わからないながらも、毎週一回日経を読むコーナー。
コムスン指定打ち切り、利用者の不安広がる/「安心できる業者どこに」(39面:社会)
コムスンの問題について、一番疑問に思うのは「そもそも福祉で利益を求めるのが間違い」という、一見まともな主張がまかり通ること。泥酔論説委員さんの文章に、言いたいことが全部書かれているので引用する。
福祉で儲けを出そうだなんてとんでもない、そもそも福祉を企業になんか任せるからこうなるのだ、こういう意見もありましたが、ならば介護事業はかつてのように公的機関がやれば済む話なんでしょうか。
社保庁のように役所がいかにデタラメなのか、それを批判する口で今度は福祉の民営化はケシカランと言ってるのですから、一体どうすればいいのかこちらには伝わってきません。
国民へのサービスを民営化するという方向は基本的に間違っておらず、その過程で齟齬があればそれはそれで正していけばいいだけだと思うのです。
資本主義経済で利益を出すことは害悪でなく、どのような事業であれ、利益はその事業をより発展させる為の原動力なんです。
ただ、疑問は、介護でどうやって利益を出せるのか、という点。
極東ブログでは、厚生労働省との阿吽の呼吸についての示唆があるが、だとすればいわば官製談合のようにして、ある程度国の了解のもとで上ってきた梯子を急に外された可能性も十分想像できる。
そもそもコムスンっていうのは、全国展開をしていた。儲け一辺倒ならそうすべきではない。コンビニの世界でもセブンイレブンは沖縄に手を出さない(ローソンとファミマが多い)。いや他の地域にも手を出さない。全国展開なんか考えてもいない。
逆にコムスンはなぜ全国展開を志向していたのかという疑問が沸いてくるし、ちょっと考えると、不正をすればなんとかなると思っていたということなのだろうか。そうかもしれない。そのあたりがわからない。あるいは、ある程度の不正は不利益地域展開とのバーターだったんじゃないだろうか。そして、厚労省もそのあたりは阿吽で認めていたんじゃないだろうか。
話が拡散するが、今朝のテレビでは、グッドウィルの折口会長が各局の番組に出演していた。
それらの一つ、フジテレビ系『とくダネ』の論調は変わっていて、コムスン擁護ではないにしろ、反「コムスン叩き」で、ピーコなどは折口会長を突っ込みまくっていたが、番組全体としては、介護制度自体の問題点に焦点を当てた内容。諸星裕氏の折口会長への発言「業界最大手として、介護制度の問題点を国や国民にもっとアピールすべきだった」というのは、非常に納得の行く意見。
年金問題の対策が近視眼的になっているのと同様に、コムスン叩きに熱中するあまりに、介護制度の長期的な議論がおろそかになるのは避けたい。
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なお、引き受け先として、現在挙がっているのは、ワタミとニチイ学館だが、両者が得意とする分野が異なる。
老人ホームの方がお金持ちの顧客を確保できるということを考えれば、ワタミが施設介護に特化したい気持ちはわかる。(逆にいえば、訪問介護は儲かる制度になっていないようだ。⇒さっき見ていたニュース23を参考にした。)
いずれにしても、コムスン側が望む「一括売却」というのは相当にハードルが高いようだ。
増税論議「封印」の先は・・・(3面「けいざい解読」)
説明の流れは以下の通り。
- 増税の必要性
- 環境の変化⇒増税先送り
まとめとしては、増税を公約に掲げて政権を手にしたメルケル独首相の例を挙げ、重要政策から逃げてはならない、としている。また、増収策だけでなく、経済活性化につながる改革(所得税、法人税)が必要としている。
自分としては、年金問題のみが盛り上がる中、このまま参院選に行くのは勘弁してほしいという思いがある。いわゆる「弥縫策」に終始するようなら政治家なんていらないのでは?それこそ増税議論も含めて、長期的な観点の議論をしてほしい。どうせ、時期が来たら「国民の理解」だとか「国民の議論」だとかいう話が出るのだ。選挙の際に行わなくていつ行うのか、という気がする。
国民年金 保険料納付率低下に拍車/記録漏れが波及 徴収強化人員まわせず(3面)
「年金不信が高まって、保険料納付率が低下」というよりは、「人員不足で保険料徴収が手薄に」という内容。
現在60%強の納付率を80%にするという目標は達成のめどが立たなくなっているという。
記録漏れの問題解決のために、金も人もかけて、さらに赤字が嵩むという、泥沼の状況。
「100年安心」なのになあ・・・。
生命倫理の現場と理論(23面:読書「今を読み解く」)
森岡正博が担当。『感じない男』のイメージと異なり、ものすごく真面目。
英語圏の生命倫理が抽象的な議論を中心とするのに対し、日本のそれは具体的な問題に焦点を当てる(臨床倫理)・・・などという話。
ちょっと、ここは上手くまとめられないが、生命倫理の基本の部分はちょっと勉強したい。
ここで挙げられていた3冊は、専門書みたいなので、簡単なものを読みたい。
⇒(参考)過去日記:『感じない男』感想