Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

泣かなきゃダメ?〜村上たかし『星守る犬』

星守る犬

星守る犬

本選びの参考にしている紀伊国屋書店の年間ベスト「キノベス2009」で第3位の本ということで手に取ったが、この感動のなさは何だろう。

10分ちょっとで読み終え、数時間の余韻が残り、幾日も思い出され、何度も読み返してしまう。犬と人との淡々と流れる物語。「幸せ」とは言いきれないラストながら、その幸せの枠組みを考えさせてくれる。単純に「泣ける!」の一言では売りたくない一冊です。・・・でも泣ける。

アクションのHP見ても、この本がいかに絶賛された漫画かということがわかる。

  • ダ・ヴィンチ』BOOK OF THE YEAR 2009 「泣けた本」第1位「読者が選ぶプラチナ本」第1位W受賞!!
  • TBS系『王様のブランチ』にて「号泣!」と絶賛!!
  • このマンガがすごい!2009』(宝島社刊)オトコ編 第4位!!
  • 『THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め!』(フリースタイル刊) 第5位!!

うーん。
確かにいい話ではある。
物語はシンプルで、余計な部分がほとんどない。
例えば、家庭崩壊の話も背景にあるのだが、それについては深く掘り下げない。あくまで基本は「お父さん」と「ハッピー」の話。サイドストーリーである「日輪草」に登場する、もうひと組の犬と飼い主の話は、本編とは違う視点から「お父さん」と「ハッピー」の「幸せ」を再び浮かび上がらせる。


うーん。
何だか分からない。
Amazon評も少し見てみたが、犬好きや犬を飼った経験のある人に肯定的評価を下す人が多い一方で、否定的な見方をする人は、一部のキャラクターの、犬に対する愛情のなさや、純真無垢なものとして犬を扱い過ぎていること、主人公(お父さん)の身勝手などが気に入らないらしい。
細かく分析すれば、そういうところもあるかもしれないが、自分としては、それほど気にならなかった。


やはり、自分が分からないのは、作品そのものよりも、この作品に対する絶賛。
期間を置いて二度読み直したが、グッとくるところは確かにある。絵で言えば「日輪草」に登場する犬の描写(特に、病気になってからの描き方)とかは、凄く本物っぽい。
ただ、テーマがよく分からない。「もしかして、自分、馬鹿?」とも思ってしまうが、

  • 不幸な境遇でも、愛する者と一緒なら幸せでいられるという幸福観
  • 失ったあとで、もっと愛情を注げばよかったという後悔
  • 手に入らないものをずっと眺めているという意味である「星守る犬」というタイトル

それぞれの意味は分かるが、全体としての繋がりがイマイチ理解できない。そういう意味で、物語の構造的な美しさはないにも関わらず、大多数の人に絶賛される、この状況が分からない。もしかして、読書家に犬飼っている人が多い?
一杯のかけそば』が流行したときもこんな感じだったのだろうか。