館シリーズファンはとりあえずマスト〜綾辻行人・佐々木倫子『月館の殺人』

月館の殺人 上 IKKI COMICS

月館の殺人 (下)??

正月に妻実家の本棚で発見したので、推理ものが好きなよう太と一緒に読んだ。
自分は、既に数年前に読んでいたので、再読というかたちになる。
上下巻全編に渡ってだが、上巻は特に、「てつ」（鉄道マニア）の生態について、楽しく語られるため、予想外に、6歳児の笑いのツボに嵌る場面が多々あった。物語中盤で第一の殺人事件が起きてからは、ややシリアスになるものの、佐々木倫子の個性なのか、やはり笑いを誘う部分は多く、楽しんで読めた。
犯人、トリックともに、意外でありながら納得しやすいもので、よう太も理解できていたようだ。名探偵コナンで鍛えているだけあって、物語の急展開にも十分ついていけており、なかなか感心した。

個人的には、上下巻のちょうど中間（上巻の末）で明らかになる最大のトリックのインパクトが強すぎて、ラストの犯人当ては、やや印象が弱い。逆に言えば、「最大のトリック」部と、第一の殺人のトリックを書くためにつくられた作品としか見えず、連続殺人の意味や動機が、あまり論理的に説明されていない部分が不満だ。
ただ、それはミステリとして見た場合の評価であり、2005年の発表当時は、それほど多くなかった（と思われる）鉄道マニア紹介漫画*1としては、非常に密度が濃く、コンパクトにまとまった作品であると言えると思う。
また、綾辻行人の「館」シリーズとしても読めるので、ファンの人の評価を知りたい。

2009年に、新装版が出ているようですね。元のデザインは、手にとってみると凝った造りになっていて、なかなか手離しがたいものでしたが、新装版はどんな感じなのでしょうか。

月館の殺人 上巻 (IKKI COMIX)

月館の殺人 下巻 新装版 (IKKI COMIX)

*1:『鉄子の旅』の1巻が2004年11月発売だから、それほど早くないのかも・・・。