Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

アース・デイと『OZ』とジョン・タイター

本日4/22はアース・デイということで、グーグルのトップは右のような画像に。

さて、幸村誠プラネテス』を読んだ頃だったか、日本のSF作品に与えられる星雲賞コミック部門の受賞作を読んでみようと、いくつかブックオフで物色したことがあった。

そのうちの一つが、この『OZ』。

OZ―完全収録版 (5#) (花とゆめCOMICSスペシャル)

OZ―完全収録版 (5#) (花とゆめCOMICSスペシャル)

世界と人類を壊滅状態にした核ミサイルが爆発してから31年後、未だ戦乱と混迷、食糧不足、エネルギー不足、環境破壊による砂漠化等々、人類の先行きに希望が持てない世界で、まことしやかに囁かれるひとつの伝説があった。それは、大戦前に科学者(頭脳)集団が創った巨大シェルターの存在だった。飢えも戦争もない最先端の科学都市、その名をOZと云う。

さすがに1990年頃の漫画ということで、新しさは無い。Amazonのレビューも作者のあとがきを読んでも、少女漫画としては、異例の設定であったというが、同時期に、あの『BANANA FISH*1が連載されていたことを考えると、それほど突出した作品ではなかったのかもしれない。
ただ、3次大戦後の人類の未来や、人間と機械*2というストレート(ベタ)なテーマに真面目に取り組んでおり、好きなタイプの漫画だ。
2021年の荒廃した世界においては、リオン(エプスタイン家の長男・悪の権化)が言うように「現在、最強の兵器は食糧」という状況になり、主人公らが描く理想世界の象徴として、何度も「黄金に輝く麦畑」登場する。
ここから話題が変わるが、このような、食糧に対する危機的状況は、2008年4月現時点においても、あまり絵空事ではない事態になっている。

輸送価格が安くなり、コミュニケーションの効率が向上するに伴い、ほかの多くの産業と同様に食糧生産も、どんどんグローバリゼーションが進んでいる。しかし食糧の貿易は自由とはとても言いがたい。繊維製品や衣料の貿易と同じで、食糧の貿易はもう長年にわたり政府介入に束縛され、ゆがめられている。そしてそのゆがみの影響で、今年に入ってすでに約30カ国で食糧価格高騰に端を発する暴動が発生。世界各地の政府が実施している禁輸措置は、事態をさらに悪化させている。

勿論、国内でも食料品の値上げが毎日のように報じられているし、少し食べ物に対する考え方を変えなくてはならない時期に来ているのかもしれない。

ところで、この作品の描く未来をおさらいすると、この通り。

この物語では、1990年に一発の核ミサイルの誤射により、始まった第三次世界大戦はわずか40分で終結している。生存者は全人類の40%にすぎなかった。約7ヶ月の核の冬の後、第三次世界大戦から31年後の世界が舞台となる。アメリカ合衆国も国家としての機能を失って、大きく6つの国に分裂したが、それらの国々の国境は常に流動的で小競り合いが絶えなかった。また、産業力の低下、食料危機、荒廃した土地、難民の増加、治安の悪化などの現象が見られ、その為あちこちで傭兵の需要が高まっていた。傭兵を訓練する養成所も存在する。主人公フィリシアは、OZへの危険な道程を行くにあたり、優秀な傭兵であるムトーに護衛を依頼することになる。

さて、同じような話をどこかで聞いたことがあると思ったら、コチラでした。
2036年から来たタイムトラベラー「未来人ジョン・タイター」が残した予言。

  • アメリカ都市部で急激に警察国家化が進み、都市内部と都市外部で内部抗争が発生する。このときに起きた暴動が原因で、合衆国は政府の手に負えなくなる。それからアメリカが5つに分裂し、それぞれで内戦へと発展、2008年に全面化する。
  • その翌年、アメリカ初の女性大統領が誕生する。
  • 中東の国同士で、大量破壊兵器が使用される。
  • 2011年、内戦が原因でアメリカ合衆国が解体されるが、翌年にはアメリカ連邦帝国が建国される。
  • 2015年、ロシアが反乱部隊の援助という名目で、アメリカに核爆弾を投下する。これにより都市内部が完全に崩壊、内戦が多少緩和される。
  • しかし、アメリカの外交権麻痺に乗じて、中国は覇権主義を強め、台湾、日本、韓国を強引に併合する。これにより、アメリカの同盟国は条約で保障されていた「核の傘」から外れ、軍事侵攻される。
  • その後、オーストラリアが中国を撃退するが、ロシアの攻撃により半壊滅状態になる。ヨーロッパ諸国もロシアによりほぼ同様に壊滅するが、アメリカはロシアを撃退、ロシア連邦が崩壊する。
  • 2020年、アメリカ都市部の敗北により内戦はほぼ終結、新たな連邦政府が成立するが、地方区分は現在の州ではなく、分裂したときと同じく5勢力になり、社会主義国家に近くなる。アメリカ内戦後の生存者は図書館や大学の周りに集結してコミュニティを結成している。連邦政府は首都をオマハ(旧ネブラスカ州)に置いている。

アメリカの大統領選で、民主党候補がヒラリーではなくオバマが優勢になってきた時点で、「よかった。あの予言、当たらなかった。(ホッ)」と思っていたのだが、北京オリンピック関連の一連の騒ぎで、予言の一つである「中国の内陸部にて暴動が起こり、軍が治安出動する。このため、北京オリンピックは中止になる。」が的中しそうな勢いがあるので、2年ぶりくらいに見直してみた。
今見ても「ギリギリ起こりそう」な微妙なラインを辿った予言で、ちょっと単純に笑い飛ばせない。
ただ、悲観的な自分としては、地球温暖化や、食糧危機、中国や米国の内戦なんかを追い越すスピードで新型インフルエンザが蔓延する、というのが人類の危機の中でもかなり現実的なシナリオなんじゃないかと思っています。
このくらいはしておくべきか。

  • 流行拡大時の感染防止のため、外出を最小限にしなければならない可能性もあります。災害時同様、2週間程度の食糧・日用品等は準備しましょう。
  • インフルエンザ対策グッズも用意しておきましょう
    • マスク
    • 破れにくいゴム手袋
    • 水枕・氷枕(頭や腋下の冷却用)
    • 消毒効果がある漂白剤(次亜塩素酸)
    • 消毒用アルコール

*1:好きな少女漫画として、すぐに頭に浮かぶのは、やはり『BANANA FISH』をはじめとした吉田秋生作品と『ガラスの仮面』。「少女漫画」というカテゴリなのかどうかはよくわかりませんが・・・。

*2:ところで「オズの魔法使い」のストーリー、しっかり知りません。今からなら本で読むのが一番いいのか?