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好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『海ゴミ 拡大する地球環境汚染』

海ゴミ―拡大する地球環境汚染 (中公新書)

海ゴミ―拡大する地球環境汚染 (中公新書)

返却してしまった図書館本ゆえ、細かい内容を確認できないので、印象だけ。
目次は以下の通り。

第1章 日本中の海岸に「ごみ」が漂着する
第2章 漂着ごみとはなにか
第3章 大量のごみが国を越えて移動する
第4章 「漂流ごみ」が海洋生態系を危機に陥れる?
第5章 漂流・漂着ごみに対処する法律・制度
第6章 進みはじめた漂流・漂着ごみ対策

「海ゴミ」の問題点は、目次タイトルを見ても分かるとおり

  • 海で発生するものよりも陸上由来のものが多い
  • 国を越える
  • 結果として、排出者責任を問うことが難しい
  • 現行法での対処も難しい
  • 鳥類や海洋哺乳類が飲み込むなど、生態系に影響を与える

などであろうか。
1、2章では、海岸での漂着ゴミについて語られるが、河岸のゴミとの大きな差は、ゴミが次々に打ち上げられること。河川清掃であれば、少なくとも清掃後数日はきれいな状態が保たれるところを、海岸の場合、清掃後30分で元の状態、ということもありうるのだ。(地形状況による)
さらに、目に映る海面を漂う漂流ゴミだけではなく、海底に沈んでいるゴミもある、ということで、読めば読むほど「今そこにある危機」感は高まる。スペースデブリが不安だ、などと言うのも恥ずかしくなるくらい、海のデブリの問題は現在進行的だ。
全体として、プラスチックゴミについての言及が多かった。これは、実際に清掃活動の中で、プラスチックゴミが多いこと、加工前のペレット*1を鳥類がえさと間違えやすいこと、そして、何より安定しており、分解しにくいこと*2が、プラスチックが注目される理由だったと思う。
そんな中、最終章で、生分解性プラスチックについての説明があり、やや希望の光を残して終わる。が、川で、側溝で何気なく捨てたゴミが海を漂い、異国の地の海岸を汚したり、海洋動物を死に至らしめたりしていることを考えると、やはり、これも「一人一人の努力」の問題だよなあ。*3

*1:ピンと来ないが、プラスチック製品の原料となるペレットも、非常にたくさん海に流れているとのこと。

*2:たとえばビニール袋もものすごく頑丈だ。通勤途中に見上げる木に、半年くらいずっとビニール袋が引っかかっている。緑色の液体が入っているのだが、いつ落ちてくるのか恐くなって避けて歩いている。←先日、なくなりました。犠牲者が出たかどうかは不明。

*3:ただし、漁業関係者や工場から出されるものも多い、というのは確かです。