Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

世間から期待される「お母さん」像を考え直す〜田房永子『ママだって、人間』

ママだって、人間

ママだって、人間

ママだって、人間

ママだって、人間

本一冊全体を通して言えば、自分はこの漫画をあまり好きではない。


後半部は共感できるところもたくさんあるし、最後は優しい終わり方をしているので読後感は悪くない。
例えば、子どもが生まれてから、ママ友の言動に疑問を抱いたりしながら、世間からの「お母さん」として見られることに慣れていく部分。半ば違和感を覚えながらも、世間から期待される「お母さんの枠」の中に入りつつある自分を意識するあたりは、子どもを持ってすぐで同様の違和感を持つ女性には、実際に役に立ち、心の支えになる部分があると思う。
勿論、男親が読んでもすごく納得が出来る内容だし、こういった悩みを男性の側も理解しなくてはいけないと思う。
←これから産む人へ向けて体験談を語ったとき、他のママの喋りを見て
←「子育て大変ね」と言われたときは、没個性的な答えが期待されていることが分かってきたとき


ただし、やはりこの本のテーマにもなっている「女性の性欲」や「女性器」に過度に焦点を当てる内容が、自分には合わないのかもしれない。
この人の本を読むのは初めてだが、他の著作タイトルを見る限り、田房永子さんという人は、、既存の価値観、例えば男性中心となっている今の日本社会に対して、常に斜めから見て異議を唱えて、女性側から、もしくは自分の言葉で世界を再構築しようとしているのかもしれない。こういう部分を分かりつつも、「ま○この洗い方の問題」と言うタイトルで、1回分(8ページ)丸々をそれに割かれて連呼されると、(内容は面白かったが)何か違うと思ってしまう自分がいる。


自分は、昔ヤンサンに載っていた「青春くん」という漫画が大好きだった。絵は汚く、毎回、男性器が登場し、下ネタだけで構成された四コマ漫画だったが、ほとんど同じ展開のその4コマ漫画を毎回楽しみにしていた。
そうすると、男の下ネタOKでも女の下ネタはダメなのか?この漫画が気に入らないのは、自分が男性社会「側」に立って物事を考える癖がついているからじゃないのか?と自問してしまう。


泥沼にはまりそうなので、いや、絵柄がだめなのだ、とひとまず、そう思っている。
とにかく自分や旦那さんのことを、少しも可愛いとかカッコいいとか思わせず、敢えて嫌なやつ、神経質そうで仲良くなれなそうな人のように、露悪的に書く、そのひねくれ感が嫌なのかもしれない。青春くんは、あれだ、ちょっと可愛かった(笑)
ということで、モヤモヤは残るけど、自分はできないタイプのものの見方を教えてくれる漫画家なので、他の本も読んでみたい。
特に、この本には結局登場しないが、(出産についてさえ知らせることすらギリギリまで悩んでしまうほど嫌いな)実の母親について書かれた、この人の代表作『母がしんどい』や、タイトルがスゴイ『呪詛抜きダイエット』については、気になる。

呪詛抜きダイエット

呪詛抜きダイエット