのは音楽(楽曲)くらいです。ちょっと実際にやってみましょう。p125

ここで紹介される方法によれば、JASRACのホームページから以下の手順で利用許可を取ることが出来ます。確かに非常に簡単です。

  1. 「J-WID」というデータベースで、利用したい曲がJASRAC管理下にあるか、また著作権者が誰なのかを確認
  2. JASRACのオンライン窓口「J-Takt」で必要事項を入力後、自動作成される申込書に押印して発送

勿論、実際の利用には使用権料を払うことになり、例えば、アカペラ演奏をネットから配信しようとすれば、1ヶ月で1曲150円かかるそうです。しかし、ニコニコ動画Youtubeなどの動画サイトは、JASRAC包括契約を交わしているので、個々の利用者がこういった手続きをせずとも「歌ってみた」「弾いてみた」の動画をアップすることが可能となります。
ただし、どちらもこの方法ですぐに利用許可が下りるのは、あくまで「歌詞」と「楽曲(メロディ)」に対してということで、「音源利用」つまりアカペラや自らの演奏でなく、CDをかけたりする場合には別の許可申請が必要のようです。(ニコニコ動画では、一部については楽曲の音源利用も許可なく出来るようになっているようです。※ユニバーサルやエイベックスとそういう契約をしている。)



さて、ここで上に挙げた「J-WID」というデータベースですが、少し眺めると色々と面白いことが分かります。
まずは、その楽曲がどのような人たちにカバーされたのかが分かる仕組みになっています。
例えば、オリジナル・ラブの「接吻KISS」という楽曲の場合で調べてみました。


出てくる画面の左上をよく見ると著作権は作詞・作曲の田島貴男以外に、ドラマのテレビ局と、音楽会社(ポニーキャニオン)にあることが分かります。


また、この楽曲を演奏している人として、ORIGINAL LOVE以外に25者がカウントされています。最近だと、中森明菜がカバーしていますが、50音順なので、年代が分からないところは残念です。


なお、田島貴男著作権管理をJASRACに委託していますが、高野寛スチャダラパーは、そのような方法を採っていないようです。


さて、このデータベースを見ていて、もしかして…と思ったのが、こちらです。


ファン垂涎の幻の楽曲「スターター」は、ちゃんと登録されてます。
(2008年にフジテレビの情報番組「サキヨミ」のオープニングテーマ曲になったものの、その後、販売も(当時のツアー以降は)演奏もされずお蔵入りになってしまった曲です。当時のファンの方たちの楽曲へ期待するコメントを読んでちょっと涙が出てきました笑)
どんな曲か忘れてしまいましたが、利用許可申請はできますので、マニアの方は是非(笑)


という感じで、「田島貴男」で検索した結果を見て行くと、勿論、他ミュージシャンへの提供楽曲もあるのですが、全く知らない名前があり、何だこれは?と確認してみると…




これは…

ちょうど1年くらい前に気になった例の曲じゃないですか。


ということで、その後のニュースは知りませんでしたが、田島貴男が作曲者として名前が載っている以上、関係者間で何らかの合意が得られていたのですね。
ある時期以降は、CDのライナー等の表記にも田島貴男の名前が入っているものと思われます。
オリジナル・ラブファンとしてはホッと胸をなでおろす感じです。
(というか、ここまであからさまだと仕方ないのかも)


多くの人にニュースを知ってもらうとともに、改めてオリジナル・ラブの楽曲の良さを確認したうえで、3/4楽曲の配信が始まる新曲に触れて頂きたいと思います。

*1:この本はネット連載をまとめたもので、JASRACに関しては、こちらがweb連載時のものです。