Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『1Q84』上巻の印象 (ネタばれなし)

上巻読了。
最初に断っておくが、自分は、村上春樹の小説は、『ノルウェイの森』『ダンス・ダンス・ダンス』『ねじまき鳥クロニクル』の3冊+αを、いずれも10年以上前に読んだきりで、熱心な読者というわけではない。しかも、いつものことだが、推理小説の犯人すらすぐに忘れてしまう自分が、それらの小説の筋を覚えているわけはなく、村上春樹という人物の捉え方が、世間一般とずれている可能性はある。


さて、そのような淡い印象から予想していたのとは違い、『1Q84』は、かなり読みやすい。字面を辿るスピードという意味ではなく、筋の追いやすさという意味で、「エンタメ小説」的に読みやすい。全体はどうなるかわからないが、上巻に限っていえば、ほとんど難しいことを考えなくても読んでいける。
並行して進む二つの物語も、中盤で早くも、繋がりが分かってきており、読者は自然に、物語の結びつきを期待するようになる。ドラクエ的に非常に丁寧な作品だ。
ヤナーチェクシンフォニエッタや、平家物語などのサブアイテムも、量が多過ぎず、気になった場合には、実際に聴いてみよう、読んでみようと思える数の適度な配置の仕方で、これもまた親切だ。
あとは、いかにも村上春樹という、くどいレトリックが抑え目だったような気がする。これは少し残念だったが・・・。


ところで、下巻は、上巻を読み終えてから買えばいいやと思っていたが、ニュースで漏れ聞く、本の売れ行きを聞いて不安になり、本屋を回ったところ、職場からの帰宅途中の都内3軒で「店頭在庫なし」。かなり焦ったが、浦和の1軒では何とか見つかった。
このまま予定調和的に進むと普通の小説になってしまうので、下巻では、いろいろと破綻をきたしてくるのではないかと、そこが楽しみ。