Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

はてなスターは「読み手」のためのサービス?

はてなの新しいサービスが開始された。
サービス名は「はてなスター」。
基本的には、読む側が「よい」と思ったエントリのタイトル横のボタンを押すことで、励ましの言葉?をブロガーに伝えてあげるシステムだ。(押すと★が増える)

「見せるひとりごと」としてのブログ

はてなダイアリーを書き始めて4年目になるが、自分にとってブログは「見せるひとりごと」だ。ブログの位置づけとして「情報発信」や「コミュニケーション」に重きを置く人もいるかもしれないが、自分には、その意識は低い。
「ひとりごと」と言い切る理由は、第一の読者が自分だからだ。あくまで自分のために書くからだ。ときにサービス精神旺盛に振舞ったとしても*1、それが自分に返ってくることを期待している。いわば、情けは人のためならずといったところだろうか。
また、「情報提供」にこだわりがないので、読む側の関心を引く引かないを意識せずに、自分が興味を持った内容だけを取り上げる。
「コミュニケーション」手段としての有用性も意識しており、コメント欄は開けている。実際にコメントをもらうと非常に嬉しい。しかし、実は、エントリをアップした段階で、第一の読者との対話が済んだ状態であり、半ば目的を達しているのだ。
何より、いちいちコメントの有無に一喜一憂していたら、3年もブログを続けていない。
そして、自分は、そういう「ひとりごと」のブログを「読む」のも好きだ。こういう機会でないと、他人のひとりごとを聞くことはできないから・・・。

ブクマもやはり「ひとりごと」

はてなブックマークが出たときには、すぐにその仕組みがわからなかったが、やはりブクマも「ひとりごと」なのだ。
他人のブログに対してコメント欄があるのに、そちらを使わずブクマするのは、書き手に伝えたいというよりは、自分の備忘録のためであり、ブクマコメントは「ひとりごと」を大多数に見てほしくて公開している。これは、「誰に向けて書いているか」ということがある程度明確なブログコメント欄との大きな違いであり、より「ひとりごと」的=「ブログ」的である。
先日読んだ『デジタル・ワークスタイル』では、web2.0的なツールの利便性について紹介されたあと、徳力さんの主張は「ブログを書け」に収斂されていた。全編を通したメッセージとしては、ブログもブクマも「自分のため」に使うことで洗練されていく、というようなものだったと思う。

デジタル・ワークスタイル―小さなことから革命を起こす仕事術

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少しまとめると、ブログも、ブクマも、使う側(書き手)が主役になり、「伝える」ことは二の次で、エゴに任せて利用するのが一般的な方法であるということができると思う。

はてなスターは「リーダーフレンドリー」

しかし、今回登場した「はてなスター」は、まず、主役になるのは「書き手」ではなく「読み手」であり、「伝える」ことを目的としたシステムであるといえる。何かのエントリを読んで「面白かった」ということを書き手に伝えたい場合、これまで、はてなではブログコメント欄、メール、はてなブクマの3つの方法があった。

  • ブログコメント欄は、書き手に向けてメッセージを送りながらも、周りの目も気にしなければならない、という意味で、実はブログを書くよりもスキルが必要である。少なくとも「ひとりごと」では困るため、気軽にはコメントできない。
  • メールでは、ある程度まとまった文章量が必要、自分のメールアドレスを伝えなくてはならない、相手からの返信(まとまった文章量)を催促するようで気が引けるなどの問題があった
  • ブクマコメントの場合は、上にも書いたとおり、「ひとりごと」なので、「伝える」ことには向かない。

はてなスターは、これらの方法とは異なり、書き手に気軽に好意を伝えることができる方法である。読み手の目的は「伝える」ことであり、自分が注目されたいわけでは決してない。
これは、ブログやブクマが向かった方向とは逆になるが、いい読み手がいい書き手を育てるという意味では、書き手、読み手、それぞれについての対策が必要なのだろう。

問題点

ただし、はてなスターにも問題はある。

ぶくまの傾向を見てもそれほど、普通のエントリというのは読まれていないし、なんというか、それほど評価に値するみたいな価値観なくエントリってたらーっと書いてもいいじゃん、というか、そういうところになんか、☆とか入れないでほしい。ついでにいうと、アマゾンの☆とかもほんと意味ないし。

最近のはてなブックマークは、衆愚だとかネットイナゴだとかネット赤潮だとかいわれるような「大勢に流されやすい」性質が色濃く出てしまい、本当に良質なエントリは、むしろ陰に隠れてしまうような傾向にある。
はてなスターも、その問題点がそのまま受け継がれる可能性があるし、finalventさんの指摘するとおり、評価そのものに大きな意味を見出せない、ということもあるだろう。
⇒これについて追記:はてなスターが生む「ブログ格差」

展望

そういった問題点は抱えつつも、自分は、このシステムには期待している。
勿論、「読み手」のためのサービスなので、「書き手」としては、煩いだけの機能に見えてしまうが、しばらく経てば、書き手にもその有効性が分かってくるのだろうと思う。

一番よくわからない、閉鎖空間内でのコメントのやりとりについても、「はてなスター日記」で書かれているように、オープン/クローズの両方ががあることで全体的な質を上げることにつながるということもありうるのかもしれない。*2

オープンな空間に部分的な閉鎖空間を偏在させることによって、良質なコメントのやり取りができるようになると考えています。

また、はてなが、mixiなどのSNS的なものではなく、オープン空間のブログをメインに位置づけていることが分かり、それだけでも満足した。

はてなではこれらの状況を踏まえて、「ブログサービスはまだまだ発展途上であり、より快適に利用できる仕組みへとブログを進化させなければならない」という結論に達しました。オープンな空間に文章を書くことの素晴らしさを多くの人が体験しないまま、ブログをやめてしまったり、閉鎖的な空間に閉じこもってしまうのではなく、その素晴らしさを誰もが簡単に感じることができる仕組みと場を作り上げていくことが自らの使命であると考えます。

「書き手」からすれば、やっぱり「ひとりごと」でも、オープンな空間に書くことで、それなりの広がりを見せていくものだと思う。
書き手、読み手の双方に配慮した、これからのはてなのサービスの「進化」に非常に期待しています。
〜〜〜
ご清聴ありがとうございました。是非とも、エントリタイトル横のはてなスターのボタンを押してみてください。

*1:思い返すと、自分のブログでは、読む人のために書き上げたエントリはほとんどない・・・笑

*2:オープンな空間だけでは、コミュニケーションのやりとりに制限(ストレス)が多すぎるということもいえるのだろう。以前、コメント欄利用時の「マナー」(⇒過去のエントリ)を考えたが、オープンなコメント欄での自由なふるまいは、暗黙のうちに制限されているといえる。