Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

梨木香歩『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

(あらすじ)
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも…。

よく参考にしている、文芸ジャンキーパラダイスさんで、オススメされてた本書を店頭で見つけて即購入。
帯の惹き文句は
「読者アンケート第一位の名作が映画化!」
「最後の3ページ、涙があふれて止まりません」
さすがに、泣くことを目的として本を読むことは無いので、後の言葉は、自分にとっては余計だったが、実は、この手の本で泣くタイプなので、「そういう感動」も楽しみにしていたのだった。
しかし、泣けなかった。
それ以上に、期待が大きすぎたゆえのガッカリ感がある。
内容はよかったのだが、薄い。うな丼食べに来たら「ゆば」出されたみたいな感じだ。自分が、通常、物語に求めるテンポと異なっていたというか、自分の方がせっかちになっているのだろうと反省。


ただ、この物語の一番のよさは、(短いので)絶対に読みとおせること。(だから、読者アンケート1位なのではないかと思う)
また、こちらが本筋だが、人が生きていくこと・死ぬことについて考える/教えるためのヒントがあることもいいところだ。
勿論映画が公開中ということもあるだろうが、夏休みに合う本ということで、新潮文庫もキャンペーンしているのだろうが、夏に一冊という人にはおススメ出来る本。


以下、西の魔女=おばあちゃんの教え。

  • 悪魔を防ぐためにも、魔女になるためにも、いちばん大切なのは、意志の力。自分で決める力、自分で決めたことをやり遂げる力です。(P70)
  • 魂は身体をもつことによってしか物事を体験できないし、体験によってしか、魂は成長できないんですよ。ですから、この世に生を受けるっていうのは魂にとっては願ってもないビッグチャンスというわけです。成長の機会が与えられたわけですから。(略)春になったら種から芽が出るように、それが光に向かって伸びていくように、魂は成長したがっているのです。(P119)
  • 魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でも、その直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。(P138)
  • 自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、だれがシロクマを責めますか(P162)


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