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2002年の星雲賞を受賞した幸村誠のコミックを原作にしたTVアニメシリーズ。時は2075年、宇宙旅行が一般的になった時代、宇宙に漂うゴミ“デブリ”が大きな問題となっていた。職業宇宙飛行士としてテクノーラ社に勤務し、デブリを回収する仕事をしている主人公、星野八郎太(通称ハチマキ)と、新人タナベをはじめとする同僚たちが、宇宙で活躍するSF作品だ。
普遍性と独自性のバランスが絶妙な物語世界と、精密な考証によってもたらされるリアリティが、広大な宇宙へのロマンをかきたてる。同時に、大企業の日陰部署を舞台にした“職場モノ”でもあり、「会社員として、プロフェッショナルとして現実と折り合いをつけながら生きるということ」というテーマにも踏み込んだ点で、従来の“宇宙モノ”とは一線を画す、ユニークかつ志を感じる一作となっている。(安川正吾)
アニメ版が漫画版と異なることは知っていたが、後半に書いてある通り、アニメ版では「職場モノ」としての要素が強い。特にオリジナルキャラクター?の課長とラビィ、派遣社員のリヴェラの存在が、たとえば『ショムニ』や『踊る大捜査線』などのような「職場モノ」としての印象を強くしており、逆に、それが、熱心な原作ファンがアニメを嫌う大きな理由なのだろう。*1
後半、物語がどう動くのかは分からないが、1〜2巻は、新人タナベの成長に焦点が当たる。新入社員が職業に対して抱く「理想と現実」の格差が面白い。
なお、DVD2巻までの5話では、4話「仕事として」でタナベが鼻持ちならない「議長の息子」を殴るシーンがよかった。「職場モノ」としてのよさも十分に出ていた。逆に、5話「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」は、話の設定にリアリティがなく、また、ストーリー自体もベタ過ぎる内容で、ちょっとクオリティが落ちるように感じた。
今のところタナベが連発する「愛」は、ストーリーの中で浮き上がってしまう場面も多いが、ストーリーが進むにつれ、物語が厚みを増して、説得力が出てくることを期待したい。
なお、登場人物の働くテクノーラ社の公式サイトはこちら。