Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

岡村靖幸『はっきりもっと勇敢になって』

はっきりもっと勇敢になって

はっきりもっと勇敢になって

先日述べたエヴァンゲリオン同様、岡村靖幸も、作品の中に、ファンも作家も「救い」を求めるタイプのミュージシャン。エヴァと異なるのは、ファンが望むのが、世界の救済でも、リスナー側の救済でもなく、何より岡村ちゃんの救済であることだと思う。さらには、執行猶予期間中の再犯で懲役2年(1年数ヶ月で保釈)という特殊な状況からの復帰、ということで、いつも以上に歌詞に注目が集まった作品といえるだろう。
そういった期待を集めた今回のマキシは、ファンの期待通りの歌詞であり、曲だったのではないか。少なくとも、自分にとっては、95年のアルバム『禁じられた生きがい』以降の長い旅からしっかりと戻ってくることができたと実感できる内容だった。
それは、メッセージの内容という以上に、この歌が、岡村ちゃんが自分の人生と真摯に向き合っていくという「決意表明の歌」だったからだ。

はっきりもっと勇敢になって ふざけるのやめて
同じ様な日々は もうすぐ過去だぜ

本当にそう!
自分も最近までよく分からなかったが、人生は有限なのだ。
当たり前のことだが、ついつい、“同じ様な日々”が、このまま将来もずっと続くように思えてしまう。そうではないのだ、と日々思い直すことによって、命の「長さ」はかわらないけれども、「質」は良くなるはずだし、何より、幸せを感じることができる。
マハトマ・ガンジーは「明日死ぬと思って生きよ。永遠に生きるつもりで学べ」と言ったというが、岡村ちゃんも何かを悟ったのかもしれない。
ただ、自分は、覚醒剤などの薬物中毒というものから、それほど簡単に抜け出せる性質のものとは思わない。岡村ちゃんが誘惑を振り払って、同じような過ちを二度と犯さないことを切に願う。
ちなみに、カップリング「嵐の気分--着替えをもって全裸のままで--」は、「だってなんだか気になって 猛烈にキッスしたいよ/そんでそんでそんで キライなものも食べて」というサビが印象的で、こちらもGood。久しぶりにカラオケで熱唱したくなるような新曲二曲だった。*1

*1:96年の『ハレンチ』以降の作品は、熱唱したいほど好きなものは無かった。