- 作者: 伊藤潤二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/13
- メディア: コミック
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伊藤潤二が恐怖漫画以外のものを出すなんて!と驚きつつも一旦買い逃した後、長く出会うことが無かったが、久しぶりに店頭で発見し、今度はすぐに購入。
これまで伊藤潤二漫画には、巻末に2頁とか4頁の支離滅裂なエッセイ漫画(特に印象的なのは、うんこに似せた玩具についてのみ描いた「リアルうんこの思い出」)が載ることが何回かあったし、そもそもホラーとギャグの中間的な作品(双一シリーズ)が面白かっただけに、今回の“お笑い猫マンガ”には全く違和感が無かった。
さて、飼い猫エッセイというのはありがちな題材にも思うが、この漫画が異色なのは、猫が可愛くデフォルメされていないこと。佐々木倫子『動物のお医者さん』では、リアル描写+日本語(の呟き)という組み合わせで笑いを生んだが、この漫画の猫は、日本語も呟かない。(第一回に一言だけ呟いている。方向性が定まっていなかったからか。)時に、人間から見た猫というかたちで、「怖い描写」をされることもあるが、可愛い部分も怖い部分も、基本的にはあるがままで、猫の微妙な動きがリアルに表現されているので、ついつい実家の猫を思い出す。
むしろ、中心にあるのは猫ではなく、飼い猫に振り回される伊藤潤二の自虐ネタ(なつかない、噛まれる等)であると思う。今回、Q&Aコーナーもあり、今までの作品の中では最も伊藤潤二に迫ることの出来る内容となっている。毎回登場の奥さん(常に白眼)の怪しい雰囲気もいいし、しばらくしてから、続刊が出ることを期待します。