Yondaful Days!

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すだち酒で乾杯!〜チャットモンチー『Awa Come』

Awa Come(初回生産限定盤)(DVD付)

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震災後に、一番聴いているアルバム。


3rdアルバム『告白』の後に出たカップリング集が自分としては散漫な印象だった上に、かなり思い込みの入った先入観からほとんど期待していなかったミニアルバムが『Awa Come』だ。
徳島出身のバンドが、Awa(阿波)と明確に、出身地である「地方」を題材にしたアルバムをつくる。それだけで、逆に、売る側の狙いが透けて見えて、正直「えげつない」とさえ思っていた。
アメリカ遠征も行ってしまえるほど実力を認められているバンドが、ここにきて何故「イロモノ」に走ったのか?
アルバムを聴く前から、そんなネガティブな印象が非常に強かった。


しかし、繰り返し聴くうちに、そんな思いは杞憂であることが分かってきた。
それどころか、個人的にはチャットモンチーのCDでは一番好きなアルバムとなった。

勿論、ミニアルバムということで9曲入り28分という聴きやすい長さだったことは大きい。あっという間に聴き終える。
ノーナ・リーヴス西寺郷太は、46分テープに入る範囲内であることを自らに課しているようだが、確かに、よくある60分程度の長さのCDは、通して聴くこと自体が少なくなってしまう。
最近よく聴いたアルバムで見てみると

『レキツ』は、曲単体でのリピート率が高いので別としても、これらのCDを一枚通して聴くことは相当稀だ。すると、結果的に聴く楽曲にもムラが出てきて、アルバム全体の印象が絞り切れない。一方で、曲数が少なければ、そもそもアルバムという感じがしないわけで、『Awa Come』は、必要最小限のサイズでアルバムの世界を築き上げたと言える。


また、徳島、思い出をメインテーマに据えたコンセプトアルバムであることも良かった。
歌詞は、いつもと同じくメンバー3人で書き分けているのだが、3人3様にならずに、コンセプトに寄り添っておりまとまりがいい。
例えば、二人の思い出を振り返る「キャラメルプリン」と「My Sugar View」は、題材は異なるが、「大事なものを置いてきた感じ」という点で、印象にかなり重なる部分がある。別人の手によるものと考えると面白い。

公園のベンチに腰かけて
二人で食べたキャラメルプリン
(「キャラメルプリン」:橋本絵莉子作詞)

二人で見た夏の月は
いまじゃ手も届かないほど高く
二人でやった秋の花火は
バケツの水につかったまま
(「My Sugar View」:福岡晃子作詞)


そして、序盤に位置し、アルバム全体の印象を決める「青春の一番札所」。
うどん、阿波おどり眉山、鳴門、すだち酒、徳島ラーメン、吉野川・・・と徳島の名所・名物・方言を詰め込んだこの曲には、一番惹きつけられた。
特に、サビの「すだち酒で乾杯!!」のあとの「今でも酷い飲み方する日もある」の方言的節回しに天才を感じた。これは、現地に行って、乾杯しながら歌いたい曲だ。


曲については、前にも書いたので何も言わないけど、やはりドラム(高橋久美子)に耳が行く。好き、なんでしょうね。
オーケストラが入っている「あいかわらず」も、しっかりツボを抑えており、タイアップつきの「ここだけの話」も納得の出来で一曲目に相応しい。
衝撃を受けた『耳鳴り』等に比べると、ややまとまり過ぎな気もするが、この一枚でチャットモンチーを信頼できた、そんな作品。


新作『YOU MORE』は未聴だが、期待して聴きたい。

【特典QRコードステッカー付き】YOU MORE

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