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眩しすぎるエウメネス〜岩明均『ヒストリエ』(7)

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

ヒストリエ(7) (アフタヌーンKC)

1年半ぶりの新刊発売。
誰もが認める傑作漫画で巻数もちょうどよいので、未読の人には非常にオススメ。アレキサンダー大王の書記官・エウメネスの生涯を描く作品。


この巻の前半は王子アレクサンドロスの魅力が全開。
額から鼻にかけての蛇型のアザという外見的な特徴に加え、もう一つの人格(不良のヘファイスティオン)が棲みついているという内面的特徴、さらには、男でもドキドキするほど優しく美しいという、これでもかというほど漫画的な要素を詰め込んだキャラクターは異彩を放つ。主人公のエウメネスが完璧すぎる才人だから、エウメネスが仕える相手は大袈裟に崩してみた、と言う感じなのだろうか。個人的には、アレクサンドロスの登場で、この後の展開がさらに楽しみになった。


後半は、いつもの通り、エウメネスという人物の秀でた部分にスポットライトが当たる。3年ぶりに訪れたカルディアで、父の仇ヘカタイオスと上下関係が逆転した状態で会うシーンなどは、非常にスカッとする良い場面。ただ、エウメネスの成長が眩し過ぎて、自分なんかは、登場するたびに、みすぼらしくなっていくヒエロニュモス(エウメネスの義兄)にむしろ共感を覚えるくらい。


それ以外のキャラクターとしては、「王家の両輪」とも称される元老アンティパトロスが異様な迫力を放つ。エウメネスとどう関わるのかは楽しみ。というか実在の人物が多数登場する物語なので、関連作品は8巻が発売される遠い先を待たずに、見てしまいたい。

アレキサンダー プレミアム・エディション [DVD]

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完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢

完全版 アレクサンドロス 世界帝国への夢

アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)


なお、この巻の初回限定版では、エウメネスが発明したとされるマケドニア将棋が付録としてついて2480円。誰が買うのかよ!と思いつつ、本屋でしばし見入ってしまった自分がいる(笑)

ヒストリエ 7 (アフタヌーンKC)

ヒストリエ 7 (アフタヌーンKC)