Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

少数民族と日本人写真家〜ヨシダナギ『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』

ヨシダ,裸でアフリカをゆく

ヨシダ,裸でアフリカをゆく

2009年11月、エチオピアを訪ねて以来、アフリカ16か国で少数民族を撮り続けた“裸の美人フォトグラファー”ヨシダナギの全記録。
「相手と同じ格好をすれば、ぜったい仲良くなれる」とずっと思っていたヨシダナギ。彼女が裸族の前で裸になると、いままでになかった歓迎の舞が始まった――。
そんな彼女が大好きなアフリカとぶつかったり、爆笑したり、泣きわめいたクレイジーな紀行が、豊富なビジュアルとともに描かれた一冊です。

全く知らなかったが、グレートジャーニーなどへのテレビ出演でも有名になった“裸の美人写真家” ヨシダナギの初の紀行本。
ヨシダナギは 1986年生まれだというので、ちょうど一回り下になる。
2016年に発売された本だが、この中では、最初の旅として「エチオピア1―2009年11月→」(23歳)が、最後の旅として「タンザニア―2014年4月→」(28歳)が書かれており、エチオピア行きが、最初のアフリカへの旅となる。


後半こそ、彼女の特徴である「少数民族と同じ衣装(ほぼ裸のことが多い)になる」というシチュエーションが増えるが、彼女のやりたいことは恰好というよりは、大好きなアフリカに触れること、そこに住む人たちの笑顔を写真に収めることに向いている。
一方で、コミュニケーションについては、現地ガイドに頼らなければならない場合が多く、ガイドとのやり取りにも多くのページを割かれているが、それが面白い。特にマリとブルキファナソでガイドを務めたシセへの悪態がとても面白く、ここから知れるナギの人柄に引き込まれた。
特に好きなのは、不吉な夢を見て不安に思うナギを見て、シセの薦めで超有名な占い師に相談に行く場面。わざわざ遠いところを訪ねてシセが占い師に聞いたのはナギとの相性占いだったという顛末にナギは激怒。
その他、どの場面でもナギはシセに対して常に苛々しているのに、本として楽しい読み物になっているのは、文才があるからなのだろう。


アフリカ現地でのあれこれについては、トイレネタやゴキブリネタも強烈だが、ウガンダの図書館に行った際の話が興味深い。
その図書館は、日本人女性が貧しい町に住む子どもたちに少しでも学ぶ場を与えられたらとNPO法人を立ち上げ、つくったもので、ヨシダナギは図書館のお手伝いに行ったのだった。
しかし、子どもたちは、7歳くらいの年齢でも本を破る、食べる。
白い紙と色鉛筆を渡すと、破る、折る、持ち帰る。
折り鶴を渡しても破る、グシャグシャにする。
同じウガンダでは、仕事に対して不真面目な態度を取ったり、支援慣れをしている人たちを見て、しんどくなる心情も描かれる。


写真家として活動しているヨシダナギの本としては、写真の点数は少ないが、文章だけの面白さで圧倒的に読ませる本。
西武渋谷店で開催されていたヨシダナギ×NAKED「Sing-Sing!」は、ちょうど開催期間が5/13までということで行き逃してしまったが、写真集や著作を追いかけたい作家に出会えてよかった。そして、アフリカのことについてももっと色々と興味を持って知って行きたいと思った。