Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

「生きやすい街」とは~香山哲『ベルリンうわの空』×『「助けて」と言える国へ』

ベルリンうわの空作者:香山 哲発売日: 2020/01/17メディア: コミック ドイツ、首都ベルリン。ベルリンといえば、壁、ビール、ソーセージ。だけじゃなくって、様々な文化、様々な人々…、パリや東京とも並ぶ国際都市だ。そんな街で僕は…、僕は…、あんまり何も…

アレだとしたらアレが成立しないよね~クリストファー・ノーラン『TENETテネット』

TENETポスター 『インセプション』でクリストファー・ノーランの作家性を復習し、十分に準備した上で迎え撃った『テネット』は、ちょっと凄い映画だった。 難解 やはりこの映画の特徴は、派手な見た目から想像できない、その難解さにある。 特にクライマック…

うわっ…日本の女性閣僚比率、低すぎ…?~前田健太郎『女性のいない民主主義』(その3)

女性のいない民主主義 (岩波新書)作者:前田 健太郎発売日: 2020/01/30メディア: Kindle版先週発足した菅内閣の女性閣僚は、以前よりも1人減って2人となった。 妥当な人材がいない、という、ただそれだけの理由だとしても、ここまで少ないのは、国際的に見て…

イタチが不真面目すぎる笑~川添愛『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」』

働きたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える「人と言葉」作者:川添愛発売日: 2017/06/17メディア: 単行本(ソフトカバー) 中高生から大人まで「言葉を扱う機械」のしくみと、私たちの「わかり方」を考える。 なんでも言うことを聞いてく…

社会規範は行動や感情を制約する~前田健太郎『女性のいない民主主義』(その2)

女性のいない民主主義 (岩波新書)作者:前田 健太郎発売日: 2020/01/30メディア: Kindle版 (その1からの続きで、今回は第一章のまとめです) 読み直してみると、1章は、これまで自分自身の意見だと思っていたものが、意識しないままに「大きなもの」に影響を…

自分の視点から見える世界は限られている~前田健太郎『女性のいない民主主義』(その1)

女性のいない民主主義 (岩波新書)作者:前田 健太郎発売日: 2020/01/30メディア: Kindle版 自分は小池百合子都知事が嫌いなので、小池さんが出馬した2度の都知事選では、いずれも他の候補に投票した。しかし奥さんは違う。 今回、奥さんに「何で小池さんにす…

難解なルール or die ~クリストファー・ノーラン監督『インセプション』

インセプション (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Video 『テネット』公開に合わせてということか、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』が4DXで劇場公開中ということで、親子で観てきた。 一度目に観た記憶 それにしても、一度見て…

支える・支えられる~浅生鴨『伴走者』

伴走者 (講談社文庫)作者:浅生 鴨発売日: 2020/02/14メディア: 文庫 伴走者とは、視覚障害者と共に走るランナーである。「速いが勝てない」と言われ続けた淡島は、サッカーのスター選手として活躍しながら事故で視力を失った内田の伴走者として、パラリンピ…

コロナ禍で読む感染症漫画~朱戸アオ『リウーを待ちながら』

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)作者:朱戸アオ発売日: 2017/06/23メディア: Kindle版 富士山麓の美しい街・S県横走市──。駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒。同じ症状の患者が相次いで死亡した。病院には患者が詰めかけ、抗生剤は不足、病…

「諸説」として扱ってはならない~ 加藤直樹『TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち』

TRICK トリック 「朝鮮人虐殺」をなかったことにしたい人たち作者:加藤直樹発売日: 2019/07/05メディア: 単行本(ソフトカバー)昨年の今頃、加藤直樹『九月、東京の路上で』を読み、強く心に残った一冊となったので、少し前(昨年6月)に出たばかりのこの本…

似てますよね~『見えない目撃者』VS『アンナチュラル』

見えない目撃者 見えない目撃者発売日: 2020/01/18メディア: Prime Video 警察官として将来を有望視されながら、自らの過失による事故で視力も大切な弟も失い、失意の底にあった浜中なつめ(吉岡里帆)は、ある夜、車の接触事故に遭遇。なつめは慌てて立ち去…

「かわいそう」には「感謝」が足りない~内澤旬子『飼い喰い 三匹の豚とわたし』

飼い喰い――三匹の豚とわたし作者:内澤 旬子発売日: 2012/02/23メディア: 単行本 内澤旬子さんを知ったのは、『ストーカーとの七〇〇日戦争』が最初。この内容について、荻上チキSession22に出演しているのも聴いて、ストーカーの実体験を本にしてしまうバイ…

「元気をもらう」は実在する~城定秀夫監督『アルプススタンドのはしの方』

映画館に映画を見に行ったのは、4/1に『パラサイト』(2度目)を見て以来でしたが、市松模様の座席に戸惑いながらも、そして、現実には行われていない夏の高校野球選手権大会を羨ましく思いながらも、やっぱり映画は楽しい!と思える素晴らしい映画体験でし…

1粒で2度、どころか無限に楽しめる~RYUTist『ファルセット』

ファルセットアーティスト:RYUTist発売日: 2020/07/14メディア: CDここ最近、気が付けばずっと聴いているRYUTist『ファルセット』についてアレコレ書いてみた。 RYUTist『ファルセット』を買うまで アイドルをしっかり聴いたのはモーニング娘。の「黄金の9人…

知識より態度を~上野千鶴子×田房永子『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください! 』

上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!作者:上野 千鶴子,田房 永子発売日: 2020/01/12メディア: 単行本(ソフトカバー) 田房永子さんについて 女性の生きづらさ(あえて「フェミニズム」という言葉を使わない)についての本を読み始めたの…

死にたい二人を救ったもの~映画『聲の形』

映画『聲の形』Blu-ray 初回限定版発売日: 2017/05/17メディア: Blu-ray 『聲の形』には、もともと漫画連載時から興味があったので、何となくの筋は知っていたが、実際に映画を観てみると、「あらすじ」を超える圧倒的なものを持った作品になっていた。 ここ…

四半世紀ぶりに再読したホラー短編集~井上雅彦『異形博覧会』

異形博覧会 (角川ホラー文庫―怪奇幻想短編集)作者:雅彦, 井上メディア: 文庫 まさに四半世紀ぶりくらいに読む短編集。 高校生の頃だったか、ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)の小説版をよく読んでいて、その頃のことも思い出した。『異形博覧会』が刊…

38年差対決の結果は…?~『斜め屋敷の犯罪』(1982)VS『#柚莉愛とかくれんぼ』(2020)

島田荘司『斜め屋敷の犯罪』 改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)作者:島田荘司発売日: 2016/02/12メディア: Kindle版自分の読んだ2016年発売の講談社文庫の「改訂完全版」の綾辻行人による巻末解説に詳しいが、『斜め屋敷の犯罪』は1982年11月に講談社…

なぜ唐突にバキ!~熊澤尚人監督『ユリゴコロ』

ユリゴコロ発売日: 2018/04/04メディア: Prime Videoユリゴコロ (双葉文庫)作者:沼田 まほかる発売日: 2014/01/09メディア: 文庫 先日、沼田まほかるの原作小説『ユリゴコロ』を読み終えて、さあ、感想を書こうと思ったら、3年前に既にブログ記事が書かれて…

演劇だったら全部できる~行定勲監督『劇場』

劇場メディア: Prime Video 高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。 しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。 解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のは…

私がつくりたいのはロボットではない~吉藤健太朗『「孤独」は消せる。』

「孤独」は消せる。作者:吉藤 健太朗発売日: 2017/03/10メディア: Kindle版 難病ALSは安楽死する人さえいる過酷な病。そして、患者さんが何より恐れているのは、コミュニケーションが閉ざされて永遠に孤独になること。オリィくん(吉藤健太朗さんのニックネ…

異形の設定には異形の展開を期待してしまった~黒澤いづみ『人間に向いてない』

人間に向いてない (講談社文庫)作者:黒澤いづみ発売日: 2020/05/15メディア: Kindle版 とある若者の間で流行する奇病、異形性変異症候群にかかり、一夜にしておぞましい芋虫に変貌した息子優一。それは母美晴の、悩める日々の始まりでもあった。夫の無理解。…

死をきっかけに作家を知るのは辛い~浦賀和宏『彼女は存在しない』

彼女は存在しない (幻冬舎文庫)作者:浦賀和宏発売日: 2012/11/30メディア: Kindle版 平凡だが幸せな生活を謳歌していた香奈子の日常は、恋人・貴治がある日突然、何者かに殺されたのを契機に狂い始める…。同じ頃妹の度重なる異常行動を目撃し、多重人格の疑…

絶対に併せて読みたい相思相愛解説~河合香織『帰りたくない』×角田光代『坂の途中の家』

文庫本の楽しみは何といっても解説だと思うのです。 やっと本を読み終えた!誰か読んだことのある人と話をしたい! …と思っても、そんな人が近くにいる、というシチュエーションに巡り合うことはまずありません。 そんなときでも読了直後から話につきあって…

映画の中で見える「強さ」~『キングダム』×『散歩する侵略者』

最近見た映画の感想を二つ合わせて。 キングダム キングダム(映画)発売日: 2019/10/09メディア: Prime Videoキングダムは、昨年、映画館で予告編のみは何度も見ていたが、結局、テレビ放送のタイミングで鑑賞。とても流行っている原作は未読。 感想はお金を…

映画と旅と~『37セカンズ』『百万円と苦虫女』

『37セカンズ』 『37セカンズ』本予告 生まれた時にたった37秒間呼吸が止まっていたことが原因で、手足が自由に動かない身体になった主人公・貴田ユマ(佳山明)。親友の漫画家のゴーストライターとして働いて自分の作品として出せないことへの寂しさや⻭がゆ…

新型コロナ禍での生活(1月下旬~3月中旬)

ほんの2~3か月には全く予想しないほど大きく生活が変わってしまいました。 最近では(もう元には戻らないという意味で)「コロナ後」「ニューノーマル」なんて言葉が使われるのも見かけますが、「元の生活」がどこまで取り戻せるのか、心配でたまりません。…

僕がビブリオバトルを好きな理由~熊谷晋一郎『小児科の先生が車椅子だったら』

小児科の先生が車椅子だったら ─私とあなたの「障害」のはなし (ちいさい・おおきい・よわい・つよい)作者:熊谷 晋一郎発売日: 2019/04/25メディア: 雑誌熊谷晋一朗さんは、東京大学先端科学技術研究センター准教授で小児科医、新生児仮死の後遺症から脳性麻…

ORIGINAL LOVE『bless You!』全曲感想(7)ゼロセット

bless You! (完全生産限定盤)アーティスト:ORIGINAL LOVE発売日: 2019/02/13メディア: CD 東京FMのラジオ番組「KIRIN BEER “Good Luck” LIVE」 での田島貴男のゲストライブを聴いた。 今回、毎年冬から春に行っている弾き語りツアーが新型コロナウイルスの関…

藤井太洋『ワンモア・ヌーク』と2020年おすすめ散策ルート

新型コロナウイルス騒動で、様々なイベントの延期や中止の話が騒がれる3月15日に、子ども二人を連れて新国立競技場に行ってきました! もともとは、2月末 にできたばかりの漫画『3月のライオン』デザインのマンホールが目当てでしたが、その近くには2020年を…