Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

自分にとってエヴァンゲリオンは大きな意味を持つ作品*1だ。しかし、最近のガンダムの過剰な人気*2に寒々しさを感じて以降は特に、過去の作品への過剰な思い入れを語ることに警戒心を覚えるようになった。そういう意味ではエヴァから距離をとってきたといえる。
拍車をかけたのが、パチンコ屋店先でのノボリなどの大氾濫。自分にとっては、エヴァンゲリオンは「過去の作品」というイメージが強くなり、新作発表のニュースにも「あーそうですか」的な冷めた気持ちを持っていた。
ところが、先日も言及した本田透電波大戦』内での、エヴァ庵野秀明への執拗な言及で魂が蘇り、試写を見た竹熊健太郎氏の感想が拍車をかけ、さらに、メジャーサイト「超映画批評」でも60点という「それなりの評価」をされているところを見て、少し期待が増した。さらには、現在、単身で動きやすいことを考えると、これは「見て来い」という啓示だと感じ取り、先週ギリギリに前売りを購入、本日、仙台フォーラムの10時の回に行ってきた。
実は、映画館で映画を見るのは『少林サッカー』以来。
なんと5年ぶり!
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小さな映画館ゆえ、予想はしていたが、ギリギリに行くと、ほぼ満員。補助席での鑑賞となった。
観客は。自分より上もいたが、大学生くらいが多く、やや意外な感じ。エンドロール終了後に劇場版第二作の予告編があることを知っていた人がほとんどのようで、宇多田ヒカルのEDテーマが流れ出しても誰も席を立たなかったのが印象的だった。
 
大まかな感想は、大方の人が指摘している通り。

  • (ダイジェストであるため仕方ないが)売りだった「間」が少ないため魅力減少。(あの進行の遅さは、シンジの煮え切らなさの反映でもあった)
  • 新カットが多いこと、全体的に絵の質が高いことは見てすぐに分かった。(マニアでないと分からないほど微妙なものではない)
  • 後半の、使徒ラミエルとの戦い(ヤシマ作戦)は素晴らしかった。
  • 全体的には、期待度が低かった分、満足できる内容だった。

ヤシマ作戦は、数ヶ月前に実家に帰ったときに、漫画版で読み直していたにもかかわらず、あまり記憶に残っていないほど、自分にとっては印象の薄いシーンだったので、これほど熱くリメイクされるとは思わなかった。
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実は、本番はそのあと。
映画館をあとにして、ジャズフェス会場まで徒歩で移動する間に、iPodに入れていた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版公開記念 深夜の緊急対談」宮台真司×竹熊健太郎(⇒コチラ)を聞き始める。
その後も、移動中にちょくちょく聞いて、全140分以上という、映画よりも長い内容を、映画以上の興奮度を持って(笑)聞き終えたのだった。
宮台真司が主に語っていたのは、社会学、宗教面からのアプローチ、そしてエヴァンゲリオンが生まれた1995年という時代背景と現在の違いなど。かつて何度も読んだり聞いたりしたものだけあって非常に共感しながら聞いた。
対する竹熊健太郎の、庵野秀明個人の問題からのアプローチと「オタクへの説教」としての作品解釈、そして『ラヴ&ポップ』の失敗も、非常に納得しながら聞いた。というか、こちらも当時、『STUDIO VOICE』や『QUICK JAPAN』で読んだ素地があるから、スラスラと頭に入る。(笑)
二人の対談を聞いていて驚いたのは、実は、自分はエヴァンゲリオンの世界背景をあまり理解していなかったこと。エヴァンゲリオンの世界は、碇シンジの内的世界の物語と、次々に現れる敵・シトなどの謎解きの部分の二つのテーマが平行して存在しているが、どうも自分は後者にはあまり興味・関心が無かったらしい。
また、面白かったのは、宮台真司が、10年前のエヴァ劇場版の結末を非常に評価している(自著『終わりなき日常を生きろ』と同じメッセージ)のにもかかわらず、同じメッセージは911後の現在には通じないと断言していること。つまり『終わりなき日常〜』での結論「まったり革命」が間違いだったと自ら認めており、世界の救済よりも個人の救済を!というメッセージでは足りないというのだ。(ここら辺は宮台真司の最近の著作で確かめたい。)
これは確かにその通りで、今回の『序』を見て、ストーリー展開的には古さ=時代とのずれを感じざるを得ないファンが多い中、今回の結末には、かなり高いハードルが課せられているということを、両人とも繰り返し指摘していた。だからこそ、今回の序・破・急+αの計4作は、リアルタイムで見てみたい。10年前のエヴァンゲリオンは、あの頃の時代性を背負った傑作であり、10年が過ぎ、再度、今という時代が分からなくなっているからこそ、その答えを作品に求めてしまうのだ。
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ところで、帰宅後、Wikipediaエヴァンゲリオンに関する記述を貪るように読んだが、量は多いが簡潔にまとめられており、勉強になった。来年の劇場版第二弾(破)までには、漫画版も読んでおきたい。

*1:大学時代の「感想ノート」を見直してみると、テレビ版の感想、春エヴァの感想、夏エヴァの感想、と3回に渡って、かなりの量の記述があった。しかも結構説得力のある内容で、読み返して、ここ10年の自分の成長に対して自信を失った(笑)。

*2:実はガンダムは劇場版の?と、おそらく?しか見てません。つまり全然見てません。