Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

淡々と体験談~奥野修司『死者の告白 30人に憑依された女性の記録』

死者の告白 30人に憑依された女性の記録作者:奥野修司講談社Amazon よく聞く「震災の怪談」に興味があった。 それは、残された者がどう心を癒すのか、死者を弔うとはどういうことなのか、という心の問題として、災害とどう向き合うのかについて知りたかっ…

「可哀想」に流されたくない~山本おさむ『遥かなる甲子園』

遥かなる甲子園 : 1 (アクションコミックス)作者:山本おさむ,戸部良也双葉社Amazon 前回読んだのは大学生くらいのときだと思う。 調布の図書館は漫画が充実していることもあり、借りて途中巻までは読んでいたが、何かのタイミングで最後まで読み終えること…

心に貯まる風景・言葉~映画『エンドロールのつづき』×井戸川射子『ここはとても速い川』

『エンドロールのつづき』 インドのチャイ売りの少年が映画監督の夢へ向かって走り出す姿を、同国出身のパン・ナリン監督自身の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。 平日に映画を観に行く場合は、作品以上に上映開始・終了時間が重要で、3つくらいの候補の…

新年の抱負代わりに2冊を読む~三浦知良『カズのまま死にたい』×益田ミリ『永遠のおでかけ』

カズのまま死にたい (新潮新書)作者:三浦知良新潮社Amazon永遠のおでかけ(毎日文庫) (毎日文庫 ま 1-1)作者:益田 ミリ毎日新聞出版Amazon2つの本の共通点は何か。 両方の本のタイトルからイメージされる「死」という答えはハズレ。 正解は、どちらも著者の48…

三浦透子の横顔が印象に残る~玉田真也監督『そばかす』

前向きになれる映画だった。 事前情報としては、主人公がアセクシュアルであるということ以外は、アトロクの年末映画特集(放課後ポッドキャスト)で名前が挙がったことくらいしか知らず、その意味では色んな映画に出ずっぱり*1の三浦透子を見るのが一番の目…

子どもからみる親権~榊原富士子・池田清貴『親権と子ども』

親権と子ども (岩波新書)作者:榊原 富士子,池田 清貴岩波書店Amazonいわゆる「共同親権」の問題に関心があり読んでみた一冊。 元々は将棋の橋本崇載八段(ハッシーと言われて親しまれていた)が、2021年の4月に突然、引退を発表し、その後、原因が「子どもの…

スラムと希望とハミングバード~熊谷はるか『JK、インドで常識ぶっ壊される』

JK、インドで常識ぶっ壊される作者:熊谷はるか河出書房新社Amazon 朝日新聞元旦紙面での川崎レナさん 我が家は新聞を購読していないが、1月1日は、いつもと同じ価格で拡大版が買えてお得なので、朝日新聞を購入した。 11面のオピニオン欄は「『覚悟』の時…

2023不満初め~原恵一監督『かがみの孤城』

最初、『かがみの孤城』をアニメ映画でやるというのを知ったとき、「本屋大賞を取っているし、辻村深月作品はよく映画化されるね」と思った程度で関心は薄かった。絵柄を見ても、全く惹かれない。 ところが、アトロクでアニメ評論家の藤津亮太さんが激賞して…