Yondaful Days!

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「紅天女」挑戦権獲得!〜美内すずえ『ガラスの仮面』19

ガラスの仮面 (第19巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第19巻) (白泉社文庫)

ドラマチックにもほどがある展開。それが「忘れられた荒野」の初日です。
台風直撃で道路が通行止めになるほどの土砂降りの中、観客席に現われたのは速水真澄一人。
それどころか、舞台の途中で停電が起き、懐中電灯で舞台を明るくしなくてはならないほどの中、ただ一人の観客のために舞台は継続します。実際には到底あり得ない、あまりにやり過ぎな展開です。
しかし、これがあったからこそ、この巻の最後で、マヤが、やっと、やっと、やっと、やっと紫のバラの人が速水真澄であることを確信します。


さて、無事、全日本演劇協会最優秀演技賞を取ったマヤは無事に「紅天女」の挑戦権も獲得したわけですが、「イサドラ!」の円城寺まどかは、いいところ無しの咬ませ犬に終わり、ちょっと可哀想でした。


なお、面白いのは、黒沼龍三の演技指導が、月影千草のそれとは異なることです。
例えば、黒沼は自分のライターを向きを変えながら見せて、同じライターでも角度によって形がかわることを示しますが、月影先生はあくまで精神論で、このようなことはしません。また、役者そのものよりも、配役同士の関係性に重きを置いて指導をしているようです。そこが演出という役割のキモなのかもしれませんが。