- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 1993/02/24
- メディア: 文庫
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- マガタ国王との再会(国王36歳、ブッダ36歳、アジャセ13歳)
- ブッダの暗殺未遂とアジャセ王子の幽閉
- アジャセが恋をしたユーデリカの死刑
- ブッダの後継者としてサーリプッタとモッガラーナの登場
- ブッダによるダイバダッタの叱責
- アナンダの恋人リータの死
- ブラフマンの導きによりブッダがアナンダを連れコーサラ国への旅立つ
中では、ユーデリカの死刑を知らされたときのアジャセ王子の様子を写した1コマがの迫力が凄まじい。父のマガタ国王に幽閉されつつも、ユーデリカのおかげもあり残っていた優しい感情や無邪気な心が完全に取り除かれてしまい、次の登場(1年ほど後)以降は、かなり人相が変わってしまうのもうなずける。
一緒に逃げることを決めながら直前に恋人のみが罰せられるというのは、シッダルタとミゲーラのときにも同様のエピソードがあったが、それ以上に重く辛い話だ。(ミゲーラは死刑されないまでも顔を焼かれて目が見えなくなるので、これも酷い話だが)
さて、そのアジャセ王子の矢を受けてめっきり老けこんだブッダが、サーリプッタとモッガラーナに出会ったのは37歳の頃で、今の自分と同年齢。一大教団の拠点となった竹林精舎を離れ、新たな旅を始めたのもその頃であり、自分との落差を強く感じるが、一方で奮起されるものがある。
ブッダ:ブラフマン、私は一生懸命に努力してきたつもりですが
弟子も一千人を超しましたし
ブラフマン:弟子にかしずかれて 広い寝場所をもらい のんびり休息をするのが
あなたの人生ではあるまい?
あなたがぬくぬくとねているあいだにも この広い世界には
生きるにも死ぬにも 苦しみつづけている人たちがどんどん増えているのだ
“目ざめた人”よ
あなたはそれらの人々を救わねばならんのじゃ
一秒も惜しんではいけない!!
弟子を一千人集めたブッダでさえ、同じ年齢で我が身を振り返り、行動を改める決心をしたのだ。自分もこのエピソードを知ったことをきっかけに、ポジティブな方向へ少しずつでも動き出して行きたい。“一秒も惜しんではいけない!!”
〜〜〜
なお、これで、ブッダのメインの弟子はほぼ登場したのではないだろうか。これで、以前『聖☆おにいさん』を読んだときには、ややピンと来なかったブッダの弟子たちのエピソードが、実感を持って楽しめるようになるのではないかと、ひそかに期待。