Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

オリジナル・ラヴ「好運なツアー」個人的まとめ(3)〜一貫したメッセージ

(2)の冒頭で登場した、ライヴ終了後、お互いの感想を話し合った方*1とは、いろいろなところで意見が一致し、意気投合しました。特に「今日一番良かった曲は何ですか?」と聞いた僕に対して、考えることなく、これから書く2曲を挙げたとき、自分は「この人はエスパーか?」と思ってしまいました。まさに自分がその2曲について喋りたくて、その話題を振ったからです。

メッセージ

今回のツアーがより輝いて見えたのは、田島貴男の発したいメッセージが明快で、一貫していたからだと思います。
何より、ツアータイトルの理由について、自身が日記に長文を載せているのが大きいです。長文ですが引用します。

ぼくたちは「好運なツアー」のまっただ中にいるのだと仮定してみる。

生きていて仕事や趣味に熱中したり、
鼻唄を歌ったり、
スポーツで汗を流したり、
よく晴れた日に川辺の道を散歩したり、
音楽に合わせて踊ってみたり、
友達とお酒を飲みに行ったり、
恋人と海を眺めて過ごしたり、
いろんな気持ちになったり、
誰かの気持ちを感じたり。
そういうことはたぶん奇跡的なことで、とても好運なことだ。

ところが日常生活を送っていると、なかなかその好運に気付くことができない。

分けもなく腹を立てていたり、
人の悪いところばかり目についたり、
自分のネガティブなことばかり気付いたり、
あきらめて、めんどくさいことはなるべくやらないようにして、
なんとなく楽なほうに流れていってたりする。

ぼくもそういうところがいっぱいある。
人間ってたぶんそういう生き物だ。

身近なところに突然自分の死が現れると、
初めて生きていることの好運に気付く。
そしてその好運を生かそうと行動し始めたりする可能性だってある。
黒澤明の「生きる」は、そんな映画だった。

命があって身体が少しでも動けばそこからなんでも始められるではないか。
人は誰も「好運なツアー」の最中なのだと仮定してみる。
走る車のウインドウを開ければ風を感じることができる。

でも人はその好運を忘れてしまう。

ぼくがオリジナル・ラヴの今回のツアー、
「好運なツアー」で歌うことは、
ささいな男と女の間の出来事とか、
むかし観た映画の中のことや、
遠い旅の憧れだとか、悲しさや憤りや小さな希望の歌などだ。
きっとこの世をまるごと変えるような歌ではない。
けれどもわずかながらこの世に関わっている歌だ。
これらの小さな歌を自分の体を響かせて歌いたい。
バンドメンバーとノリをあわせて演奏したい。
お客さんの前で歌える好運を噛みしめて歌いたい。
あの黒澤映画のように、ぼくたちが自身の好運に気付いてなにか行動し始めることができたら嬉しい。

さらに、この前後の日記や、日記になる前のtwitterなどがあったため、何回かに分けて、田島貴男が今回のツアーに向けた思いを、ファンは受け止める機会があったわけです。単純にtwitter効果というくくりはしたくないですが、これまでのツアーとの違いとして、ツイッターによるプラスの効果は大きかったように思います。
少し遡りますが、個人的には“ツアーのための先行シングル”という位置づけの「ボラーレ」が「よろこび拡がれ」というシンプルなメッセージを持つ秀作だったことも相乗効果をあげていました。
そして、ダメ押しとして、上述の日記を、田島貴男自身がMCの中で読みあげ、さらに同名の新曲「好運なツアー」を演奏するなど、これまでのツアーの中でもメッセージ性の非常に強いものになっていたと思います。
なお、蛇足ですが、プリントアウトの朗読自体、これまでに無かった試みですが、先日の小沢健二ライヴの影響を受けているのではないかと感じました。(オザケンは行けませんでしたが)、


批判覚悟で言うならば、このようなメッセージ自体は、本や音楽で題材となることの多い「よくあるテーマ」で、しかも、YUKIの名曲「歓びの種」が、このテーマを綺麗に昇華させているので、「そうきたか!」という驚きは全くありません。ともすれば、今さらそのテーマか、と冷めた目でライヴを鑑賞する危険性すらあったと思います。
しかし、こういうシンプルなメッセージを素直に受け取ることができ、自らの行動に繋げたいと、自分に、そして多くのツアー参加者に*2思わせることができたのは、やはり「ボラーレ」から今回のツアーまでの一連の流れが一貫していたということに尽きると思います。
(変なところで切れますが、つづく)

オリジナル・ラヴ「好運なツアー」個人的まとめ 目次

*1:昨年はカラオケもご一緒した「はっぴぃ」さんです!

*2:ツイッターでも「よかった」というもの以上に「自分がどう生きるか」的な感想を述べていた人が多かったように思います