Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

サイボーグ009 (21) 〜神々との闘い編〜

サイボーグ009 (21) (秋田文庫)

サイボーグ009 (21) (秋田文庫)

主題歌は大好きなのだが、実はアニメ『サイボーグ009』は、あまり見た覚えがない。むしろ、009にとってのジェッター・マルス的な存在*1?『氷河戦士ガイスラッガー』の方が記憶にある。
さらに、石ノ森章太郎については、コミックをほとんど読んだことがない。(日本経済入門の一巻くらいか?)
そんな石ノ森経験値の低い自分が、いきなり問題作を取り上げて書くのも何かと思うが、かなり拍子抜けだった。というか、梯子を外された気分、という方が近いか。*2

第4期(1970年)
「神々との闘い編」。「COM」(虫プロ商事)に連載。中絶した「天使編」を構想を新たに描き直したものだが、やはり中断という同じ運命を辿った。この後しばらくの間、『サイボーグ009』は描かれなくなる。

Wikipediaにもあるように、このシリーズは未完。読者に不評のため休載に追い込まれたという。シリーズの特徴は、タイトル通り、闘う相手が「神々」であることであり、「神々」の正体は宇宙人だということが、古代遺跡などに関連付けて冒頭から淡々と語られる地味な展開だ。
超能力に目覚めた主人公が、世の中を良くしようと働きかけるうちに*3宇宙人同士の全面戦争に巻き込まれ、人類滅亡が迫るラストで正義とは相対的なものだと悟る、つのだじろう『メギドの火』(1976年)をフェイバリットに挙げる自分には、非常に素直な展開だっただけに、続きが読めないことがかなり悔やまれる作品だ。
ただ、続編というか完結編的な位置づけの作品が、現在、小説で刊行されたばかり(続刊)ということで、こちらにも食指が伸びる。

2012 009 conclusion GOD’S WAR―サイボーグ009完結編〈1(first)〉

2012 009 conclusion GOD’S WAR―サイボーグ009完結編〈1(first)〉

「天使編」「神々との戦い編」から36年―。実現不可能とまで言われた幻の作品『サイボーグ009完結編』が、小説となってついに刊行。天才萬画家・石ノ森章太郎がのこした膨大な数の構想ノートをもとに、ひとつひとつ紡ぎ上げていったこの小説は、まさに石ノ森章太郎自身が発表したかったストーリーだ。 2011年、サイボーグ戦士たちの前に立ちはだかった大いなる存在。彼らを待ちかまえる未来、2012年に起こることとは!?サイボーグ戦士たちの、最後の戦いがいま始まる。

ただ、その前に、もう少し石ノ森経験値(少なくとも009経験値)を上げておかないと、ちょっと失礼に当たるなあ、と思っています。

*1:ここでは、原作者が関わった類似作品という程度の意味で用いています。ちなみに『ジェッター・マルス』は『鉄腕アトム』のリメイクという位置づけのようです。こちらは、両方とも見たことがあります。

*2:この文庫版は解説もありながら、「神々との闘い編」の顛末について全く触れていない、というのもおかしい。また同時収録の短編2作は明るい内容で、全体の雰囲気がバラバラ。文庫版の構成そのものがおかしいのでは?

*3:『メギドの火』のこういう部分は、ちょっと『デスノート』にも似ている。つのだじろうが『デスノート』を先取りしていた、というのは自分で書いてもちょっと笑ってしまうが・・・。