Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

国民と政治家の信頼関係

ところで、選挙される側の政治家は、僕ら選挙民のことをどう思って、どのような選挙活動を行うのがよいのだろうか?
前のエントリの1、2、3に合わせて3つ挙げてみた。

1.バカとして対処する

言葉がかなりきつくなってしまったが、実際には政治家やマスコミは、広範囲の人に向けてわかるようにメッセージを送る必要があるから、レベルを落として喋らざるを得ない。
だからといって、こういうのはどうなんだろうか?

多かれ少なかれ、国民はバカだと思われているフシがある。国民が政治家を信頼していないのではなく、政治家に信頼されていないのだ。信頼関係構築のためには、誠実さの欠ける発言にはどんどんツッコミを入れていこう。

2.自分で勉強しろと説明を放棄する

討論番組などでよく見かける論法だ。特に問題なのは、Aについて、バカにでも分かる説明を繰り返すことで、時間的な制約からBについては触れない、という場合だ。自分の弱みを好んで話すことも無いだろうが、選挙民の立場からは、「弱み」についても話してくれた方が信頼感が増す。「マジメ」が売りの民主党岡田代表は、どのようにして自分の誠実さをアピールすればいいか、もう少し考えた方が良いと思う。
さて、自分のではなく、相手の「弱み」なら、喜んでつつけるから討論というのは貴重な機会だろう。特に、選挙後の政界再編と若手の台頭に注目が集まる中、以下のような取り組み(若手の討論会)は、非常に評価できる。

世耕弘成自民党広報本部長代理が民主党本部で藤井裕久・同党代表代行と会談し、「1対1の党首討論は他党と機会均等でない」と述べ、党首討論は29日に予定されている日本記者クラブ主催の各党党首討論会で行えばよいとの考えを伝えた。
また、世耕氏は郵政民営化などをテーマとした若手政策実務者による「各党公開政策討論会」を31日に開催することを逆提案した。

3.相手の理解度に合わせた説明をして、選挙民の国政への理解度を上げる

小泉首相の「ポピュリズム」「衆愚政治」「劇場国家」と揶揄されるやり方の良いところは、政治に関心が集まるところだ。今回も、「刺客」だホリエモンだと公示前から話題に事欠かず、このまま息切れしなければ、投票率も上昇するのではないか?
しかし、一方で、小泉首相の発言は、一面的な物の見方の繰り返しに終始することが多く、話を聞いて情熱は伝わっても、理解は深まらない。
そういう意味では、政治家が、今回の選挙戦を通じて、国民の理解度を上げるような行動を取っているのは非常に嬉しい。こういうことがもっと行われるべきだと思う。

自由民主党は25日、メールマガジンおよびブログ作者と党幹部との懇談会を開催する。午後7時より自民党本部で行なわれる。
自民党からの参加者は、武部勤幹事長、安倍晋三幹事長代理(予定)、世耕弘成広報本部長代理の3人。メールマガジン・ブログ作者は、経営、マーケティング、ニュースなどのジャンルでメールガジンやブログを執筆している作者30人程度が参加する。

まとめ

政治を支えるのは国民と為政者との信頼関係であり、選挙運動を単なる「人気取り」と考えるか、「信頼関係」の構築と捉えるかで政治家の質がわかるというものだ。
その意味で、今回の、自民党世耕弘成広報本部長代理の提案した二つの会(若手政策実務者による「各党公開政策討論会」と ブログ作者との懇談会)は、非常に評価したい。

補足

この二つのエントリは、swan_slabさんの以下のエントリの前半部に喚起されて書いたものです。

その後、以下のようなエントリが追加されていました。

swan_slabさんみたいな人にも、やはり郵政民営化問題は難しいのだな、と少し安心した。
エントリ内で特に共感したのは以下の一節。

要するに、特定の政策について、その評価について専門家の間でも様々な異論があったり一義的に答えを出せないような、不確実性を含むリスク評価をしなければならず、かつ、将来のことを考えて、それに対するリスク管理手法について、今すぐに社会的合意が必要と考えなければいけない問題に対して、大多数の素人がいかにアプローチすべきか、という問題だ。

要するにリスク・コミュニケーション。

どういうリスクが現在あるいは将来発生するのか。

それに対して、どのような対策をとるべきなのか。

と、その次のエントリの結論部分

情報の信頼性を試す一つのテストは、「語りえないものについて語っていないかどうか」であると私は考えている。専門家といえども、わかっていないこと、予測が不確実な事柄につついては、わからないといわなければならない。ここまではわかっているが、ここから先は現時点ではわかっていない、と。

つまり、確実な予測だけではなく、不確実性について、有権者に誠実に提示することが重要である。

小泉政権4年間において決定的に欠落していたのは、この不確実性についての説明責任であったと私は思う。

自分のエントリの結論部分とややカブるところが嬉しい。僕の頭も捨てたもんじゃない。
政治家の議論は、基本的に、自党の案のメリットと他党の案のデメリットを挙げるかたちでやり合うので、議論がクロスして真正面からぶつからない。考えられる複数案について同じ視点からメリット、デメリットを挙げ、長いスパンで実現性を評価することが、「わかりやすい政治」につながるはずだ。(理想論ですが・・・)
リスク・コミュニケーションについては、自分の中の今年の大きなテーマの一つなのにさぼっていたせいでよくわからないところもあるが、おそらくそういうことだろう。
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