Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

病院のコンビニ化が招く医療の崩壊

昨日の日記の記述に関連して、天漢日乗さん*1から引用。

少子化で子供の数が減少しているにも関わらず、小児救急に駆け込む患者が増え続けている。目立つのが風邪や便秘など軽い症状の子どもたち。救急を24時間営業の夜間病院として利用するこうした傾向を、医療関係者は病院の「コンビニ化」と指摘している。ある病院の調査によると、患者の98%が軽症で、入院を要する事例はわずか2%にすぎない。

夜間休日診療を受ける子どもは97.5%が軽症。救急適応ではない。
本来、この時間の診療を受けるべき重症の子どもhわずか2.5%
このままでは
 本来緊急に処置しなくてはいけない重症の子ども達が手遅れになる危険性
が高い。

先日放送されたクローズアップ現代の内容について、その内容の重大さと合わせて、アンチ病院に偏るメディアの中で中立的な報道を行っているという観点で評価したエントリで、この主旨には非常に納得。
しかし、よく考えてみると、ここで例として出されているような親。たとえば・・・

  • 自分が納得いくまで、複数の病院を掛け持ちする。
  • 風邪から来る腹痛と診断されたのだが、親は虫垂炎を疑い、前日に2軒の病院を周り、この日は大きな病院だからと言うので夜間救急に駆け込む。

なんていう行動は、ちょうど先日の我が家の行動と類似する部分があり、番組出演の親を単純に非難したりはできなくなってしまう。*2

二人の子の風邪を診てもらいに、土曜日に耳鼻科に行った。実は、水曜日に小児科で薬を処方してもらったのだが、症状が悪化し、見立てが悪いのでは?と思ったからだ。結果的に、小児科と同じことを言われた末、一日経って症状がかなり改善した。疑った小児科の先生には大変申し訳ない。

考えてみれば、小中学校で担任教師などへ理不尽な要求をするとされる「モンスターペアレント」などもマスコミなどで多く取り上げられるが、実際には「程度の問題」である部分も多い。全てを一概に「ダメ」と言い切れるわけでなく、どこで線が引けるか、という個々の価値観の問題でありながら、その価値観が多様化してきているのが問題を面倒にしている。
医師や教師など「先生」と言われる立場の人に「服従」するのが常識だった数十年前と今とでは、まさに時代が違う。「納得のいく治療」が可能になることを求めて、インフォームドコンセントなり、情報公開なりが進んできたわけだから、それは時代が要請したもの。「患者」が(高度に進化した資本主義社会の)「お客様」と変化していったのは、患者のモラルが悪化したからだけとはいえない。
と、自分を擁護する言葉を並べたが、現実問題として、小児科医が厳しい状況を強いられていることに変わりは無い。(また、それは教師を代表に、他の職業でも当てはまる部分が多い。)
制度的な面で改善が見られないのだとすれば、状況を悪化させないためには一人一人が「良心的な消費者」を目指すしかない。
それには、以下のようなことに気をつけるべきだろう。

  • 基本的な知識を身につけること
  • 病院選びなどについて、信頼できる情報を持つ知人を増やすこと
  • (良い医者にめぐり合えれば)かかりつけ医を決めること

現実的に力となりそうなのは二つ目。結構、細かい病院情報を持っている人っていますよね。

参考

 →最近、過去放送分をipodに入れてよく聞いています。「文化系」の人にオススメです。

*1:最近は、産科医の問題(いわゆるたらい回し報道)について、非常に勉強になるエントリが多いです。勉強になります。

*2:番組自体は未見なので、取り扱われ方によって、印象は異なるのでしょうが。