Yondaful Days!

好きな本や映画・音楽についての感想を綴ったブログです。

日経新聞8/5(日)

Q&A LIBOR不正操作(5面・国際)

ロンドンの銀行がしていた不正操作が国際的な問題になっているということは知っていたが、何となく「リボール」と読むのかな、と思っていた。正しい読み方は「ライボー」だったのですね。

人工甘味料でやせる」は甘い?(15面・健康)

メタボリック(内臓脂肪)症候群やダイエットへの関心の高まりから、ノンカロリーやカロリーオフをうたう清涼飲料や菓子が人気を集めている。人工甘味料は、そのほとんどに使われている。しかし米国では最近、人工甘味料でも太るという報告があり、ダイエット効果を疑問視する声も出てきた。…

一ヶ月前の日経には、新たな人工甘味料の開発についての記事があったが、今回は否定的に取り上げてみせる。主な調査結果は以下。

  • テキサス大学の2011年の調査結果(474人の男女への10年間の追跡調査)→ゼロカロリー飲料を好む人は全く飲まない人に比べ、ウエストサイズの増加率が高い
  • 米パデュー大学のラットへの実験→人工甘味料入りのヨーグルトを2週間食べ続けた方が太り、かつ、人工甘味料を与えるのをやめたあとでも太り続ける。

これに対して反論も多い中、7月に米心臓協会と米糖尿病学会から出た見解は玉虫色で、人工甘味料の砂糖接種抑制効果は認めつつも、長期的な影響は不明としている。
つまりは、それに頼りすぎる食生活は危険、と至極まっとうな結論になるようだ。

トリウム原発 研究熱再び

地球上に豊富にある金属のトリウムを燃料に使う新しい原子炉に注目する人がいる。核兵器となるプルトニウムを生み出さず安全性でも既存の原子炉より優れる面があると見るからだ。…

具体的には、静岡県知事の要請で中部電力が研究を開始したなどの動きを指すという。
トリウム原発のメリットは

  • 液体の核燃料を用い、構造上、原子炉が暴走するような事態が起きにくい
  • プルトニウムを作らないため、核拡散につながる心配が少ない
  • 半減期が何万年にも達する放射性廃棄物の発生が軽水炉に比べて少ない

ということで、トリウム資源が豊富なインドや、中国などで実用化に熱心だという。
ところが、日本では50年前に実験炉を動かしただけ、という点で既に「手を出さない方がいい」雰囲気が漂う。先週の話題でも登場した山名元・京都大学教授の意見は「トリウム炉は発電よりも放射性廃棄物の処分に生かすのが望ましい」とのこと。長寿命の放射性物質をトリウムといっしょに燃やすと短寿命の物質に転換できるからだ。
発電をどうするか(30年後の原子力の割合)という議論とは別に、廃棄物処理については、さまざまな技術で乗り越えて行かなくてはならないことを改めて思い出させる。

読書欄

「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか

「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか

二次大戦後の「世界の運営」は、米国→G7→G20と来たが、現在では個々の国にリーダー役を担う余裕がなくなり、リーダー役不在のGゼロの状況となっている。このGゼロ後、世界がどうなるのかについて政治学者が分析した本。気になる。


瓦礫の中から言葉を わたしの〈死者〉へ (NHK出版新書)

瓦礫の中から言葉を わたしの〈死者〉へ (NHK出版新書)

ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

ルポ 子どもの貧困連鎖 教育現場のSOSを追って

「半歩遅れの読書術」のコーナーであさのあつこが「決して楽な読書を許してくれない一冊」として紹介。

本を読むのは娯楽であり時間潰しであり、趣味である。そういうものに過ぎない。でも、いや、だからこそ、いつもいつも、耳障りが良いだけの適当な言葉で書かれた本を楽しむだけでは、いつか飽きてしまう。現実という怪物の姿を見誤ってしまう。そんな気がしてならない。

引用部分だけでなく、文章全体が読みやすく惹かれるものがあった。児童書のイメージが強かったが、あさのあつこのエッセイがあるのなら読んでみたい。


クエーサーと13番目の柱

クエーサーと13番目の柱

誰の目にも明らかなように、現在はアイドル黄金時代である。ひとはなぜアイドルに嵌まるのか。いや、アイドルに嵌まるとは、いかなることなのか。

この永遠のテーマに挑んだ異色作として、阿部和重の新作を紹介するのは佐々木敦。アイドル黄金時代が「誰の目にも明らか」なのか、よくわからないが、この書評を読むと、パパラッチが主人公のこの小説はかなり魅力的だし、アイドルとは何かを語りたくなるような部分があるのかもしれない。


国宝神護寺三像とは何か (角川選書)

国宝神護寺三像とは何か (角川選書)

ふだん全く興味のない分野だが、「資料から事実を緻密に論証していく展開は、事件簿を読むほどにスリリングで面白い」と紹介されると気になる。
誰もが見たことのある源頼朝像を含む国宝神護寺三像については、12世紀末ごろの作品とされていたが、成立年代について疑念が出されている。

通説では、国宝名称にあるように源頼朝平重盛藤原光能肖像画とされ、12世紀末の似絵の名手藤原隆信の作とされているが、1995年に頼朝像は足利直義、重盛像は足利尊氏、光能像は足利義詮肖像画であるとする新説が発表され、以後、像主・成立時期などをめぐって論争が続いている。なお、論争の過程で、三像の成立は早くとも藤原隆信の死(1205年)以降であることが明らかとなっており、隆信を三像作者とする説は、通説・新説いずれからも既に否定された。ただし、通説支持者から三像は隆信が描いた原画を元に作成されたとする説も出されている。

これについて丁寧に追ったのが本書だという。ものすごく面白そうだが、タイトルからはそれが伝わってこない。もう少し煽るタイトルで良かったのでは?


水と森の財政学

水と森の財政学

森林と水源の保全や水道事業のあり方を財政面から多角的に分析した本。「水と森」を併せて流域を一体的に管理する仕組みが必要というのが結論のようだ。