重回帰分析について知りたいことがあり、図書館を訪れると、数学の棚に並ぶ「文系のための」「文系でもわかる」という枕詞の数々。どうも、真の理系は骨太の一冊で事足りるが、自分のようななんちゃって理系含むその他大勢は、少しでもわかりやすい説明を望んで複数の本に手を出す。そのニーズが分量として棚に表れているようだ。
純粋に内容を見て分かりやすそうなものを選んだつもりだったが、結局どちらもしっかりと“枕詞”がついているものを選んでしまった自分は、本当にいろいろと学びなおしたい気がしています。
- 作者: 須藤康介,古市憲寿,本田由紀
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/03/30
- メディア: 単行本
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特に、あとがきでも触れられているが「チャラくてナウい古市君」の「ボケ役」のハマり方は凄く、賢いんだけど統計学的知識が乏しい生徒になりきっているので、読者は安心して議論についていくことができる。
自分は無縁だが、統計ソフトSPSSについての使い方についても詳しいので、使う人にはオススメ出来る本。
こんなのばっかりです↓
須藤「SPSSのロジスティック回帰分析にはVIFを出力させる機能がついていないんです。でも、大丈夫。多重共線性を診断する裏技があります」
古市「画面上で↑↑↓↓とかの秘密のコマンドを打ち込むとか?」
須藤「テレビゲームの裏技じゃないんですから(笑)」
文系のための理系的問題解決―Excelで実践する数理的・統計的分析アプローチ
- 作者: 多田実
- 出版社/メーカー: オーム社
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例えば、例題の題材も、多くをガンバ大阪か阪神タイガース関連から引っ張ってきており、脚注でも著者の趣味性がうかがわれるような主観コメントが多数あり、親しみが感じられた。
今回、多重共線性の問題について具体例を示して説明してくれる参考書を探していたのだが、二つの本とも、分かりやすい言葉で説明がしてあり、ある程度目的を果たすことが出来た。インターネットでも、例えばWikipediaにも詳しい説明があるのだが、一冊の本で関連する統計手法などと並べられて説明されていると心強い。
それにしても図書館の数学棚は、面白そうな本が溢れているので、趣味と実益を兼ねて少しずつ読んでいきたい。
参考(過去日記)
- 現代数学を学ぶ大切さ〜リリアン・R・リーバー『数学は世界を変える』(2012年7月)
- 今から学ぶ人にこそ〜結城浩『数学ガール』(2011年4月)
- 谷岡一郎『「社会調査」のウソ』感想(2004年4月)