本題に入る前に、まずは基本的事項から。
新型インフルエンザへの個人としての対応については、マスクの着用の是非を中心に、気になるところがあったが、以下の提言(PDFファイル)で、かなりの疑問点が解消できた。以下に、その一部を抜粋した。
まず、悲観的になる必要はないが、楽観視はできない、という戒めの言葉。
今回の新型インフルエンザ(S-OIV)が今後大流行した場合、わが国の死亡者数や死亡率が香港かぜの場合(4万人〜7万人が死亡)を大きく超えるようなことはないと思われます。しかし、これまで流行してきた季節性インフルエンザでは毎年1万人前後の死亡者が出ていて、医療現場ではその都度多忙を極めていますから、数万人の死亡者が出る流行が起これば入院ベッドが不足し、人工呼吸器や救急車が足りない、病院や診療所の外来は混雑を極めるなど、準備の不足は医療現場の大混乱となって現れるのは必至です。
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一方で、「今だからこその“新型”」であるので、パニックを起こす必要はない、という指摘。
(2)新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です
(略)
過去のどの新型インフルエンザでも、出現して1〜2年以内に25〜50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、以後は通常の季節性インフルエンザになっていきます。現在流行している香港かぜもこのようにして季節性インフルエンザとなった歴史を持っており、今回のS-OIVもやがては新たなH1N1亜型のA型インフルエンザとして、10年から数十年間は流行を繰り返すと見込まれます。すなわち、今回の新型インフルエンザ(S-OIV)の罹患を避けることは難しいのです
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さらに、マスクの効果を認める内容。
(6)一般予防策ではうがい、手洗い、マスクが効果的です
(略)
マスクの有効性については賛否両論があります。日本では肯定的な意見が多く、一方、欧米では否定的な意見が多いため、現実にカナダや米国では一般の人はマスクを着用していません。しかし、数年前のSARSの流行時にはサージカルマスクやN95マスクが院内感染予防に効果があったとする報告や一般的に呼吸器ウイルス感染の防止対策の一環としてマスクを含めた総合的な対策が有用であるとするシステマティックなレビュー報告があり、WHOは後者の報告を引用して今回の新型インフルエンザ対策としての市中でのマスク着用を勧めています。ただし、マスクは正しく着用しなければ効果はありません。
ただ、いろいろなところで触れられているように、マスクをつけているからと油断してはあまり意味がなく、本当に必要なのは「うがい、手洗い」ということなのだろう。特に自分もそうだが、髪や鼻などを触る癖のある人は、その癖を直すことが最も重要になる。(髪についたウイルスが、指を経由して、鼻から体内に入るため)
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水際対策は無意味で、安心材料にならない、という指摘。
なお、数年前のSARSの場合は発熱してから周囲への感染性を持つまでの期間が約1週間と長かった9)ために対応策を準備する時間的余裕があり、封じ込めには成功しましたが、S-OIV の潜伏期は1〜5日と短く、発症前から感染性を持つため封じ込めは困難です。このことも、流行の拡大時期における一般医療機関への患者の集中が起こる理由です。
関東の感染者数への疑問、再び
ここからが本題。
確率論的に考えて非常識であるという論理的思考からというよりは、自分がもともと陰謀論好きなタイプだから、そう思ってしまうのだろうが、やはり、5/23時点での関東の感染者数(3名:二次感染者ゼロ)はおかしいだろう。
シバザクラ・フロッグストラモンティ先生の仰ることが本当だとすると、
東京都内で都内での二次感染例が出ない理由
は、結局、
保健所の役人が「自己保身のために新型インフルエンザの確認を拒否している」
ってことのようですね。
つまり、感染の可能性が高いと思われる患者に対しても、新型インフルエンザへの感染を確認するPCR検査を受けられない(保険所が阻止している?)ために、季節性として処理されている結果、本来は関東圏にも相当数いるはずの感染者が隠蔽されているということ。
ソースの2chも一通り読んだが、以下のコピペに同感。ネット上では、関東と関西の「東西対立」が生じている模様。
正直連合 嘘つき連合
【アメリカ】 【中国】 7人
ウイスコンシン州 766人
イリノイ州 707人 【韓国】 3人
テキサス州 556人
カリフォルニア州 553人 【日本】
アリゾナ州 488人 東京都 2人
ワシントン州 362人 神奈川 1人
ニューヨーク州 267人
まさに、正直者が馬鹿を見ている状況は、他の道府県の感染者数の隠ぺいをも確実に助長しているだろう。
勿論、気候が暖かくなっていく中で、感染者数は確実に減少して、状況も沈静化することを考えれば、「正直」に発表する必要はないという考え方もある。しかし、以下のようなバッシング*1が繰り返し起きているのを見ると、全国で感染者が蔓延しているとした方が、日本国内が協力一致して秋冬に生じる「第2波の流行」に立ち向かえるのでは?という気がどうしてもしてしまう。
インフルエンザワクチンが生む南北対立
あと、個人としてではなく、国家としての新型インフルエンザについてもうひとつ大事な視点として、被害が大きい途上国とワクチン開発の問題がある。自分が目にしたのは、5/23(土)の朝日新聞3面だが、ネット上から関連ニュースを引用。
深刻な対立が生じないよう、上手く解決できればいいのだが・・・。
【ジュネーブ安達聡子】世界保健機関(WHO)は18日、年次総会と並行して新型インフルエンザに関する閣僚級会合をジュネーブの国連欧州本部で開いた。英国が警戒レベルを最高度へ引き上げることをけん制する一方、タイやブラジルは予防用ワクチンの公平な分配を主張。死者が最も多いメキシコは、同国の情報開示が他国を救ったとして経済支援を求めるなど、各国の思惑が交錯した。
インドネシアでは鳥インフルエンザによる世界最多の死者を出しているが、同国とWHOの間では、人間用ワクチンの開発をめぐり、インドネシア側がウイルスの試験用サンプル引き渡しを拒否し対立している。
対立解消を目指す会議の席でスパリ保健相は、「現在のワクチン開発プロセスでは、ウイルスのサンプルを提出した国々と共同作業することなく、WHOとその関連機関だけが医薬品企業とウイルスを分け合っている。これは開発途上国にとって受け入れがたい」と怒りを表した。
「(ワクチンの)価格面から、開発途上国には入手が不可能で、不利益の生じるシステムだ。システムを規定している法そのものを修正すべきだ」
*1:全く理解できない行為なのだが・・・