Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

自分にとって「ひげ爺さんの本」〜シェル・シルヴァスタイン『おおきな木』

おおきな木

おおきな木

この本はオススメ本として取り上げられることが多いだけでなく、図書館でもよく見かける。さらに、自分は、子どもの頃から、ずーっとこの本を知っていたが、読んだことは無かった。


今回、またもやスゴ本dainさんに背中を押されて読んでみた。dainさんの紹介記事の通り「何の見返りも期待せず、ただ嬉しい顔を見たいがためにあたえつづける」りんごの木の話で、普通の読み方では、「りんごの木」を自分の親に置き換えて感動するのだろう。自分にとっては、りんごの木の自己犠牲の精神が「超人」的すぎて、もっと「ただの人間」である、自分の両親とは重ならず、素直に読めなかった。が、一般論として見た場合、いろいろと考えさせられる本ではある。自分も「親」だし。
一応、よう太にも読み聞かせたのだが、「ふーん」という感じで、シームレスに読みかけの「かいけつゾロリ」に移行していった。おそらく、この本に小学生くらいまでの子どもは興味を示さないだろうと思う。やはりテーマが難解だ。


ここで、冒頭に戻る。
自分は、この本を読んだことが無かったが、タイトルだけは強く記憶に残っていた。何でだろうなあ?と不思議に思っていたのだが、図書館で現物を手に取り、すぐに思い出した。この裏表紙だ。

ちょうど幼稚園〜小学1、2年の頃だっただろうか、毎年、盆と正月に父方の田舎に帰り、従姉妹たちの住む実家に行く際、本棚に並んだ手塚治虫の漫画を読むのを楽しみにしていた。おそらく、その横に置いてあったのが『おおきな木』だ。ときどきチラリと見える、髭のおじさんの顔が怖くて忘れられなかったのだと思う。
その当時読み漁った手塚治虫漫画というのは『ブラックジャック』なのだが、印象に残っているのは、体が葉っぱでびっしり覆われる病気の話だとか、狼少女(顎の病気)の話だとか、絵のインパクトが強いものばかり。10歳未満くらいの時期は、大人が喜ぶような「物語」とか「涙」とかとは無関係の、「ビジュアル」そのものに惹きつけられやすい時期なのかもしれない。絵本選びのときには気をつける必要があるなあ。