週に一度、日本の環境政策を嘆いてみせて、環境派をきどるためのコーナー。
国産ワインなぜ多彩に?/栽培適地 温暖化で移る(27面:エコノ探偵団)
前半部では、これまで有名だった山梨県産以外のワインが注目されるようになったのは
- 品質の向上
- 国産ワインコンクールの開催
が理由だと、結論付ける。
その「品質向上」が少し曲者。原因は温暖化で、場所によりさまざまな影響が出ている。
果樹は長期的な栽培が必要になるため、特に温暖化の影響は大きいようで、記事では、
海外では英国産ワインの評価が高まっています。このまま温暖化が進めば、フランスやイタリアよりも、英国やドイツで良質なブドウが採れるようになるかもしれません。
などという話も紹介されている。
日本の農業の中でも、果物の品質は世界に誇れるっとよく聞くが、10年後、20年後はどうなるかわからない、ということかもしれない。
読書欄(23〜24面)
読みたい本多し。
日本の宇宙開発、成人期に/「静かな抑止力」対応を(21面:今を読み解く)
書籍紹介ではあるが、日本の宇宙開発について、執筆者、中野不二男(ノンフィクション作家)の主張がよく出ている好記事。
ここでは、宇宙活動一般についての考え方について、基本的な考え方として
- 宇宙活動の本質は「静かな抑止力」である
- 本質の背景にあるものは「宇宙が軍事利用の比重が高い場所」である、という理解である
日本の政治は、「背景」部分のみに過剰反応し、重要な技術開発にもストップをかけてきた。米国が、再び「本質」部分を重視し、国際宇宙ステーション(ISS)に見切りをつけた現在、日本の今後の出方に注目が集まる、ということなのだ。
実際、ISSに独自モジュール「きぼう」(日本実験棟=JEM)を有する日本は、今後の対応を具体的に考える必要が出てくる。米国が手を引いても(スペースシャトルは2010年で退役)、ロシアのソユーズを使うなどの、主体的な管理を行うことで、「静かな抑止力」にも向き合う姿勢が必要になってくる。
この日のCSTOに関連する一面記事(旧ソ連7カ国「平和維持部隊」に調印)にあるよう、ロシアの米国への対抗姿勢が具体的になってきた最近の状況を見ると、「次世代への夢」でなく「軍事利用」を語らなくてはならないのは目をふさぎたい現実だが、国として逃げるわけにはいかないのだろう。
カード類の入った財布を紛失/警察に届け悪用防止を(10面:暮らしの疑問、プロが答える)
あまり知らなかった「個人信用情報機関」への登録について記述があったのでメモ。キャッシュカードについては、金融機関→銀行→個人信用情報機関の順に届けよう、とされている。
これまで、失敗したことはないが、万が一のことがあった場合の対応については知っておきたい。
排出権市場 欧米が連携/日本 当面静観の構え 「ポスト京都」主導に暗雲(3面)
これまで排出権取引に日本がのんびりしていられたのも、米(連邦政府=共和党政権)が、温暖化対策に積極的ではなかったから。何だか今回のニュースは、完全に日本が置いてかれた感が出ていて愕然。
ただし、このニュースは、日本の環境政策の遅れというよりは、「枠組づくりにいつも失敗する日本」の表れなのだろう。今年に入って読んだ本では、京都議定書(『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 』)ハイビジョンやケータイ(『電波利権』)など、技術力の差というよりは交渉のダメさで、欧米に先行される歴史が、どの場面でも見られてうんざりする。
排出権取引に限らず、カーボンオフセットなども含めて、制度としては、いろいろと問題もあるようだが、あまりぐだぐだ言ってられるほど時間的余裕もないのだろう。国として頑張ってほしいテーマだ。
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一応、環境省としては頑張っているようだけど・・・。
環境省は7日、京都議定書が定める温室効果ガスの削減目標を達成するため、コンビニエンスストアや家電量販店などの業種にCO2排出量取引制度への参加を促す方針を固めた。
(中略)
排出量取引制度については、欧州はすでに、産業界に対して排出枠設定を義務付け、排出枠を企業間で売買するキャップ・アンド・トレード制度を導入している。しかし、日本では、排出枠設定を「企業の生産活動を国家が管理することになる」との反発が強く、自主参加の形で運用がスタートした。これまで排出量を取引したのは31社にとどまっている。環境省では排出枠の義務化のタイミングを狙っており、業務部門の自主参加拡大で義務化に弾みを付けたい考えだ。