Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観6/10(日)

わからないながらも、毎週一回日経を読むコーナー。

コムスン指定打ち切り、利用者の不安広がる/「安心できる業者どこに」(39面:社会)

コムスンの問題について、一番疑問に思うのは「そもそも福祉で利益を求めるのが間違い」という、一見まともな主張がまかり通ること。泥酔論説委員さんの文章に、言いたいことが全部書かれているので引用する。

福祉で儲けを出そうだなんてとんでもない、そもそも福祉を企業になんか任せるからこうなるのだ、こういう意見もありましたが、ならば介護事業はかつてのように公的機関がやれば済む話なんでしょうか。
社保庁のように役所がいかにデタラメなのか、それを批判する口で今度は福祉の民営化はケシカランと言ってるのですから、一体どうすればいいのかこちらには伝わってきません。
国民へのサービスを民営化するという方向は基本的に間違っておらず、その過程で齟齬があればそれはそれで正していけばいいだけだと思うのです。
資本主義経済で利益を出すことは害悪でなく、どのような事業であれ、利益はその事業をより発展させる為の原動力なんです。

ただ、疑問は、介護でどうやって利益を出せるのか、という点。
極東ブログでは、厚生労働省との阿吽の呼吸についての示唆があるが、だとすればいわば官製談合のようにして、ある程度国の了解のもとで上ってきた梯子を急に外された可能性も十分想像できる。

 そもそもコムスンっていうのは、全国展開をしていた。儲け一辺倒ならそうすべきではない。コンビニの世界でもセブンイレブンは沖縄に手を出さない(ローソンとファミマが多い)。いや他の地域にも手を出さない。全国展開なんか考えてもいない。
 逆にコムスンはなぜ全国展開を志向していたのかという疑問が沸いてくるし、ちょっと考えると、不正をすればなんとかなると思っていたということなのだろうか。そうかもしれない。そのあたりがわからない。あるいは、ある程度の不正は不利益地域展開とのバーターだったんじゃないだろうか。そして、厚労省もそのあたりは阿吽で認めていたんじゃないだろうか。

話が拡散するが、今朝のテレビでは、グッドウィルの折口会長が各局の番組に出演していた。
それらの一つ、フジテレビ系『とくダネ』の論調は変わっていて、コムスン擁護ではないにしろ、反「コムスン叩き」で、ピーコなどは折口会長を突っ込みまくっていたが、番組全体としては、介護制度自体の問題点に焦点を当てた内容。諸星裕氏の折口会長への発言「業界最大手として、介護制度の問題点を国や国民にもっとアピールすべきだった」というのは、非常に納得の行く意見。
年金問題の対策が近視眼的になっているのと同様に、コムスン叩きに熱中するあまりに、介護制度の長期的な議論がおろそかになるのは避けたい。
〜〜〜
なお、引き受け先として、現在挙がっているのは、ワタミニチイ学館だが、両者が得意とする分野が異なる。

老人ホームの方がお金持ちの顧客を確保できるということを考えれば、ワタミが施設介護に特化したい気持ちはわかる。(逆にいえば、訪問介護は儲かる制度になっていないようだ。⇒さっき見ていたニュース23を参考にした。)
いずれにしても、コムスン側が望む「一括売却」というのは相当にハードルが高いようだ。

増税論議「封印」の先は・・・(3面「けいざい解読」)

説明の流れは以下の通り。

  • 増税の必要性
    • (1)財政の立て直し(2)少子高齢化でも安定した社会保障
    • 当面の目標「2011年までに財政収支を黒字に」⇒歳出削減だけでは不足するため、達成には最大5兆円くらいの増収策が必要(消費税で焼く2%)と、2006年当時は想定
  • 環境の変化⇒増税先送り
    • 税収が予想以上に好調
    • 諮問会議の中期方針(2007.1)では、構造改革による生産性向上で、名目成長率が高まり増税なしで財政目標が達成できるとしている
    • 安倍政権の支持率低下 ⇒歳出増大を主張する議員も

まとめとしては、増税を公約に掲げて政権を手にしたメルケル独首相の例を挙げ、重要政策から逃げてはならない、としている。また、増収策だけでなく、経済活性化につながる改革(所得税法人税)が必要としている。
自分としては、年金問題のみが盛り上がる中、このまま参院選に行くのは勘弁してほしいという思いがある。いわゆる「弥縫策」に終始するようなら政治家なんていらないのでは?それこそ増税議論も含めて、長期的な観点の議論をしてほしい。どうせ、時期が来たら「国民の理解」だとか「国民の議論」だとかいう話が出るのだ。選挙の際に行わなくていつ行うのか、という気がする。

国民年金 保険料納付率低下に拍車/記録漏れが波及 徴収強化人員まわせず(3面)

年金不信が高まって、保険料納付率が低下」というよりは、「人員不足で保険料徴収が手薄に」という内容。
現在60%強の納付率を80%にするという目標は達成のめどが立たなくなっているという。
記録漏れの問題解決のために、金も人もかけて、さらに赤字が嵩むという、泥沼の状況。
「100年安心」なのになあ・・・。

生命倫理の現場と理論(23面:読書「今を読み解く」)

森岡正博が担当。『感じない男』のイメージと異なり、ものすごく真面目。
英語圏生命倫理が抽象的な議論を中心とするのに対し、日本のそれは具体的な問題に焦点を当てる(臨床倫理)・・・などという話。
ちょっと、ここは上手くまとめられないが、生命倫理の基本の部分はちょっと勉強したい。
ここで挙げられていた3冊は、専門書みたいなので、簡単なものを読みたい。
⇒(参考)過去日記:『感じない男』感想

究める−梅原猛氏(27面:教養)

梅原猛氏、自分の中では、「昔の人」という印象でしたが、存命でしたか。
1925年「仙台市」生まれということは今年82歳。大作『京都発見』(全9巻)を完結させた現在は、世阿弥と能に関する文章と、歌舞伎の原作を執筆中だという。
キーワードとしては「京都学派」。今西錦司梅棹忠夫からフィールドワークの手法を学んだ。
これまで3度癌にかかり、最近まで放射線治療!凄すぎます。写真を見る限りかなり元気です。

「第3の推論」で変革実現を(31面:サイエンス「かがくCafe」)

アブダクション」(仮説法)と呼ばれる、帰納でも演繹でもない推論の形式の重要性について説いた文章。
アブダクションとは「仮説法、仮説的推論、発見法」などの名前から、分かるとおり、帰納や演繹で導けない「仮説」(ひらめき)を間に挟む推論の形式。
最後に組織について述べられているが、帰納・演繹を理路整然と進められる人、アブダクションが得意な人の、どちらのタイプも組織には必要というまとめには納得。
ただ、自分は「アブダクション」と聞くと、宇宙人による誘拐を思い出してしまう。