Yondaful Days!

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カップヌードルの衝撃〜宇多田ヒカル『HEART STATION』

HEART STATION

HEART STATION

宇多田ヒカルは、熱心なリスナーではないが、2nd『Distance』、3rd『Deep River』が好きなアルバムだったので、かなりの信頼を置いているミュージシャン。(というか、数少ない国民的ミュージシャンを相手に「信頼を置ける」などとはおこがましいのだが)
特に、特徴的な日本語詞に興味があるので、英語詞アルバム『EXODUS』はスルーしていたが、何故か4th『Ultra Blue』は聴かないまま、最新アルバムを聴いた。3rdは2002年のアルバムなのでだいぶスパンが空いてしまった。
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収録曲は以下。

  1. Fight The Blues
  2. HEART STATION
  3. Beautiful World
  4. Flavor Of Life -Ballad Version-
  5. Stay Gold
  6. Kiss & Cry
  7. Gentle Beast Interlude
  8. Celebrate
  9. Prisoner Of Love
  10. テイク 5
  11. ぼくはくま
  12. 虹色バス
  13. Flavor Of Life(Bonus Track)

シングル・タイアップてんこもりのアルバムだが、それほど追っかけて来なかっただけに、あまり気にならなかった。当初は『ぼくはくま』は浮いてしまうのでは?と思っていたが、特に気にならずスムーズに聴けるようになった。
シングルでいうと、日清食品カップヌードル』TVCM FREEDOMシリーズテーマソングである「Kiss & Cry」は全曲通して聞くと面白い。曲調も面白いが、CMに使われていた場所と違うところで「今日は日清カップヌードルカップヌードルカップヌードル」と連呼されるのがおかしい。タイアップという形式に対する宇多田ヒカルなりの「ロック」な精神の表れなのか、とも思ったが、ちょっとした遊び心のようだ。

「日清カップヌードルのCMソングだから、歌詞に“日清カップヌードル”って入れちゃった(笑)。ラジオ局や番組のスポンサーによってはこの曲を流せないとは思うけど、まあ別にいいじゃん! って(笑)。だってめちゃくちゃ語呂がいいんだもん! すっごいハマるの! あの部分を使って日清カップヌードルのCMを作ればいいのにーって(笑)」

全体としては、1や3などを中心に、社会に向かう態度が少年的というか、ウジウジしているというか、文化系的というか、通常の女性ミュージシャンらしくない歌詞が自分の好みだ。(感覚的には、女性みゅうーじシャンは、男性よりも大人っぽいというか超然とした歌詞になるような気がする。)
これは、2nd『Distance』、3rd『Deep River』のときにはあまり気付かずにいて、シングル曲『Keep Tryin'』(『Ultra Blue』収録)を聴いたときには、(人気取りのために)「負け犬を装っているのではないか」とやや否定的なとらえ方での文章を書いたのだが、どうも、この負け犬根性が、宇多田ヒカルの本質の部分にあるようだ。(彼女がテトリスマニアであるというエピソードは、その(体育会系ではなく)文化系的な本質をよくあらわした部分だと思っています)*1

そういう意味で、ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序のテーマソングを彼女が歌うのは非常に合っていると思う。ただし、それこそエヴァとのシンクロ率が高い歌詞には、自分がかつて『Keep Tryin'』を聴いて感じたような否定的な思いを感じる人が多いだろうということもわかる。
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それにしても、やっぱり宇多田ヒカルの歌詞は面白い。

  • 「笑う門には福来る」「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」(Fight The Blues)
  • 「病める時も健やかなる時も嵐の日も晴れの日も」(Prisoner Of Love

なんて慣用句・定型句をそのまま持って来てしまいながら、聴いているうちにフィットしていくのは、天才的なセンスがあるからなのだろうか。
今回、過去記事をいくつか見ると、英語詞アルバムと日本語詞アルバムで関連曲も多いようだし、実際、現在英語詞のアルバムを制作中のようなので、『EXODUS』と、聞き逃した『Ultra Blue』は、早く聴こう。

*1:体育会系的/文化系的という括りにこだわるのは、ちょうど「TBS RADIO 文化系トークラジオ Life」の次回テーマが「方法としての体育会系」であるため。後ろ向きな(笑)よい特集テーマだと思います。