Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

『映画ドラえもん のび太の人魚大海戦』

土曜日に家族4人で映画ドラえもんを観に行った。
今回は、事前に、「超映画批評」の辛い点数を見ていたので、覚悟はしていたが、やはりイマイチだった。
ドラえもんの映画については、水田わさび版以降の作品はすべて見たが、その中でもかなりダメだ。30周年を特別な年と考えると全然ダメだ。ちなみに新版では、のび太の恐竜2006が圧倒的によかった。また、よう太と劇場で見た近年の3作品の中では、緑の巨人伝の印象が強い。*1

何がダメか?

途中眠たかったせいもあり、ストーリーをしっかり追えているかどうか自信がないのだが、ダメな点を拾っていくと、以下の3つが言えるのではないか?

  • 人魚族の世界設定がわかりにくい。(何故追われているのか?それほど大事な剣?等)
  • 核となるひみつ道具がわかりにくい。(「架空水面シミュレーター・ポンプ」は、まだいいとして、「架空海水まきぞえガス」とかは理屈っぽ過ぎて直観的に理解しにくい)
  • 登場人物の気持ちがわかりにくい(ソフィアと緑の巨人伝のリーレは似たポジションにいるが、圧倒的にリーレの方が「女王」としての決意・威厳に満ちている)

さらに言えば、ある程度、テーマ設定がしっかりしている方が自分は好きだ。(故に、テーマの取り扱いは別として、わかりやすいテーマを掲げた「緑の巨人伝」はツボに入る)今回は海洋が舞台ということで、いくらでも「環境」をテーマに話を広げられたはずなのに、結局のところ宇宙人の話だし、イマイチ消化不良だった。(さらに、イルカ漁の善し悪しを問う!みたいなハード路線も、時期的に非常にマッチしていたはずだ。)


一方、超映画批評で指摘されている点は、以下である。

ドラえもんたちが巻き込まれる冒険は、決して日常と乖離していてはならず、かならずその延長線上になければならない。ドラえもんは子供たちの共感の対象であり、ヒーローではないのだ。なのに本作は、ヒーロー映画の雛形で作っている。大きな間違いだ。

超自然的未来道具で遊んでいたら大冒険に巻き込まれました。その先でも未来道具で問題を解決しました。

こんなストーリーのどこに子供たちが共感すればいいというのか。最初から最後まで、「日常」がまったくない。これでは「僕らとは違う世界の超人的子供たちが、超人的な活躍で目的を遂げただけだね」となるだけ。観客とスクリーンの間に深い断絶があり、その切れ目のこちら側に座って子供たちは映像を眺めているだけだ。こんなものはドラえもんの魅力とはいえない。

これについては、意識しながら見ていたが、観賞中はそれほど気にならなかった。
しかし、今改めて振り返ってみると、そもそも「架空水面シミュレーター・ポンプ」というわかりにくい日常と非日常の橋渡し役が、すべてを台無しにしている。畳の裏側が宇宙とつながっているという、シンプルな「宇宙開拓使」の設定と比較するとその差は大きい。結局のところ、超映画批評の指摘が鋭かったと改めて思う。

そのほかの減点ポイント

「架空水面〜」以外についても、「道具」の使い方がイマイチだと感じた部分がある。のび太たちが人魚スタイルになるための「道具」は、人魚族のもので、人魚の剣の場所を見つけるための暗号の書かれた紙がドラえもんひみつ道具である、というあたりは、見に来た人のほとんどが、それは逆では?と突っ込むと思う。(特に後者)


あとはどうでもいいこと。
実は、近作のドラえもんでは「緑の巨人伝」のリーレ(堀北真紀)、「宇宙開拓使」のモリーナ(香里奈*2と、2作連続して、ツボにはまる配役(若い女優)があったのだが、今回は、これに当たるものがなく、楽しみが一つ減った。(最も近いところで、ソフィアの祖母オンディーヌの声を、真矢みきが演じている)
さらに、ストーリーと関係ないところでいえば、劇中に流れる武田鉄矢の歌が、あまりに80年代歌謡曲風で気になった。うろ覚えだが、前奏が、中森明菜「セカンドラブ」にそっくりだった。
あと、1年前からさんざん宣伝に出まくったハリ坊があまり活躍しないのも解せない。
などなど、どうでもいいところでも減点が重なった。
全体的に見れば、過去のドラえもん映画のオーソドックスな部分をなぞっているとも言えるが、マイナスポイントが目立った映画だった。

よう太、夏ちゃん

今回の映画は、2歳8か月の夏ちゃんが初めて劇場に。ドラえもんは見慣れているのもあり、外に出ることもなく何とか見終えた。
よう太は、映画が始まる前の予告編のときから名探偵コナンの新作に心を奪われて、映画が終わったあとに感想を聞くと、「おもしろかった、で、次はコナン君見たいなあ」という話しかしない。ただ、観賞中は、楽しんで見ていたようだ。(恒例となった「温かい目」で見守るドラえもんの顔芸では、よう太も含めて、他の子どもからも笑い声が響いていた)
今回は、来年公開の映画のヒントが少なすぎて、何になるかはよくわからなかったが、個人的には、「のび太の恐竜2011」を希望します。(笑)新作は結構難しいのかもしれないし・・・。

*1:当時の日記では不満点も挙げていますが・・・→http://d.hatena.ne.jp/rararapocari/20080329/dora

*2:モリーナを見て、これがツンデレということか・・・と悟りました。