Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

チャットモンチー『生命力』

生命力

生命力

さて、ARABAKIでは1日目に出演したチャットモンチーだが、年度末の精神的に最も余裕のない時期に、ふと聞いたのがセカンドアルバム『生命力』だった。
このアルバムについては、yokoさんもARABAKIで印象に残ったと言っていた曲「世界の終わる夜に」にだけ書きたい。
ファースト『耳鳴り』は、明るい印象のみが残っていたため、かえって、この“爆弾曲”が心の隙間(笑ゥせぇるすまん風に言うなら)に入り込み、ダークな方向へ気持ちがシンクロしてしまったのだった。

売れたシングル「シャングリラ」(3曲目)が、いわば“助走”になっているのもポイント。シャングリラ自体は明るい曲なのだが、サビ前の歌詞がちょっと微妙。

胸を張って歩けよ
前向いて歩けよ
希望の光なんてなくったっていいじゃないか

ええ?
希望の光がなくてもいいのかなあ?
と、心の奥底に澱が残る中で次の曲「世界の終わる夜に」が始まってしまう。
歌詞はフレーズを抜粋。

“しまった もう世界は終わっていた”
“私が神様だったらこんな世界は作らなかった”
“愛という名のお守りは結局からっぽだったんだ”
“どうせ育ちやしないからみんな何かに目をそらしてる”
“今もどこかがいろんな理由で壊れ始めてる”

聴きながら新幹線の中で泣いた。
全編ダウナーながらも時代の空気を読んだ傑作と言いたい
「スリーピースのガールズロックバンド」というピチピチ感からは大きく外れるし、アルバムの中では異質の曲ではあるが、自分の中では『生命力』は、この曲あってのアルバムだといえる。