Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経概観(12/16(日))

ほぼ毎週続けていた新聞コーナーが一週途切れて、自分としてはショックだが、挫けないで、また始める。

バリ会議閉幕関連

地球温暖化防止を話し合う国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)は15日、2013年以降の新たな温暖化ガス削減の枠組み(ポスト京都議定書)作りに関し、09年末までを交渉期限とする行程表「バリ・ロードマップ」を採択し閉幕した。削減の数値目標は今後議論するが、省エネルギーなど途上国への技術移転などを盛り込んだ。日米中など主要排出国がすべて参加する枠組みができたことで、世界は新たな一歩を踏み出した。

一連の記事を読むと、ポイントは「数値目標の文言削除」「複雑な利害関係」「セクターアプローチの考え方」あたりか。社説から拾う。

(1)セクターアプローチ

日本の経済界が提案している、業種ごとに世界横断的にエネルギー効率を改善する「セクターアプローチ」は、有力な手法として、ロードマップでも高く評価されている。

先進国−途上国の対立なしに排出量を削減する仕組みとしていいアイデアだということのようだ。

(2)数値目標

ロードマップの最初の案に明記されていた、温暖化ガス排出量を2020年までに1990年に比べ25―40%減、2050年までに2000年比で半減などの数値目標が最終合意文書では消えている。具体的な責務が先送りされたことに失望の声があることは確かだ。
 ただ、数字はときとしてひとり歩きし、思惑や打算にまみれた議論を招きかねない。数字の根拠となるIPCCの第四次報告書が交渉のベースである限り、そこに盛られた25―40%減や2050年半減が、いずれ目標数値の対象となることは予想に難くない。

不平等条約の所以とされる「1990年比」*1という言葉が、ここでも重くのしかかる。
勿論、だからといって、目標に向けた削減が不要というわけではないのだが、明らかに不平等であれば、平等な条件にするような努力を交渉でしてほしい。
日本が環境最前線の国だなんて主張するつもりはないが、世界に誇れる部分もたくさんあるはずで、その部分を上手く交渉に生かしていけないのかなあ、という気持ちは常にしてしまうのだ。

単位GDP当たりのエネルギー使用量――これをGDPエネルギー原単位というんだけど――は、日本が現状では世界でもっとも少ないらしい。日本を1とするとEU平均や米国は2で、カナダが3という話がある。
とすると、世界のCO2排出量を半減させるんだったら、現状で各国のエネルギー使用量を凍結して、世界各国が日本並みにエネルギー効率をアップさせるだけで可能かもしれないじゃないか。その場合、日本は削減の必要はないということになる。

(3)複雑な利害関係
「複雑」とは言うが、単純に言えば三すくみ。

低炭素社会へ向けて、自らの削減目標を高らかに掲げて交渉を終始リードする欧州。排出削減の義務的な数値目標にはいまだに強く抵抗する世界一の排出国米国。そして途上国の代表という立場を固持して、責務を伴う約束には頑として応じようとしない中国。

来年のオリンピックのテーマに「グリーンオリンピック(エコロジーオリンピック)」を掲げる中国は、CO2排出量で近いうちに(?)トップに立つ、かなり特殊な「途上国」。米国は民主党政権になれば、ガラリと政策が変わるかもしれないが、中国も五輪を機会に大きく変わって欲しい。勿論、それに対して日本が出来ることも多いはずだと思う。

小麦製品再値上げの動き

今年10月の政府売り渡し価格引き上げ幅が10%だったのに対し、来年4月に30%前後の値上げという見方が有力。これを受けて製品も値上げとなる見込み。
自分はもともと悲観的な人間だが、最近の食品値上げ+漁獲資源枯渇などのニュースは、さらにそれを加速する。20年後も今と同じような「美味しい食べ物」を食べることができているのかどうか、非常に心配。

そのほか

それ以外、やはり佐世保市の散弾銃乱射事件が大きく取り上げられていたが、これもさらに不安を煽る。でも、防ぐことの出来た事件では?
あとは、北欧の国を取り上げた28面中外時評「大人の国々に学ぶ分別」が、最近、それらの国に興味を持っている自分には面白かった。

*1:単純に言えば、ロシア、欧州等は、この時期、CO2が多かったため、削減が容易。日本は雑巾を絞りきったあと、しかも不況時なので、もとから排出量が少ない