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好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

御立尚資『戦略「脳」を鍛える』

戦略「脳」を鍛える

戦略「脳」を鍛える

定石だけでは勝ち残れない、ということで、コンサルティングに必要な、定石を超えるプラスアルファの能力=「インサイト」について書かれた本。
Amazonの批評を読んでも概ね5つ星だが、それにも納得。
読みやすいのは、分量的な理由はあるだろうが、事例が多く、具体(=例)と抽象(=理論)の往復がテンポよいため、頭をひねる部分が少ないからだろう。
理論についても、多すぎず少なすぎず、単純すぎず複雑すぎず、読みやすさの点で、バランスが取れている。結局は、以下の式で全てを語ったことになるのだが、そのまとめ方、切り取り方(視点)にセンスを感じる。

公式1:ユニークな戦略=定石+インサイト
公式2:インサイト=スピード+レンズ
公式3:スピード=(パターン認識+グラフ発想)×シャドウボクシング
公式4:レンズ=「拡散」レンズ+「フォーカス」レンズ+「ヒネリ」レンズ

Amazonで辛口レビューの中には「 当たり前すぎて期待はずれです。」とのコメントもあったが、「内容」というよりは「視点」と「見せ方」を評価すべき。
それぞれの理論について細かい解説をつけることもできただろうが、敢えてそういうやり方を取らず、戦略脳の使い方を「俯瞰」できるような「見せ方」にしているのが味噌だと思う。
勿論、細かい解説も読んでみたいが、入り口としては、素晴らしい本だと思った。
自分の中で年内再読を義務化することにした。
なお、副題にある「BCG流」というのは、ボストン・コンサルティング・グループ(The Boston Consulting Group)のことで、ツベルクリン反応とは無関係なことを初めて知った。(そういう人は、読者として想定されていないのかもしれないが。)