Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

僕の買いたいオリジナル・ラヴのベスト盤

正直に言って「よくわからない」に尽きる。
5月19日に発売予定のオリジナル・ラヴのベスト盤の内容についてだ。

契約の関係など「大人の事情」があるのかもしれないが、ポニーキャニオン側の都合であればあるほど、売上を気にするはず。CD一枚の製作費は、シングルもアルバムもあまり変わらないのだろうから、利益が大きいアルバムを出したいのかもしれないが、「ボラーレ!」単体のシングルの方が、多く売れるのは明確。もし、自分が100人いるとしたら、今回のベストアルバムを買うのは2人くらい。シングルであれば95人くらいなので、単純に50倍近くの差が出るはず。(笑)
いや、そういった疑問以上に、今回のベスト盤には、がっかりを通り越して、怒りを感じているのだ。その怒りの源は何だろうか?そして、どうしたら100人中半数以上の自分(笑)が買いたくなるようなアルバムになるのだろうか?を無駄に考えてみたのが今回のエントリの趣旨。

ベスト・アルバムとは

まず、基本的な事項から復習してみる。
以下、Wikipediaの「ベスト・アルバム」の項から引用。

まず、ベスト盤を出す理由について。

ベスト・アルバムは、テレビやラジオ等で耳慣れた楽曲ばかりが収録されているため、特定のコアなファン以外の購買意欲もそそり、一般的にスタジオ・アルバムより売上枚数は伸びる物が多い。レコード会社にとって、人気アーティストのベスト・アルバムは、新録の費用が掛からず、確実な売上が見込める商品のため、思うように会社の売上が伸びない場合に決算対策として自社の契約アーティストのベスト・アルバムを急遽リリースし、売上をカバーするといった例もしばしば見られる。

確かに、全てはここに尽きるのかもしれない。
なお、ポニーキャニオンの懐事情が推測できる資料として、以下のような話がある。

ビクターがこの間、すごい数の過去所属アーティストの廉価ベスト盤出して、
その後いくらもたたないうちに身売りするだのという話になっていましたが、
4/21と5/19、今度はポニーキャニオンの挙動がどうもおかしい。
アイドル系中心に1500円の廉価ベストを鬼の一気出し。
手っ取り早くキャッシュが欲しいということでしょうか。

3年ほど前に似たような企画で出したのは既に廃盤で、プレミア付いているのも
あったりするので、気になるのはとっとと買っておくのが吉、だと思います。

(4/21発売30枚、5/19発売20枚のアルバムタイトルがありますが、中略)

グループ会社の経営も厳しさを増し、テレビに大量露出して人気を焚き付けてから
デビューさせて荒稼ぎという、得意のメディアミックス戦略も近年なかなか難しく、
KREVA阿部真央奥華子も韓流もヴィジュアル勢も突き抜けるところまで行かず、
結局ここんとこずっとドル箱はaikoのみという体制もそろそろ厳しくなってきた。
aikoは売れてはいるものの、楽曲発信の仕方については気難しいっぽくて、
ベスト盤を出す気配もなければPCでの配信も行ってないので、
彼女自身の売り上げ拡大もなかなか大変といえば大変だし。
Waste Of Pops 80s-90s 2010/4/13の記事

オリジナル・ラヴのベストアルバムは、瀬能あづさ仁藤優子のベスト盤と同時に発売となるのだ。何と、松本明子!のベスト盤も同じ日だ。
ビクターとおなじ運命を辿るのかどうかは別として、ポニーキャニオンが、やや焦っているのは確かなのかもしれない。


さて、肝心な「果たしてベスト盤は売れるか」という点についてWikipediaでは以下のように触れられている。

2001年には、SMAPMr.Children浜崎あゆみ、L'Arc〜en〜Ciel、GLAYモーニング娘。などの数多くの著名アーティストがベスト・アルバムを連発して発売した。アルバム全体の売り上げは減少傾向にあったものの、ベスト・アルバムの売り上げはまだ衰えていなかった。
2005年から2007 年にかけて、再びベスト・アルバムが連続して発売されるようになった。ただ1990年代ほど売り上げが伸びず、ダブルミリオンが限界の状態が続いている。これはCDによる音楽の視聴という時代が「配信される音楽を買う」という時代へと移行したことを意味しており、わざわざ高いアルバムを買わずとも、配信で1曲150から200円前後の自分の気に入った楽曲を手に入れれば、後はレンタルなどで自分の好きなようにベスト・アルバムが作成できるという技術の進歩がもたらした皮肉とも言える。

たとえば今回の収録曲の中で、iTunesでの配信が無いのは「ボラーレ」のみ。とはいえ、着うた配信はあり、熱心なファンは、全てのデジタル音源を揃えているだろう。*1勿論、新たなファンからすれば、レンタルCDで揃えることが可能で、「ボラーレ!」を聴いて、オリジナル・ラヴが気になった人は、ベスト盤発売を待たずして、大半の曲を入手している可能性が高い。5月に入ってから、急にオリジナル・ラヴのファンになって、CDに費やすお金も十分にある人物にはうってつけのアルバムとは言えるだろうが・・・。


さて、これ以降は、今回のベスト盤をいくつかの観点から見ていくことにする。

シングル曲について

以前、ベストアルバム予想の、つまらない例として、シングル集のかたちを挙げたが、全シングルを網羅しているわけではないので、さらに興ざめな選曲となった。
今回のベストに収録されていないシングル曲は以下の通り。

  • ディア・ベイビー
  • 宝島
  • Crazy Love
  • STARS
  • 冒険王
  • 夜行性(アダルト・オンリーと両A面)
  • 美貌の罠 
  • 沈黙の薔薇
  • 恋の片道切符・青い鳥(両A面)

売れ行きはともかく、ポニーキャニオン時代の最高峰シングルであると信じて疑わない「沈黙の薔薇」が入っていないのは信じられない。また、「ボラーレ」が、田島貴男訳詞カバーであるということを考えれば、「恋の片道切符」「青い鳥」が入っても面白かった。

シングル(B面含む)以外の収録曲

シングル以外の収録曲を確認すると、以下の通り3曲のみ。

この部分に田島貴男ポニーキャニオンスタッフの「気持ち」が入っているのかもしれないが、少なすぎて読み取れない。「bird」「ムーンストーン」は名曲だが、無難な選曲と感じる。
ジェンダー」を入れるのは分かる。でも、後述するアルバムのバランスを考えれば、『L』から「水の音楽」、『街男 街女』から、「築地オーライ」くらいは入れてもいいのでは?(「鍵、イリュージョン」は、今回のようなベストにはそぐわない。)

アルバム毎のバランスについて

ポニーキャニオンのアルバムからの選曲数は以下の通り(括弧内はアマゾン版の曲順)。

  • 『Rainbow Race』から2曲(7、9)
  • 『Desire』から2曲(4、11)
  • 『Elleven Graffiti』から1曲(3)
  • 『L』から0曲
  • ビッグクランチ』から1曲(13)
  • ムーンストーン』から2曲(8、12)
  • 『踊る太陽』から2曲(2、10)
  • 『街男 街女』から0曲
  • 『キングスロード』から0曲
  • 『東京 飛行』から2曲(5、6)

単刀直入に言ってバランスは良くない。前回のベスト『変身』が1999年の『L』発売直後だったので、そのあとを多めにしているわけでも無い。
目立つのが、『L』『街男 街女』から選曲されていない点。この2枚はターニングポイントになるアルバムだと思うし、全体的に、田島貴男の「変身」ぶりを、むしろ抑えるような控え目な選曲になっており、オリジナル・ラヴの良さを理解している人によるものとは到底思えない。

曲順

なぜか、2バージョン発表されている。
アマゾンは以下。

1. ボラーレ!(Nel Blu, Dipinto Di Blu)
2. 恋の彗星
3. GOOD MORNING GOOD MORNING
4. Words of Love
5. ジェンダー
6. 明日の神話
7. Bird
8. アダルト・オンリー
9. 夢を見る人
10. Tender Love
11. プライマル
12. ムーンストーン
13. R&R
14. めくれたオレンジ
15. 朝日のあたる道 (album mix)
16. 接吻 Kiss (Single Version)

CDジャーナルや、一部レコード店では以下。

(1) ボラーレ!(Nel Blu,Dipinto Di Blu)
(2) プライマル
(3) 夢を見る人
(4) Words of Love
(5) GOOD MORNING GOOD MORNING
(6) bird
(7) ジェンダー
(8) R&R
(9) アダルト・オンリー
(10) ムーンストーン
(11) 恋の彗星
(12) Tender Love
(13) 明日の神話
(14) めくれたオレンジ
(15) 接吻
(16) 朝日のあたる道(As Time Goes By)

そもそも、選曲が良くないので、曲順の妙も出しにくいわけだが、資料として2バージョンある時点で、あまり曲順にこだわっていない様がわかる。
個人的には「明日の神話」の配置等を考えると、後者のバージョンの方がいいような気がする。

アルバム未収録曲

Wikipediaにもあったが、ファンの購買意欲を誘うために「アルバム未収録曲の補完」という意味を持たせることは効果的でで、純粋に選曲で勝負しようとした場合、最重要ポイントとなる。ところが今回は、アルバム未収録曲は「めくれたオレンジ」のみ。
普通に考えたら、今回ベスト盤を売るために必要だったのは、フジテレビ「サキヨミ」OP曲だった「スターター」。また、最近の活動をアピールするものとしてcaocao「個人授業」(「めくれたオレンジ」と同じavex)もあった方が売れただろう。
1999年のベストアルバム『変身』でも漏れてしまった「冒険王」も選ばれてよかった。
さらに言えば、ライヴ音源が2曲くらい入っていてもいいはず。


書いてみて気づいたが、結局、いくらでも売る=アルバムを魅力的なものにするための手段があるのに、やろうとした形跡が見えないことに納得が行かないのだ。単純に既存のアルバムから新録なしで選曲するのだとしたって、オリジナル・ラヴは、東芝時代に、名盤とすら言える『SUMMER LOVE』というアルバムを出しているのだから、『SUMMER LOVE 2』的なものを目指してもよかった。
アルバムを購入する楽しみは、それに込められたメッセージを読み解くことにあると思う。ミュージシャンが関わっていないベスト盤であっても、選曲や曲順で、いくらでも「工夫」が可能だ。今回のベスト盤には、工夫がまるで見えず、「人の手」が入っているように思えない。徹底的に、機械的、お役所的、やっつけ仕事的。自分が、今回のベスト盤の内容に怒りを覚える最大の原因はそこにある。


さて、これまでを踏まえて、どんなベスト盤だったら買いたいのかについて、ベスト盤の内容発表前の自分のつぶやき(http://twitter.com/pocari0415)から抜粋。

予想0
ベスト盤なんか今さら欲しく無いというのが本音。どれだけ非ファン層の興味を引く内容にできるかが勝負です。収録されるのは、おそらく、スターター迄で、以降の楽曲は移籍後のアルバムに入るのでしょう。サプライズ的に、Caocao以外の新録デュエット曲が入ると、一気に期待が高まります。

まさか「スターター」が入らないという事態が待っているとは、このときは思いも寄らなかった。

予想1【デュエット曲(新曲)収録】
新録のデュエット曲 相手は先ほどの予想通り、本命椎名林檎 対抗中島美嘉 穴ユーミン 大穴野宮真貴真城めぐみは木暮君つながりで、というかオリジナルラヴHICKSVILLEとか、ありそうじゃないですか。

まず、「田島貴男は女性ボーカルとの絡みで、魅力を3倍に引き出すことができる」という持論にもとづき、新録に期待。無理とわかっていたが・・・。

予想2【過去の演奏曲収録】
キリンジとか椎名林檎とか、カンカン娘とか、過去のライヴでのカバー曲とか入れてもらえると、かなり食指が伸びます。

今思えば順当な予想。何とかtubeとかで絶賛しているしている人も多いし、今回のタイミングで入れることができれば、ファン層への受けはかなり良くなる。これなら100人中90人以上の自分が購入します。

予想3【ライヴDVD+オーディオコメンタリー】
世知辛い昨今では、ライヴアルバムだけでは売れません。ライヴDVDみたいなものがついてくるのは、最早デフォルトのような気がしてます。それ以上に付加価値をつけるには、田島貴男の本人解説が必要です。DVD の副音声で喋りまくる田島貴男

ライヴDVDどころかライヴ音源も皆無だとは、このときは全く予想できなかったわけであります。

予想4【ほぼ日とのコラボ企画】
ポニーキャニオンが聡明なら、ここに気が付いているはず。ほぼ日とのコラボなら売れます!それが、ぶらり途中下車みたいな内容のDVDだったとしても、買いますよ!

DVDを挙げているが、手拭いとか、エコバッグとか、役に立ちそうな(実際は役に立たない)物をつけるだけで売れ行きは上がるはず。100人中50人の自分が購入します。
イメージとしては、こんなやつ。

MY LITTLE LOVER×kitson ハーモニー (CD付) (<CD>)

MY LITTLE LOVER×kitson ハーモニー (CD付) ()

と、ここまで書きましたが、ライヴ音源からいろいろと引っ張ってくるのが現実的なような気がしてきました。逆に、新録が、スターターとボラーレだけなら、ちょっと考えちゃいます。

よもや「スターター」が収録されないとは・・・。

予想5【SUNNY SIDE 方式】
あともう一つ現実的な回答がありました。過去楽曲をアレンジを変えて新録する方法です。これであれば、ファンこそ買いたくなるアルバムになります。ここまで妄想が進むと、シングル集みたいなベストアルバムだったら、暴動を起こしそうです。

シングル集以下だったという壮絶なオチが待っているのでした。レッツ暴動!


ということで、ツイッターからの引用は終わり。
既に予想5までは外れてしまって、アルバム内容自体には、ほとんど興味が沸かないが、最後の光として、100人中98人の自分が購入する案を出しておきます。

予想6【特別ライナーノーツ】
豪華ブックレットとして、別冊カドカワ(2010年のオリジナル・ラヴ特集)がついてくる。

これだったら買うんだけど、ジャケとライナーは、かなり適当な感じになるのでしょう。(追記:ジャケはAmazon等で確認できました。へーな感じ)


現時点の結論としては、「買いません」。

*1:「着うた」なるものに不慣れで、まだ自分は入手していませんが・・・