Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日本橋ヨヲコ『G戦場ヘヴンズドア』全3巻

G戦場ヘヴンズドア 1集 (IKKI COMICS)

G戦場ヘヴンズドア 1集 (IKKI COMICS)

1年以上前に、友人のid:D16から薦められた作品。購入後すぐに読んだが、久し振りに読み返した。
今回読み返して気づいたが、自分の大好きな『フラワーズ・オブ・ライフ』*1と共通する点がいくつかある。

  • 短い(G戦場は全3巻、フラワーズは全4巻)
  • メインキャラクターの男二人が合作で漫画賞に挑む
  • 主人公が在籍するクラスが文化祭で劇をやる。劇中でメインキャラクターの女性が男装の麗人を演じる。

また、絵も漫画も巧いだけでなく、内容が濃く、しかもテーマはかなり真面目。『フラワーズ〜』同様、自分のツボに入る可能性が高い要素が満載なのだが、自分にとっては評価の難しい作品だ。うまく言えないが、当事者意識を持てない、というか、作者ほど熱く読めない。温度差を感じてしまい、話が頭を素通りする。


そうなった理由は、自分がクリエイターとして苦労したことがないから、ということに尽きるかもしれない。これを進めてくれたid:D16は、物書きだし、「まんが道」的な内容だけに、島本和彦土田世紀藤子不二雄Aが帯に熱い推薦文を寄せているのを見ても、自分と「彼ら」の読み方が違うことを意識させる。
こういう(ちょっと意地悪い)書き方をするのは、話がつまらないからではなく、この話の芯の部分が「そこ」にあるからであり、それを味わえる人が羨ましい、というか嫉妬してしまうからである。
甘みを感じる味覚芽が無い状態で、極上ロールケーキを食べさせられているみたいだ。


話が頭を素通りしてしまうもう一つの理由は、キャラクターの設定だ。
幼馴染み、父との対決などの古臭い設定は、嫌いでは無いのだが、どうも自分を白けさせる方に働いたようだ。特に、絵柄が新しいだけに、そのギャップが気になってしまった。
ちょうど『少女ファイト』を読み始めたところだが、こちらも幼馴染みの設定が出てくるので、作者の癖なのだろうか。
ただ、『少女ファイト』の場合は、少なくとも、前者の問題点(クリエイター云々)はなく、一般的なバレー漫画として読めるのだろうから、こちらには期待したい。